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氷結のシオン(第1話)

XXXX年

 穏やかな昼下がり。キラキラと海面が輝き揺れて、それに合わせるかのようにカモメが声をあげる。時折、波がふわりふわりと鼓動を打っていた。船での生活に慣れてしまえば、この程度の風景に美しさを感じることもない。一般パイロットとしてこの船—ホワイトシップに乗船しているモクレンは欠伸をしてバルコニーから離れた。

 食堂はランチタイムのピークが過ぎたのか、まばらだが空席ができている。モクレンはそれを確認してから売店のカウンターへ向かい、売れ残った商品を眺める。
 「あら、モクレン君。今日は遅いのねぇ。」
 彼にとって馴染みの、気風の良さそうなおばさんが、三角巾を結びなおしながら声をかけてきた。モクレンは明るい笑顔を見せて挨拶をかえす。
 おばさんは機嫌が良いのか、ニコニコと商売上手な笑顔を浮かべカウンターの奥へと一度向かうと、いくつか惣菜パンを持って戻ってきた。
 「惣菜パンはすぐに売り切れてしまうでしょ。だから、小出しにしているのよ。」
 売れ残っていたパンのほとんどは菓子パンだったため、モクレンは彼女にお礼を言うと、ありがたく、いくつかのパンを見繕った。船員カードを小型パネルにかざすと会計完了のサウンドが流れる。
 「今晩の夕食は手作りだから、食べに来てね。」
 おばさんがそう言いながら、おまけにと飴玉を渡す。モクレンは普段と変わらず、夕食を楽しみにしていると述べた。

 隅のほうのラウンドテーブルに落ち着くと、遅い昼食にありつく。彼はお茶を飲みながら、黙々と惣菜パンを口に入れた。
 「よう。」
 背後から声をかけられ、モクレンはパンを咥えたまま振り返る。
 「ふぁ、ヤナギさん。」
 ヤナギは行儀が悪いと言いながら、同じテーブルに座る。そういうヤナギもどことなく、だらけた印象を与える男であった。彼もこれから昼食を摂るらしく、似たようなパンを手にしていた。
 「幹部クラスでも、昼飯は惣菜パンですか。世も末感があっていいや。」
 モクレンの嫌味のようなニュアンスを含んだ言葉に、彼の上司にあたるヤナギは動じることなくパンの入った袋を開ける。
 「そりゃ、世も末だろうよ。街は壊滅状態だからな。」
 パンを口に運びながら、ヤナギは窓から外をのぞいた。その目線の彼方には、陸地がうっすら見える。同様にモクレンもそちらを見た。

 彼らが乗船している大型船―ホワイトシップは、駿河湾から少し離れた海域を現在漂っていた。
 ホワイトシップは清水港を拠点港としている要塞船である。形状としては戦艦とフェリーのハーフといった風体だ。名前の通り白いカラーリングで、砲台や離着滑走路が備わっていることが異質にも感じるほど、見た目は奇妙であった。この要塞船の目的は、周辺海域を防衛することにある。何から防衛しているかというと、話は約五年前に遡らなくてはならない。
 
XXXX−5年 駿河湾近辺太平洋沖上空

 それが何かは分からない。晴天の空、青い海。何もないそこに突如としてそれは現れた。真っ黒い、巨大なプレゼントボックスという形容が最も合っているそれは、立方体で宙に浮いていた。
 それは現れて数時間後、まさにプレゼントボックスの蓋が開くように上面が展開。中からは、箱の容量を明らかに超えるほど大量の人型機械(戦闘機ほどの体長で、二足歩行をする無人機械)を放出。人型機械は街に上陸し、無差別に破壊行動を繰り返したのだった。

 プレゼントボックス(のちに「ブラックボックス」と名がつく)は、定期的に展開しては人型機械を放出して街を攻撃する特性があった。
 突然の攻撃に対応が遅れ、初めの人型機群団を殲滅するまでには丸二日がかかった。この地獄のような二日間は、後に「第一次開扉(かいひ)」と呼ばれる。侵攻が激しかった静岡県沿岸部は壊滅。市民には退去命令が出され、完全封鎖された。現在は関係者のみがこの謎の物体と兵器を研究するため滞在しており、ホワイトシップはこのブラックボックスの監視と、街を未確認兵器から防衛するために海上沖に停泊しているのだった。

 「今夜、船は港に寄港予定だ。モクレンの地元は清水だっけ?」
 「いえ、違います。ヤナギさんも違いましたよね。」
 最後の一口を食べたヤナギも頷く。
 それと同時だった。賑やかだった食堂内が一瞬だが静まり、コソコソと隠すような話声が周囲に広がった。その原因は、部屋に入ってきた一人のパイロットだ。少年パイロットは周囲の反応を気にする素振りも見せず、ラウンドテーブル席に向かう。
 「おー、シオン!こっち、こっち。」
 モクレンも周りを気にせず手を振り、彼を呼び寄せた。モクレンと同年代の少年―シオンは、顔色一つ変えずに呼ばれた先に向かう。
 「すまない、遅くなって。悪いけど、これからまた報告に行かないと。」
 「まじか。相変わらず忙しそうだな。」
 シオンはいささか、すまないと本当に思っているのか疑問になるほど無表情であった。対照的に、モクレンは大げさなほど分かりやすく表情を変えた。モクレンは机に置いていた封の開いていないパンを彼に手渡す。
「お前、朝もロクに食べなかっただろ。」
 続けて、食堂のおばさんに先ほど貰った飴も追加する。
「……いつもすまない。今晩はおごるよ。」
 シオンはそう言って、足早に食堂を出ていった。また賑やかになった食堂で、モクレンは視線に気づき同席しているヤナギを見る。
 「お前、シオンと仲良いんだな。シオンに仲のいい友達がいるなんて知らなかった。」
 ヤナギの軽口にモクレンは顔をしかめた。
 「ヤナギさんまでシオンのこと敬遠しているんですか?……皆、シオンのこと敬遠するんだ。話した事もないのにさ。あいつ、確かに表情変わんないけど、感情がないわけじゃないんだぜ。」
 ヤナギはモクレンの気迫に押され、悪かったと謝ったあと少し笑って、本当に仲がいいんだなとフォローした。

 要塞船には、兵器に対抗するために最新型の有人戦闘機が積まれている。これは、第一次開扉後に回収した兵器を分析して、未確認兵器からの防衛に特化して生み出された人工知能搭載型有人機だった。当時の技術、財産は当然ながらすべて防衛のため軍事事業に注ぎ込まれた。しかし、ここまでしても敵に匹敵する無人機が作れず、あえなくパイロットを搭乗させる有人機に変更したのだ。

 「はあ、俺も機体に乗れれば良かったんだがなあ。そうしたら、もっと役に立てたのに。」
 ヤナギのため息に、モクレンは仕方ないですよと苦笑した。
 「ヤナギさんはもう大人ですから。」
 誕生した人工知能搭載有人機には、重大な問題点があった。それは、搭乗するパイロットを選ぶ性質があったことだ。つまり、人工知能側が認めた人間でなければ起動も操縦もできないという大問題であった。さらに、よりにもよって人工知能の選別には「年齢」が大きな意味を持っていた。「大人」は弾き出されたのである。そのため現在パイロットを務める者は、ほとんどがモクレンのような中高生であった。
 「シオンは俺たちみたいな素人パイロットのリーダーとして頑張っているし、皆が無事に戦えるように先陣切ってくれているのにさ。恩知らずばっかりだ。」
 戦闘機に子供を乗せるという前代未聞の事態で混乱する中、パイロットを志望する子供のほとんどが、第一次開扉で行き場を失った者たちであった。そんな彼らより以前、この事実が世間に発表される前から、研究のためパイロットをしていたのがシオンであった。
 ずば抜けた技術と冷静さを持った彼は、寄せ集めのパイロットを率いるエースとしては申し分なかった。ただ、唯一問題があるとすれば、自分の事にも他人の事にも無頓着で、その真意が読み取れないという部分だ。当然ながら、彼は組織内でも浮いた存在であった。言い方を変えれば、エースとしては偉大だがリーダーとしての素質は欠如していた。
 「パイロットにも敬遠されているのか。幹部連中のなかでもシオンはちょっと遠巻きにされているからなあ。まあでも、モクレンみたいなやつが近くにいれば、シオンも何かと楽になるだろう。俺も今度話してみるし。」
 腕時計をちらりと横目に見ながら、ヤナギは立ち上がった。モクレンは誰にでもするように彼を見送ると、ポツリとまたラウンドテーブルに一人になった。
 
 同時刻 総帥室
 深く椅子に腰かけた男は、しかめた顔で机に散らばった資料を見た。机を挟んで男と対面するかたちで立っていたシオンも、報告書に目を通す。
 「総帥。何か問題でも。」
 総帥―オトギリは、シオンの問いに、一枚の資料を指さした。
 「やはり、ガンマに乗れる人材を確保しなければならないな。」
 人工知能搭載型有人機にはバージョンが二つ存在する。モクレンのような一般パイロットが搭乗するタイプは「ガンマ」と呼称されている。つまり、現状での完成版ということだ。もう一つは「ベータ」。ガンマが完成する以前から運用されている研究機体であった。当然だが、現在量産されているモデルはガンマ機である。ガンマは人工知能側の好き嫌いが極力軽減されており、乗れる人員も多い。
 「だが、ネックとなる年齢制限はまだクリアできていない。」
 オトギリは眉間に皺を寄せて手元の資料を見た。二十歳を超えてパイロットとして受け入れられた人物はほぼいない。そのままシオンの顔をうかがう。
 「ガンマは好き嫌いが少ない代わりに、学習機能はついていない。どれだけガンマが戦っても、新たな機能の拡張には繋がらない。だが、ベータに乗れるパイロットは現状シオン、お前だけだ。」
 ガンマ機はできるだけ搭乗者を選ばないように、機械的部分を残し、感情や新たな知識を勝手に学ばないようにロックがかけられていた。一方、研究機体であるベータ機は、ある程度人間に近い学習能力と感情共感能力を有しており、自由に情報を取り入れ成長できるようになっている。しかし、そのため好き嫌いが激しく、現状で搭乗できるのはシオンだけであった。
 「僕の方からベータに年齢制限を引き上げてもらえないか提案しましたが、どうやら無意識的に行っているらしく、議論になりませんでした。」
 シオンは淡々と答えた。
 「ベータとお前が現場で戦闘を経験することで、その経験値は同時にガンマの精度にもつながる。ベータと話がまともにできるのは、お前だけだ。軽率に奴の機嫌を損ねて、お前まで搭乗できなくなると元も子もない。そこに気を付けて会話をしろ。」
 「わかりました。」
 ベータがお前を拒絶することはないだろうが、とオトギリは付け加えてシオンに伝えた。
 話がまとまり、シオンが頭を下げて部屋から出ようとすると、オトギリが言葉に含みを持たせて彼を呼び止めた。
 「シオン、記憶の方はどうだ。」
 「いえ、何も思い出せません。ですが、仕事に支障はないので、問題ありません。」
 それだけシオンは決まった定型文を暗唱するかのように言う。オトギリもまた、いつものルーティンをこなすかのように返事をして彼を解放した。

 総帥室の扉を静かに閉めて、一呼吸置いたシオンの元に、ばたばたとせわしない足音が聞こえた。その音の数から、一人ではなさそうだと判別がつく。まだ、艦内放送は流れていないが、ブラックボックスに異変があったのだろうと、彼は経験測から察知してベータが格納されている格納施設へと足を進めた。
 彼が想定した通り、向かう先で艦内放送が流れる。
 「シオン!」
 後方から名前を呼ぶ人がいるのに気付き、シオンは少しスピードをゆるめて振り向いた。
 名を呼んでいた人物は、パタパタと身軽そうに走りながら彼に追いつくと呼吸を整えた。さほど長くはない後ろ髪を大きなリボンでまとめ上げ、同様に大きなリボンが胸元にもあしらわれた制服を身に着けていた。少女―カリンも、モクレンと同じガンマのパイロットであった。
 「カリン、機体の方は大丈夫。」
 言葉のニュアンスから心配してくれているのだろうと察したカリンは、大丈夫と返答した。というのも、カリンの機体は前回の戦闘時に随分ひどく損傷してしまったからであった。
 二人が格納庫に到着すると、すでに何機かが船から飛びたっていった。ズラリと人工知能搭載型有人機が並んでおり、赤黒いフォルムカラーが暗い倉庫に差し込むわずかな光に輝いている。
シオンはカリンと分かれ、一番隅に収納されている機体を起動させる。赤黒い機体とはフォルムも少し異なり、カラーも青黒い色であった。この他と違う機体がベータ機である。
 「ベータ。戦闘準備だ。」
 コックピット内に入り彼が語り掛けると、勝手に情報が画面に投影され、発進に必要となる準備を進めた。
 『こんにちはシオン。ちゃんとお昼ごはんは食べられた?』
 少女の声が機体内部スピーカーから流れる。おっとりとした声質だが、どこか余裕のある声だった。
 「うん。モクレンが分けてくれて。」
 『そうだったの。モクレンは優しい人ね。』
 「うん。まあ、すぐに総帥に呼ばれて、あまり食べる時間はなかったけど。」
 声の主であるこの機体―ベータはくすりと笑った。
 「じゃあ早く戦闘を終わらせて、シオンには夕食を食べてもらいたいわ。」
 「ありがとう。じゃあ、行こうか。」
 一人と一機はまるで日常の生活会話かのように談笑しながら、外へと飛び出した。
 
 
 駿河湾近郊太平洋沖上空
 ブラックボックスの上部が開き、そこから二足歩行のロボット型兵器が群れを成して出てくる。それらは黒色を基調としたフォルムカラーをしており、ガンマよりも若干だが小型であった。
 以前回収されたそれらの残骸から、操縦士が乗っていない事、完全オートで動いている事が分かっていた。無人で動いているにも関わらず、戦闘においての行動パターンが細かく、機械的な処理だけでは行えないような操縦技術を完備している事も、この無人機の大きな特徴であると言えた。
 これを真似て、ベータやガンマの開発は進められたが、完全な無人機を製造することは叶わず、その点からも、あれらが現代技術より先を行っている可能性を示唆させていた。
 ガンマ達は、ブラックボックスから現れる機体や、ホワイトシップ近くを狙う機体を中心に戦闘を行っていた。
 『この様子だったら先に沿岸部まで飛んで、ガンマがこぼした機体の処理をしに回ったほうが良さそうね。』
 何機かが隙を見て陸地方面に飛んでいくのを確認して、ベータはそう提案する。シオンは少し外の様子を伺うと賛同して方向転換をした。ここで皆と共に共闘することも可能だが、それで万が一にも取りこぼしを処理できず、港の施設が襲われでもしたら、ホワイトシップの肩身が世間的にも狭くなる。
海上での仕事のため、閉鎖空間であり組織の全容がはっきりとしていない事や、兵器になり得る力を開発、使用することへの理解が得られていない今、正直ホワイトシップは信頼された組織ではない。ボロが出た場合、いったいどのような仕打ちを受けるか分からない。さらに、ガンマへの搭乗志願者数も左右される恐れがある。
 『シオン。』
 「分かってる。」
 シオンは軽く返答すると、港方面に飛んでいく無人機を後方から追撃し、港上空に到達するとさらに方向を転換して来た経路を帰る。
 人工知能搭載型有人機と名前だけを聞けば立派に聞こえるが、戦闘方法については戦闘機とほぼ変わらない。人工知能が、学習した内容からパイロットをある程度サポートしたり、攻撃の精度をあげたりはしてくれる。しかし弾を撃って当てるという攻撃方法には変わりはなかった。
 彼は、帰路も港へと向かう機体を的確に撃ち落としていた。ブラックボックスはまだ展開しているが、何機かのガンマがホワイトシップへと戻っていくのが確認できた。
 モノが動くには燃料が必要であり、それは有限である。燃料を多く積めば長時間の行動が可能であるが、その分機体は重くなる。人を乗せて動くガンマとベータは無人機に遅れをとらないためにも、燃料を制限する必要性があった。
 シオンはモニターに表示された時間と、レーダーに反映される敵の残機を確認した。理由は分からないが、ブラックボックスは長くても三十分ほどで蓋が閉じると、これまでのデータで判明していた。今回の戦闘も始まってすでに二十分ほどが経過しており、開かれた上部の天板が次第に閉じ始めている。

 『燃料切れのガンマ機を援護した方がいいわ。』
 ベータの提案にシオンは首を振った。
 「そっちに向かったら残りの敵機が港を抜ける。」
 彼女は、ガンマの包囲を通り抜けて港へ向かう敵機を、一人で返り討ちにしているシオンを見てか反論をしなかった。
 『……そうだわ!』
 少しの沈黙の後、ベータは何かを思いついたとばかりに声をあげ、勝手にどこかへ通信をかける。驚くシオンがベータを問いただす前に、モクレンの声がスピーカーから聞こえた。
 「シオン、どうかしたのか?」
 滅多なことでは戦闘中の通信をしない友人から連絡が入り、モクレンは驚いたのか、声からでも緊張感が伝わってくるほどであった。
 「あ、モクレン。……、」
 シオンは言い淀んでから、お願いがあると前置きして、モクレンに燃料切れガンマを援護してほしいと頼んだ。モクレンは先ほどとは異なる驚きと、嬉しそうな声で勿論と返答をした。通信が切れると、一機のガンマが光で合図を送って降下し、ホワイトシップ周辺の守りへと向かう。
 『シオンの手が空いてないなら、お願いすればいいのよ。私達二人だけではないのだから。』
 ベータが得意げに言う。シオンは小さく、そうだねと返答した。それが嬉しかったのか、ベータ機のスピードが気持ち少しだけ速くなった。
 「モクレンも手伝ってくれるんだ。僕らはこっちを守らないと。……ベータ。お願いできる?」
 『もちろん。任せて。』
 一人と一機は言葉を交わして、残りの無人機を撃墜しに飛翔した。
 
 同時刻 指令室
 ブラックボックスが展開してからおよそ三十分が経とうとしていた。完全に閉じたそれは、普段の巨大な立方体へと戻った。
 まだ戦闘は終わっていないが、ガンマ機の大半が既にホワイトシップへと帰還している。稼働時間が短いため、時間をずらして戦闘に当たらせてはいるが、それでも対応できるだけの数量がないためギリギリになってしまう。
 オトギリは、結局今回も最後まで残機処理にあたっているベータを見つめ、ため息を吐いた。放出された敵機のほとんどはベータの手にかかり、派手な爆発をしながら海へと沈んでいく。
 「……任務完了です。」
 煙幕が晴れる頃、無線から、シオンの普段と変わらない声が指令室に流れた。
 「……氷結のシオン。」
 指令室にいた者の誰かが、そうつぶやくのが聞こえた。ヤナギが声の聞こえた方を見ると、数人が気まずそうに顔を伏せた。その表情も、声も、今回の戦闘を収束させたベータ機を敬うものではなく、彼等を恐れているようであった。

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