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前科あります(13)

今日はあっちうろうろ、こっちうろうろ、の話です。

1.取り調べで
まず、引き当たり、についてかな。

「今日は引き当たりに行くんだって」
留置場に入っているときに、看守の警察官がこう言いました。

普通、は?って思いますよね。なんのこっちゃと。
一般的用語でいうと、現場検証のことです。

このパソコンを使いました、とか、この窓を割って入りました、とかこのATMからお金降ろしました、とか。

現場に行って、指さしながら写真を撮られます。
自動車関連なら、この交差点でひとを撥ねましたとかね。

手錠腰縄姿で曳きまわされるわけです。
場所によっては人々が通るから、結構精神的につらいはず。

で、ここで普段の態度がかかわってくるんです。
普段正直だと、向こう(警察官)も、「いいよ、車の中からで、あそこって指させば」

とか、人のいないとき見計らって、ぱっぱと写真をとったりしてくれます。
外に出てから普通に戻りたいなら、なるべく影響は小さい方がいいと思いませんか。

誰かに見られたら、全然無関係な人でも面白がってSMSにあげたりするから。
警察側の配慮はありがたいな、って思います。

2. 検察庁に
つかまって最初のお出かけは、検察庁です。
要するに身柄付き送検(がらつきそうけん)です。

送検には逮捕されないで書類だけ送検、というのも結構あります。
業務上過失(ぎょうか)におおいですよね。

それはさておき、例によって手錠腰縄で、検察庁に行き、担当検察官の取り調べを受けます。

ふつうの大学の教授室みたいな部屋に、検察官と検察事務官が座っています。
椅子に腰縄縛って、手錠外されて。

部屋の隅に連れてきた警察官が座っています。
初日は、住所、氏名、年齢、学歴、前科前歴、受勲歴なんかを聞かれます。あ、これは警察でも同じです。

ここら辺は手続き上の決まりです。
で、逮捕事実についてです、否認してもいいし認めてもいい。

基本、検察官が女性の時は事務官は男性、男性検察官の時は事務官は女性というような組み合わせが多いのかな、確信はありません。

あ、お茶は出ません、警察と違って。
この文章で、検事って言わずに、検察官って言っているのには意味があります。

実は、検事ってのは職名であり、同時に階級なんです。
検事には副検事、検事、次席検事、検事長、検事総長って違いがあります。

一度高等検察庁の検事長に検事って呼びかけたら、やんわり検事でなく検事長ですと言われたことがあります。

で、検察官というのは職責であって、検事がやることもあれば、検察官事務取扱検察事務官や検察官事務取扱副検事がやることもあります。

何じゃそれですよね。
ここらあたりを知りたい人は、和久俊三先生の赤かぶ検事読んでください。

そんなことはどうでもいいけど、どうせ当たるのなら、男性検事が一番です。
男性より女性の方が真面目で厳しい、副検事はなんか偉そう、上にペコペコ被疑者に横柄、って人も多いとか。

警察官や海上保安官など司法警察員を何年かやっていると、副検事採用試験というのを受けることができます、受けて副倹になった人もいるんだろうなあ。なんか厳しそう。

私の担当は、検察事務官から出世した検事でした。
苦労人なのかなあ、物腰の丁寧な人で嫌な思いをすることは、ありませんでした。

3.裁判所
基本的な検察官の持ち時間は二十四時間です。それじゃ取り調べも何もないですよね。

ということで、裁判所に対し、勾留請求というのを行います。
認められるとその期間は、十日です。

裁判所に行って、裁判官の調べを受けます。
これについては前回書いてますので、読んでみてください。

で、たいていそれで済むわけはなく、あと十日、延長というのを検察官は請求します。

それから先はありません。検察官は逮捕から都合二十三日で起訴するか、釈放するかを決定します。

最初の勾留延長は裁判所に行ったのに、次の延長は勝手に決められました、裁判所は検察となあなあ、というのはこういうとこ。

私の場合は、不起訴にはならずきっちり起訴されました。ここで保釈申請したら、多分通ったけど、保釈金を用意するのも従妹に頼むのも気が引けたので、そのまま、拘置所行きを選びました。

ちなみに、保釈金は逃げなければ戻ってきますし、保釈金保証協会というところで建て替えてもらうこともできます。

捕まったら考えてみてください。

というように、手錠腰縄で外に行くことも結構あります。捕まる予定の人は覚えておいてくださいね。



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