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レジン製ケースをLEDで透過させる

こんにちは、Mogma Productsです。
最近はもっぱらキーボードを完成させるべく、日夜設計をしています。

開発中のキーボードGold Coast(Surf Mount Keyboard)は真ん中にMCUを置いていて、それをケースに収納する構造になっています。左右のプレートとはフレキシブルケーブルで接続しています。

自身で使うキーボード設計の必要な要件としてLEDを光らせたい、というのがあります。ゲーミングキーボードにしたい!!ということではなく、LEDも情報のひとつとして使いたいというのが要件です。
具体的な用法としてはレイヤーを切り替えるとLEDの色が変わって今のレイヤーがわかる、というものです。

しかしながら、今回のようなデザインだとどこでLEDを光らせるか、というのはわりと難しかったりします。
そこで、今回はツライチの天面を光らせるデザインとすることにしました。

ケースを作成するにおいて、筆者が普段利用している素材としてはJLCPCBのLEDO 6060 ResinもしくはBlack Resinを選択していて、冒頭に載せたキーボードにもBlack Resinを採用しています。
これらは条件を満たすとLEDを透過するのは経験上わかっていました。

なので、これを応用してLEDが透過するデザインを考えることにします。
最初は天面にデザインを施し、LEDを透過させたいところのみLEDO 6060 Resinをはめ込んでLEDを透過させる方法を試しました。

  • LEDがきれいにみえる

  • デザインの形がわかりやすい

といったメリットがある一方で、

  • 透過するためのデザインが常にみえている

  • 別体パーツを張り合わせるため内部の厚みが出る

といったところがデメリットとして出てきます。特に今回はケースのクリアランスが厳しく、天面とMCUの距離が近くなりすぎるということもありこちらの手法は取らないことにしました。

もう一つの手法として、Black Resinを直接透過させるというものです。
LEDの透過をあれこれ試しているときにふと「Black Resinでも透過しないかな?」と興味本位で薄い部位にLEDを近づけたところ、厚みによってはBlack Resinでも透過することが確認できました。
それをヒントにしたものがこちらです。

ケース内側に透過させたい模様を彫り込んで表面からはデザインがみえないようにしています。この手法であればケース表面のデザインを損なわずにLEDを透過させることができました。
しかしながら、この試作でいくつか失敗というか条件のようなものがわかりました。

  • ケースの厚み: 2mm

  • 模様の厚み:1mm

  • LEDからケースまでの距離: 2.6mm

  • LED: YS-SK6812MINI-E(真ん中あたりにLED3個が横一列に並んでいる)

厳密な実験を行っているわけではないのですが、Black Resin 2mm厚 に対して2.6mmを離したくらいだと貫通して透過してしまうようでした。
この結果から透過するデザインと透過させたいLEDの位置関係を調整する必要がありそうです。

試作その2はケース自体の試作も兼ねていたので適当に透過デザインを入れていたというのもあり、LEDの透過具合を確認するためのモックをいくつか作ってみたのが試作その3です。

モックではどれくらいLEDが広がって透過するのかというのをみる目的でわかりやすいものを用意してみました。
想定としては透過具合の違いでLED中心部分付近は濃い/薄いができるのかなと思っていたのですが、真ん中の四角のところはそこまで極端な濃淡の差は見受けられなかったのが意外でした。LEDの中心部分のみ透過させないようにしてその周りを透過させるようなデザインだと濃淡に違和感が出づらいようにできそうです。
左右の溝に関しては遮るものがない縦方向にはきれいに円状にLEDが透過しているので、光が流れ込むようにデザインをすると良さそうです。

また、動画はないのですが、LED透過距離をもう少し置くことで濃淡の差が出にくくなるのですが、逆に離しすぎるとうまく透過してくれないのでBlack Resinの厚みとLEDの距離を調整しながらデザインを設計する必要がありそうでした。

最後に天面の強度ですが、指で強く押すと少し曲がる程度で通常利用で壊れることは少ないと思います。透過させる1mm厚の面積が広くなれば不安ですが、そこはデザインと相談しつつ強度設計をすればそこまで問題にならないかなと思います。

いかがでしたでしょうか。条件をいくつか用意してLEDがどのように透過するかの実験というよりかはここまでやってきた中でのまとめに留まっています。今回は皆様の知見になるかどうかわからない内容ですが、これをみて「ケースのLED透過にチャレンジしてみよう!」と思っていただける方が1人でも増えればいいなと思いました。


この記事はGold Coastで書きました。


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