Keybernetesのデータ公開について
こんにちは、Mogma Productsです。
最近こういうものを作ってました。
キーボードの開発を行うにおいて、キー配列を検討・設計することは非常に重要なフェーズです。
突然ですが皆様はキー配列をどのように検討・設計していますか?
筆者はホワイトボードにマス目を書いたり紙にキーキャップを並べてみたり、色々と試してみましたが手間がかかる割にイマイチ感触がわからずモヤッとすることが多かったです。とはいえ、1キーごとにPCBとキースイッチを用意したり配線するのも大掛かりです。
そこで、比較的手軽かつ高速にキー配列を試行できるものはないかなぁ〜と思い、治具を作ることにしたのがきっかけでした。
この治具は必要最低限のものをひとつにまとめてそれを組み合わせられる、というコンセプトで設計しています。
これを設計しているときに名前をどうしようかとかなり悩んでいました。全然思いつかずに煮詰まっていたのですが、ふとコンテナオーケストレーションのKubernetesのPodの概念が頭をよぎり、それをもじってKeybernetesと命名をしました。
データを公開した理由
KeybernetesはSTLをGitHubで公開しています。
理由はいくつかあります。
自作キーボードのクリエイターに還元したい
自身がここまで活動することができたのは自作キーボード界隈の方々に支えられてきたからだと感じています。なので、クリエイターに少しでも何かお返しできればと思い、STLを無償で公開することとしました。
また、これから自作キーボードの開発を始める方々の手助けになればという想いも込めています。
販売という形で提供しないという選択
2つ目の理由は少し後ろ向きなところもあります。
Keybernetesを触るとわかるのですが、キーボードとしての形にしようとすると作りたいキーボードのキー数が必要になってきます。
となると数千個の在庫を持つことになり、発注も在庫管理も大変になることは容易に想像できました。
そういったところもあり、欲しい人が欲しい数だけ欲しいタイミングで調達できればいいという考えにシフトしました。
販売としなかった理由がもうひとつ。Keybernetesは可動を伴うわけですが、Pod1つあたりのサイズ(19x19x11mm)で3Dプリントしたものは結合部分の強度を担保することが難しいという課題もあります。
改良を加えて部品が折れにくいようにはしていますが、販売してそこを保証するというのは避けたいというのも本音としてありました。
要望を管理しやすい
Keybernetesは形状さえ合えば部品を増やしてさらに便利に使うことも可能です。そして、今後そういった要望をいただくことを想定してGitHub Issuesを使うためにGitHubで公開したというのがあります。
「要望をどしどし募集します!」というつもりではないのですが、考えの至らないところでのユースケースがありそうな気もしているので合間をみて部品を追加するかもしれません。例えばエルゴノミクスな配列を試すために垂直方向に角度をつけたアダプターとか。
ライセンスについて
Keybernetesを物として販売せずデータ公開することにしたのでライセンスについて調べてみました。
当初は営利目的での利用をNGにしようとしてライセンスを探していましたが、制約をかけることは今回の目的に反するため最終的にはMITライセンスとしています。
MITは主にソフトウェアに適用するOSSライセンスではありますが、STLファイルに対してMITを適用している事例もみかけたので今回はそうすることにしました。
このあたりについては知識が薄いところでもあるのでご助言いただけますと幸いです。
それっぽいことをいろいろ書きましたが、自分で作って便利だと思ったものを公開して活用してもらえたらうれしいなぁというところでした。
これをきっかけに自作キーボードの開発を始めました!という方が増えると泣いて喜びますのでTwitterで気軽にお声がけいただけると幸いです。
また、データ公開にあたり至らない点も多々あるかと思います。そういった場合もご指摘いただけますと大変ありがたいです。