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家庭裁判所と加害者が誘発するトラウマ(CPIT)

海外の共同親権の国で、夫婦が別れても離婚後・別居後DV(post separation abuse)がありサバイバーの親子が被害を受け続けること、虐待する親と子どもの交流を裁判所が命令することは問題にされています。
問題のひとつとして、健康への悪影響があります。


昨年9月に英国BBCで大きな話題になったニュース

BBCはイギリスの母親達の調査で「マンチェスター大学の研究に参加した45人の母親たちは、流産、心臓発作、自殺願望など、家庭裁判所の手続きによるストレスが関係していると思われる深刻な健康問題を報告」しました。

BBCの記事1
家庭裁判所:虐待の疑いで告発された父親と強制的に接触させられた子どもたち

BBCの記事2
家庭裁判所:「私達は虐待する父親から子供を誘拐し、英国から逃亡します」

こちらはBBCの記者Ed Thomasのポストの翻訳で、引用元の彼のポストを見ると反応の大きさがわかります。


家庭裁判所と加害者が誘発するトラウマ(CPIT)


英国のSHERA Research Groupは家庭内暴力の加害者が裁判所や共同養育の制度を利用することに関連する母親達の健康問題を調査しました。家庭裁判所と加害者が誘発するトラウマ(CPIT)という概念の枠組みが発表されました。

DVモラハラ加害者は、調停や裁判を次々起こすリーガルハラスメントを起こします。
それ以外に、警察や児相などを巻き込みいくつかの論法を組み合わせて「自分が被害者だ」と立場を逆転させたり、加害行為から目をそらしたり「一回だけ」「当たっただけ」「夫婦喧嘩」「しつけ」等の矮小化する物語を作ります。特に「片親疎外」は世界的に母親への攻撃に使われるジャンクサイエンスなので、国連人権委員会特別報告者が使用禁止の勧告を出しています。裁判所や警察を利用することは、国の権力を加害者が借りることで、身体的暴力がなくても、被害者は深刻な被害を感じます。例えば英国では、養育費のやり取りで嫌がらせが発生するため、被害者が直接やり取りしない制度が検討されています。
このように加害者に何度も振りまわされる母親は、裁判自体にトラウマを感じさらに再度被害に合う体験をします。面会交流では自分に暴力をふるった信頼できない相手に子どもを託すことになります。
CPITは危害や非人道的な扱いから自由であることに対する人権侵害であるとSHERA Research GroupはXでポストしています。

https://twitter.com/pakumogu777/status/1753384373888635207?t=yqeI7ujouIHC2tJ4uVfMAw&s=19

英国の母親達に対するCPITの論文


英国における家庭裁判所と家庭内暴力の健康関連の経験: 差し迫った公衆衛生の危機


Health-related experiences of family court and domestic abuse in England: A looming public health crisis

論文→https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/26904586.2024.2307609

ブラジルの母親達に対するCPITの論文


「泳いで、泳いで、ビーチで死ぬ」:ブラジルの母親たちの家庭裁判所と加害者誘発性トラウマ(CPIT)の経験
‘Swim, swim and die at the beach’: family court and perpetrator induced trauma (CPIT) experiences of mothers in Brazil

論文→

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/09649069.2023.2285136

母親が裁判所での手続きに関連して報告した身体的精神的な反応には深刻なものが含まれ、過酷な経験であることがうかがえます。