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高校生の恋愛リアリティ番組「今日、好きになりました」感想〜自分の知っている青春と違う〜

*ヘッダー画像は、「Pixabay」から
https://pixabay.com/ja/photos/バックグラウンド-ベイ-ビーチ-2413074/

1 参考にするなら恋愛ドラマよりも恋愛リアリティ

ABEMA TVで放送している、人気の恋愛リアリティ番組「今日、好きになりました。」。通称、「今日好き」。
高校生が2泊3日の旅行に出かけて、その中で好きな相手を見つけるという恋愛リアリティショーだ。
主に中高生に人気らしい番組で、ABEMAのランキングでの比較的上位にいることの多い番組だ。

わたしはもう30代で、しかも「あいのり」全盛期にも大して興味がなく観ていなかったために周りの会話についていけなかったような人間である。
そもそも、元々、恋愛ドラマはあまり好きではなくて、というのも、恋愛ドラマが非現実的すぎて、主人公に同一化することもできないし共感もできないし、憧れの彼だという男にも「こんなやついないよ」と冷めてしまうことが多かったからである。

ただ、恋愛リアリティ番組を観てみると、これが意外と面白かったのである。恋愛ドラマみたいな非現実的なキャラクター、ストーリーではなく、それなりにリアルな人間の言動が描かれるので面白いし(ある程度台本的なものがあったとしても)、自分の恋愛や人付き合いにも役立つんじゃないかと思う。
こういう人間はモテる、こういう言動はダメ、とかが、観ていると何となく分かってくる。これについては、MCが何を言っているかとかではなくて、とにかく結果をみるべし(実際モテているか、告白成功したか、etc)。

そんな、恋愛リアリティ結構いいじゃん、の流れで、高校生の恋愛リアリティ番組、というかなり30代にはハードルの高そうなこの「今日、好きになりました。」を観てみたのである。

そしたら、思いの外、ハマってしまった。
中高生、大学生といった恋愛真っ盛りの時分にはあまり恋愛系番組に興味のなかった自分が、なぜか30代になった今、「今日好き」にハマってしまったのだ。
これは、なんだかんだ青春への憧れを捨て切れていない証左か。

気付けば、月曜の夜を微妙に楽しみにしている自分がいる。30代でどうなの、メインターゲット層から完全に外れているやん、とか思うこともあるが、基本的に毎週「今日好き」をチェックしている。

2 「今日好き」はスクールカースト上位たちの恋愛リアリティ

「今日好き」は高校生の恋愛リアリティ番組、と言っても、出てくる高校生は基本的にいわゆる「リア充」「スクールカースト上位」の高校生ばかりだ。
多くの高校生は、現役高校生であることは確からしいが、どこかの芸能系事務所に所属していて、そこから派遣されてくるような子たちである。
だから、基本的には容姿が整った、平均偏差値以上はあるような高校生しか登場しない。

「今日好き」では、一時期、出てくる子たちのプロフィールとして「告白された回数」が戦闘力を示す指標として出てくるのがデフォルトになっていた。
その回数の多いこと。高校生ながら、20回超えとかもいるし、女子なら大抵5回は超えてるような感じだった。

高校生とは恥ずかしいことである、と誰かが言ったような言ってないような気がするが、
無理めな相手に片想いして木っ端微塵になったり、全然モテなくてアイデンティティクライシスに陥ったり、好きな相手に対して挙動不審になったり、恋に恋して気付けば高校生活が終わったり、そんな一般ピープルの恥ずかしい恋愛は描かれない。

しかし、容姿にパラメータを振った分、気になるのは、基本的に会話の中身があまり深くはないことだ。
皆、わりと似たり寄ったりなことを言う。
お決まりのパターンがあって、会話の中身は、第一印象が誰か、今気になっている人、好きなタイプなど。恋愛リアリティ番組なので当然といえば当然なのだが、ほとんど恋愛に関する話しかしない。

好きなタイプを聞き合うのだが、大抵は、優しい、笑顔が可愛い、一緒にいて楽しい、あたりの答えが返ってきて、正直何の参考にもならない。
まあそれはそうでしょうよ、という。

前述したように事務所に所属している、芸能の世界に足を突っ込んでいるような高校生がほとんどだし、恋愛リアリティなので、会話の内容うんぬんについてはそんな過度に期待するところではないのだが。

感嘆を表す表現は「やばい」一択だし、相づちは「それな」一択だし、「〜しか勝たん」などという新しい言葉を連呼されると、昭和色に染まった30代はイライラすること必須である。

3 残酷なまでの顔面至上主義とか

今日好きを見ていて思うのは、高校生の恋愛における、特に女子→男子の、残酷なまでの顔面至上主義。もちろん、男子→女子、でも顔面は重要ポイントだが、意外なことに、男子の方が顔面で評価されているように感じる。

身長でもなく、話の面白さでもなく、顔の面が大切なのである。
話がつまらなくても、というかほとんど話さなくても、顔面が強いだけで、結構モテるのである。

きわめて個人的な意見だが、イケメンに話の面白い人はそんなには多くない。あくまで割合的な話であり、頭がいいとかそういうのとは別の、話術が上手かどうかという話である。彼らは顔面だけで人を惹きつけることができるために、別に頑張って話術を磨く必要がなかったのだろう。
これは、女性の美人も同じことが言えるのかもしれないが。

大人になると、男性は経済力も重要と言われているが、女性は本来男性の顔面ってかなり重視しているんだなということがわかってしまう「今日好き」。
現状でまだ女性が経済力を得にくい社会だし、出産などもあるので、大人になると男性の経済力が重視されるけれど。

*ちなみに、かなり一般の人が出てくると言ってもいい「ナイナイのお見合い大作戦」という番組でも、女性→男性、について若いイケメンに人気が集中するので、世間で言われているよりも、男性も見た目と年齢は見られていると思った方がいいかもしれない。
見た目にすごくお金をかけてる(そして今後もかけたい)綺麗な女性は、男性の経済力を重視しがちで、そんな女性に好かれるかなりのレベルのお金持ちは若くなくても、見た目が良くなくても、若い美女と結婚したりする。こういう特殊なケースが目立つのかもしれない。

そして、男子→女子については、顔面に加えて、明るい、というのがとにかく重要だなと分かる。
基本的に陽キャがモテやすくて、明るくて、親しみやすくて、盛り上げ上手な子。そんな子がすごいモテる。後は、ちょっとあざとくて、男子を振り回す様な小悪魔系もモテる。
美人でも大人しめな子、根暗っぽい子は意外とモテなかったりする。少女漫画の主人公で時々いる、大人しめで自分に自信がないけど、実は可愛くて心優しい、みたいな子はモテない。私の隠れた良いところを見つけてくれる男子なんていませんから!!だまされないように(??)
これも大人になると変わるような気がしますが、これは何でだかよくわからない。何ででしょうね???

あと、今日好きの面白さとして、「リベンジメンバー」という、それまでの旅に一度参加した人がまたリベンジで参加するというものがあるが、
リベンジメンバーは「TV(スマホ)の中の人」効果でモテやすい、というのもありますね。

4 今どきの高校生ってイイね

今日好きを観てると、最近の男子について、昭和世代からは結構新鮮に思う部分もある。
彼らは比較的感情を素直に出す。結構泣いたりもする。そして、自分たちの見た目へのこだわりもちゃんとあって、メイクしてる男子もいたりする。

女子は、顔周りの髪の毛をすんごい気にする。前髪が非常に大切らしい。髪の毛に対するこだわりが強い。メイクも上手だし、洗練されてるなーと思う。
そして、いわゆる「ぶりっ子」みたいな子はそんなにいない。
男子に媚びるという姿勢も多少はあるが、昭和のぶりっ子みたいな女子はあまりいない。
恋愛リアリティだから、ということもあるが、自分から堂々アプローチもするし、自分の気持ちも言う。

緩やかにだけど、社会の中で作られてきた男女の型みたいなものが、少しずつ壊されてきてると感じる。
男女のボーダーが緩やかになってきてるというか。

それって何というか、楽しそうだし、生きやすそうだなあと思ったりして、高校生たちには変な型にとらわれずに伸び伸びと恋愛したりして欲しいなあと謎の親目線で思ったり。
大人になると、結婚も視野に入ってきたりして、年齢だの収入だの肩書きだのを見られるようになってくるわけで。そういうのから自由な高校生のうちにね。

5 最後まで一途でいることがいいことなのか?

恋愛リアリティ番組で、2泊3日の旅の最後に告白があるので、相手から明らかに断られている、見込みがない場合でも一途に思いを伝える、という人がよく出てくる。

これ、わたし的にはあまり意味ないんじゃないかと思ってしまって、というのも、明らかに断られている相手が、こちらが一途にアプローチしたからといって振り向く可能性ってほぼないよねと。
やっぱ人間追いかけられると逃げたくなるっていうのはあるわけで、特に男子なんかそうだと思うのだけど。
元々そんなに好みでない人ならなおさら。

一途であること、が尊いことのように語られるが、確かに恋人同士でお互いに一途というのはいいけど、
可能性がなさそうな相手に一途っていうのは、あくまで一方的な気持ちの押し付けだし、下手したらストーカー、逆に相手につけ込まれて都合のいい女(男)扱いになることもある。

まあ、「今日好き」だと顔面偏差値が高めの高校生たちが集まっているので、一途に思われて迷惑ってあまりないと思うし、みんな「無理めな」相手に一途にいってるわけじゃないし、それで上手くいくケースとかもあるけれど。
あと、リアリティショーなので、とりあえず誰かを一途に思い続けました、という体にしないと格好がつかない、という面もあるのだろうし。

6 最後に

しかし、高校生たちは美男美女がキャッキャと恋愛してるこの番組をみて、どうやって正気を保っているのか気になる。
わたしが高校生のときに観ていたら、自分との違いに愕然としてアイデンティティ・クライシスを起こしていたはず。
昭和世代風に言うと、「リア充爆発しろ」というやつである。

とりあえず制作の方たちに言いたいのは、なるべく出てくる高校生たちの顔面偏差値に差をつけないで欲しい(差があるとかわいそうなことになる)ということと、男女比は同じか男子多めにしてほしい、ということである。

男女のボーダーが緩やかになってると言ったが、それでもまだまだ差はあって、男子からの方がアプローチしやすく、男子としても基本的には自分からいきたい派が多いようなので、どうしても男子多めの方がバランスが取れてるというか、余った人の悲壮感が少ないんですよね…。
同じがベストと思ってますが。

そして、こんな、何やかんや言いながら、わたしは今後もしばらくは「今日好き」を観続けるのかもしれない。

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