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 あ、あまり思い出したくもない「初代」の話に一度だけ戻ると、そのお兄ちゃんの店で、JAFとは別の、何とかロードサービスってのを勧められて入ったのだ。メリットは、運転不能時のレッカー移動が距離無制限で「無料」だということ。で、それに入ったら、もう理由は何だったか忘れちゃったけれど、レッカー移動せねばならない事態が実際に起こり、京都北部から店のある明石まで百キロ超を「無料」(ってわけじゃないけれど)で運んでもらった。

 そして、そのとき代車として借りたのが当時の最新のカローラ。(その頃、プリウスってもう出てたのかなぁ…? 二十年以上前の話です。)
 で、運転してみてびっくりしたのは、
「えっ? 今、誰がこのクルマを運転してるの…???」
って感覚。両「車」の間には約三十年以上の隔たりがあり、技術の進歩があり、それを「昨日の今日」で体感してしまった私は、非常に狼狽えてしまったのだ。そして、この技術の進歩が本当に人類にとって良いことなのかどうか、悩みを抱えてしまった。

 …ってのが、以後、マニュアルトランスミッションの車にこだわって乗り続けている理由!、…でもないのだが、でも、そんなきっかけではあったなぁ。

 「ETC割引」とか、「ざけんな!」って思ったよ。テメェらがETCを普及・徹底させたいだけのくせに、「きれいごとを抜かすな!」って思った。

 ちなみに、二代目は私より年上の一九六八年生まれで、シートベルトすらなかった。シートベルトが義務化されてない時代だったから、それはそれで許された。シートベルトを付けるためには「改造」をする必要があった。私はいつも堂々とノーベルトで走り回り、ときどき警察官に止められては、
「もぉ。よろしく頼むよ…!」
とか文句を言いながら走り去っていた。そんなのも楽しかった思い出。