長男坊はスーパーサイヤ人【もへじ夜話002】
【お知らせ】
こんにちは。もへじといいます。
現在、福岡県北九州市で馬九という飲食店と、キッチンカーで昭和カレーや手造りドリンク販売、そしてめだか祭りなんかをやってますので、気になる方は下記プロフィールからどうぞ🎵
【もへじ夜話002】
私には、長男・次男・長女と3人の子どもがいる。
今はもう大きくなっているのだが、その長男坊が小学校に上がる前…、たしかまだ5才くらいだった頃のお話です。
**********
私の仕事が休みで、長男坊と2人でお留守番をしていたとき、チョイとヒマだったので、
「大事な話があるから、チョットおいで」
と真顔で言うと、長男坊はトコトコと歩み寄ってきて、
「なん?」
と軽い笑みを浮かべながら私に聞いてきました。
実に可愛い。
その可愛さに顔が崩れそうになるのを必死に堪えながら、私は長男坊を目の前に座らせて真剣な表情で話しました。
「実は…お前は…、父ちゃんと母ちゃんの本当の子ではないのだ」
「えッ!」
長男坊の顔が一瞬で泣き顔になり、目に涙を溜めはじめました。
それを見た私は、間髪を入れずに会話を続けました。
「お前は…、実はピッコロさんが連れてきたんだよ」
「えッ、ピッコロさんが!?」
「そうだよ。ピッコロさんが小さなお前を抱いて父ちゃんのところにやってきて、《将来、この子は地球を救うスーパーサイヤ人になるから大事に育ててください》と言って、お前を父ちゃんに預けていったんだよ」
「ホ、本当?」
「ああ、本当だ!」
「ホントにホントに本当???」
「ああ、本当のことだ!」
長男坊の顔が、みるみる変わっていく。
精気が戻った目に、まだ乾かない涙が反射してキラキラと眩しい。
するとだ!
長男坊はガバッと立ち上がり、天井を見上げながら拳を突き上げ、
「やったぁぁぁ~ッ!!!!」
と歓喜の雄叫びを上げると、家を飛び出して行ってしまいました。
(んッ!?…なんかマズイことになりそうだな…)
とは思ってはみたものの、後の祭り…
(まぁ、なんとかなるだろう)
と思い直し、読みかけの本に手を伸ばしました。
しばらくすると家の外から、
「父ちゃぁ~ん! 父ちゃぁぁぁ~ん!」
と長男坊の声がしました。
でも、いつもとは少し違う声色…
何事か?…と思い、頭をボリボリ搔きながら玄関の戸を開けてみると、長男坊がヒックヒックと泣きながら、すがるように私を見つめているではありませんか…
そしてよく見ると長男坊の後ろには、いつも遊んでいるガキんちょ達が横一列に5人ほど並んでいるのが見えたのです。
そのガキんちょ達が、面倒臭そうに私を睨んでいる…
すると長男坊が、
「ねぇ父ちゃん! ボクはスーパーサイヤ人になるんだよネ? 大きくなったらスーパーサイヤ人になるんだよネッ!」
と言うので、
「お、お、おうッ! お、お前は将来スーパーサイヤ人になるんだ」
と、ガキんちょ達の反応を確認するように言いました。
すると、ガキんちょ達のジト~~~っとした目つき…
そして半分怒ったような雰囲気…
それを感じた私はすべてを悟ったので長男坊に、
「ほらッ、男は泣いたらダメだろ! 顔を洗ってこい!」
と言うと、長男は袖で涙をひと拭いすると、玄関を駆け上がり洗面所へと向かっていきました。
残ったのは近所のガキんちょ達と私だけ…
気まずい雰囲気の中、覗き込むようにガキんちょ達の顔を見ると、リーダー格の男の子が、
「おいちゃんさぁ…もうヤメテよね…。何回目?…こんなことすんの…」
と、ホントにクソ面倒臭そうに言ってきました。
私は、背を向けたくなるような罪悪感を感じたので、
「チョット待っててね」
とガキんちょ達に告げて小銭入れを取りに行き、ガキんちょ達の元へ戻ると、
「ごめんね、はい…。ごめんね、はい…。少しの間、スーパーサイヤ人ってことでヨロシクね…ごめんね、はい…。」
と、一人ひとりに言いながら100円を配っていったのでした。
ホントに面倒臭い一日でした。
おしまい。。。
PS.
100円を配っているときにリーダー格の男の子が、
「お金じゃないんだよねぇ…」
と呆れるように吐き捨てた言葉が、未だに忘れられません。
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