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弁理士試験の時系列(2/5 基礎編)

2019年5月の勉強開始から令和3年度弁理士試験合格までを5回に分けて記載します。
全体の時系列は図の通りです。
今回は独学を辞めた後、通信講座の受講開始から6ヶ月間の基礎学習期間に使用した書籍と、勉強の進め方を記載します。

この時期の勉強は「細かいことは後回し」「繰り返し」が重要だと感じました。

通信講座について

通信講座は資格スクエアの講座を受講することとしました。
当時、あまり大手予備校では通信講座が充実していなかったことや、費用が比較的安かったためです。

受講開始当初は基礎講座を主に視聴しました。
基礎講座は、法律学習の基礎から高度な内容まで幅広い内容が盛り込まれていました。
正直、一回視聴しただけでは分からないことだらけです。
しかし、繰り返し視聴するごとに新たな発見があり、知識が深まっていくのを感じました。
また、レジュメも充実しており、条文の要件/効果やその解釈を整理する上でよい教材でした。

強いて要望を挙げれば、著作・不競の教材が講座視聴ありきの構成だったため、自習しにくかったと感じた程度です。
この点は「弁理士試験エレメンツ3条約/不正競争防止法/著作権法[TAC弁理士講座]」で補充してもいいかと思いました。

使用した書籍

・産業財産権四法対照第24版[PATECH企画出版部]
弁理士試験おなじみの書籍。
これを使って、後述する条文解析を行いました。
また、短答で聞かれやすい法域間の相違を効率よく学習できました。
PCT規則まで網羅されているため、少なくとも短答合格までのバイブルでした。

・知的財産基本法文集第11版[PATECH企画出版部]
ハンドブックサイズの法文集です。
通勤時間や買い物の合間に条文を読むために、持ち運び用に購入。
私は短答試験までで4回は通して読みました。

四法対照では、法域間の相違を比較するために一部並び順が変更されています。
ただ、条文の並び順にはちゃんと意味があって、どの辺に何が書かれているかを身につけておく必要があります。
そのため、四法対照とは別に法文集を持っておくことをおすすめします。

・知的財産法判例教室第9版[正林真之]
合格を目標とする上で必要最小限の判例の知識がこれで学べます。
勉強する中で出てきた判例の知識補充をする使い方でした。
人によっては物足りないと感じるかもしれませんが、判例に関しては通信講座とこの本の知識で十分かと思います。

・工業所有権法(産業財産権法)逐条解説第21版[特許庁]
いわゆる青本です。
紙媒体は高額のため、pdf(無料)とタブレットで学習しました。
ページ内検索ができるので、タブレットに抵抗がなければおすすめです。
後に紙媒体を購入してみましたが、やはり重たかったためあまり使用しませんでした。

勉強の進め方

資格スクエアで配信されている基礎講座の受講、条文解析、条文の読み込みを行いました。

基礎講座について

主に通勤時間に視聴しました。
再生速度を変更できるため、1.5倍速で視聴し、出勤退社で1日2講座のペースで進めました。
また、繰り返し視聴できるところが通信講座のメリットで、短答合格までに2,3周は視聴したと思います。

条文解析について

四法対照を使って条文解析を行いました。
条文解析と言っても、やったことは下記のような感じです。
・「〜することができる」「〜しなければならない」「例外」の3種類に分けてマーカーで色分け
・文節で「/」を入れて要件と効果の確認
・基礎講座で学習した条文上の文言の解釈の書き込み
・準用条文の確認

条文解析は上四法だけでなく、下三法までしました。
条約はどこまでやるか迷うところですが、私はPCT規則までしました。
最低限、短答で出題されたことがあるものはやっておくことをおすすめします。

また、準用条文は「準用されていない条文」「読み替え条文」を理由を考えながら確認しました。

最初はかなり苦痛ですが、短答試験では「〜することができる」なのか「〜しなければならない」なのか、主体は何か、例外や救済規定はあるか、準用の有無、読み替えを的確に回答する必要があるため、どうしても必要な作業と思います。
また、マーカーを引くか、書き込みするかは個人の好みなので、上記を意識した解析ができれば手段は問わないと思います。

条文の読み込み

知的財産基本法文集を繰り返し読みました。
これも最初は苦痛です。
ただ、短答の問題では条文を知っていれば解ける問題も多く、やらない選択肢はないと思います。

また、ただ読むだけでなく、下記の点に注意して読み込みました。
・原則なのか例外なのか
・「〜することができる」なのか「〜しなければならない」なのか
・主体は誰か
・条文の順番

最低限、商標法3条1項、4条1項は短答試験までに暗記するくらいまで読み込むことをおすすめします。
また、パリ条約とTRIPSは、条文通りの問題も多いため、我慢強く読み込むことをおすすめします。

最後に

通信講座の基礎講座や条文の読みこみは、1周しただけでは詳細まで理解できませんでした。
しかし、繰り返し学習することで、理解度が高まっていくのを感じました。

この段階での学習は疑問が尽きないと思います。
しかし、全体像が見えて初めて理解できることが多いです。
そのため、何度も繰り返し学習することを前提に、ガンガン前に進むことをおすすめします。

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