見出し画像

弁理士試験の時系列(4/5 論文編)

2019年5月の勉強開始から令和3年度弁理士試験合格までを5回に分けて記載します。
全体の時系列は図の通りです。
今回は論文試験(必須)の学習期間の勉強の進め方を記載します。

この時期の勉強は大きく「あてはめ方の練習」「構成の練習」「趣旨や判例の定着」の3つの要素があると感じました。
それぞれの要素について、勉強時に感じたことを記載します。

勉強開始時について

論文試験の勉強開始当初は、そもそも手書き自体に慣れていないことや、法律の文章を書くことにも抵抗があって、なかなかスタートを切れなかった記憶があります。
そこで、本題に入る前に、論文試験勉強のスタートを切ったときのことを記載します。

スタート時期

私は最初の受験でまずは短答試験のみ合格しようと考えていたため、短答試験終了までは論文試験の勉強はやらないつもりでした。
しかしご承知の通り、令和2年度の短答試験が4か月遅れ、それに伴って空き時間ができてしまいました。
そこで予定外でしたが、短答試験前に論文試験の勉強を開始することとしました。

後述するように、論文試験の勉強では、制度の要件・効果を短答以上に意識すると思います。
私の場合、勉強のやり方が少し変化したことで、短答試験の勉強で身についていなかった部分を、論文試験の勉強で補えたと感じました。

また、短答試験の直後から論文試験の勉強を開始すると、勉強期間が短すぎて、論文試験が記念受験と化してしまいます。
一発合格を目指さないまでも、実力試しのレベルまでは達していると、次年度に向けた反省材料を得られます。

短答試験の勉強に注力してなかなか時間を確保できないかもしれませんが、余裕があれば短答試験前に少しでも論文試験の勉強をスタートさせておくことをおすすめします。

手書きの抵抗感

普段はキーボード入力に慣れきっているため、手書きにはとても抵抗がありました。
加えて法律の文章を書くことも慣れていなかったことから、初めて手書きしたときは、写経のようで本当に苦痛でした。

そこで、通信講座を一周するまでは、全てWordにキーボード入力して勉強をしていました。
個人的にはこの進め方がハマっていて、まずは法律の文章を書くことに慣れてから手書きに移行できたので、モチベーションを維持しやすかったと感じました。
また、後述する「あてはめ方の練習」は、条文に事例をあてはめる作業なので、はじめはコピペや挿入が簡単にできる環境がむしろ適しているように感じました。

論文の体裁

ネットで検索すると「見出しを付ける」「左側を一文字程度空ける」等、色々な手法があるようです。
採点者が読みやすくなる工夫はいいと思いますが、あまりこだわりすぎる必要はないかと感じます。

私が注意したのは「最後に『以上』をつける」「設問毎に『設問(1)について』をつける」程度でした。
最低限、設問毎に回答することが求められると思いますので「設問毎に回答していることをアピールする」という発想です。

また、設問中の細かい見出しは、問題の種類ごと(侵害系、手続系など)に好みに応じてつけてつけていました。
この辺りは、通信講座の模範解答で好みのスタイルを固めていけばいいかと思います。

あてはめ方の練習

論文試験で書くことは、基本に下記の3点です。
・条文の要件への事例のあてはめ
・要件を満たすことで発生する効果
・問いに対する結論

受講していた資格スクエアでは「論文書き方講座」で網羅的に訓練できるようになっていました。

比較的簡単な問題で要件/効果を漏れなく列挙し、確実にあてはめを行うようになれば、応用問題でも十分な得点を稼ぐことができると感じました。
また、個人的には特許・実用新案は本番で時間が無く、条文を確認する余裕があまりありませんでした。
そのため、少なくとも特許・実用新案については、要件/効果をしっかり身に着けておくことをおすすめします。

構成の練習

あてはめ方が十分身についたら、あとは設問に対して漏れなく論点/項目を挙げさえすればOKです。
多くの受験生は、答案用紙に書き始める前に、事例の分析や答案の構成を問題用紙の余白に書きますが、構成をどこまで細かく書くかはそれぞれかと思います。

私の場合は、可能な限り要件/効果を書き連ねたいと思ったため、手書きの時間配分をできるだけ取るようにし、項目と書く順序のみをざっくり書くだけでした。
また、条文番号を暗記しているものは、番号のみしか書きませんでした。

答案を書くときに自分で確認できれば十分なので、構成の体裁などは自由です。
ただし、必ず手書きの時間を確保できるように、時間配分には注意することが必要と感じました。

受講していた資格スクエアでは「論文解き方講座」「論文実践講座」で訓練できるようになっていました。
時間があれば、この辺りで手書きの全文書きを何度かしておくといいかと思います。
手書きでどの程度時間がかかるか、試験前に把握しておくことをおすすめします。
また、手書きに慣れてきたら、構成のみで学習を進めて、他の学習に時間を割いてもいいかと思います。

趣旨や判例の定着

各種制度や条文の趣旨を書けるようにします。
趣旨は完全暗記までは不要で、「ストーリー」「キーワード」を意識して記載できればOKです。

受講していた資格スクエアでは「青本講座」で訓練できるようになっていました。
講座では趣旨のストーリーとキーワードを押さえ、あとは再現できるまで勉強します。
私の場合は手書きと暗唱をしました。
また、文字を読み上げるアプリもあるので、通勤時間にリスニングして身に着けました。

判例は「規範」「理由付け」を暗記します。
判例は深堀すればどこまでも学習できますが、あくまで弁理士試験の合格までに限れば、講座で出てくるもののみで十分かと思います。
あくまで論文試験は相対評価ですので、手を広げすぎるよりも、周囲の受験生が書ける判例を確実に身に着けること方がよいと感じました。

暗記の方法は趣旨の勉強と同様でしたが、特に代表的な判例(例えば均等論など)は完全暗記に近いところまで身に着けました。

模試について

初回受験時は模試を受けずに臨みましたが、時間配分や題意の正確な把握ができず、意匠法のみ足切りとなってしまいました。
明らかに経験不足だったと感じました。
そのため、2回目受験時は3回の模試を受けて臨みました。

模試では一日の流れや休み時間の使い方をシミュレーションできるほか、時間配分やパニックになったときの対処を経験することができます。
最低でも一度は模試を受けることをおすすめします。

最後に

論文試験の勉強は、最初の「抵抗感」という山を超えれば、あとは武器集めのような感覚で要件/効果、趣旨、判例を身に着けていくイメージでした。
また、答案はきれいな体裁や文体を意識しなくても、条文通りに要件、効果、結論を書けば、自ずと点数が伸びると感じました。

まずは基本に忠実に、条文のあてはめをしっかり意識して答案作成することをおすすめします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?