彼女たちはみな、若くして死んだ

「彼女たちはみな、若くして死んだ」チャールズ・ボズウェル著 読了。

実際に起こった犯罪を描いたノンフィクションで、謎めいた事件に対して警察が捜査を重ねて犯人逮捕に近づいていく、という手法が後の警察小説と呼ばれるジャンルの先駆けとも言われる短編集。

ノンフィクションと銘打ってはいるけど、読んでみると本当に警察小説ぽいというか(逆なんだけど)シンプルな描写を淡々と積み上げて真相に迫る様子が面白い。読んでる途中で世界仰天ニュースだな、と思った。だいたいそんな感じ。

実話故にというかあっけない幕切れだったり話としてはどうにもおさまりの悪い部分もあるけど、それ以上にほんとにこんな事件があったのか……と思うような話に驚かされる。事実は小説よりも奇なりとはまさに、となる。「彼女が生きているかぎり」なんて私立探偵が事件を解決するあたり完全にエンタメ小説だった。

読書会の議題としては「実話」という前提が読者に与える印象について、なんかは面白いのではと思った。「死の部屋」なんかはフィクションじゃ到底許されない終わり方で逆に面白くて、実話だからこそできるフィクション性というかセオリーを無視できる強さが実話にはある。ネットに溢れるいわゆる創作実話なんてのも実話の持つ力を利用する為に成立したんだろうな、なんてことも考えたり。割と色々な観点から話せそうで楽しみですね。



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