門谷舞 退団

JHL女子2020-2021シーズン 僕はイズミメイプルレッズには何が何でも優勝をして欲しかった。 このシーズンで無ければ絶対にダメだった。


それは門谷舞が今シーズン限りで退団してしまうことを覚悟していたからである・・・。



門谷舞とは?


代表には全く声がかからないが、チーム内外問わず誰しもがその実力を認めるそんな選手。


JHLTV解説の青戸あかねさんは彼女の事を幾度となく

「彼女はシュートスピードは無いのですけど、良いコースと手首のスナップで決めるんですよね」

と誉め言葉なのか何なのか良くわからない評価をしていた。しかしこの一言に門谷舞の凄さが凝縮しているようにも思う。


たしかに彼女にはシュートスピードが無かった


無いものはそれだけではない。 相手ディフェンスを切り裂く走力も、相手の上を抜ける高さも、相手を圧倒できるフィジカルも何もかもが無かった、仮にどれか一つでも彼女が持ち得ていれば、ずっと代表に呼ばれ続ける選手だったろう。


それでも、抜群の戦術眼とインテリジェンスと技術 何よりもたゆまぬ努力で、ゴール隅にシュートを突き刺し、空いたスペースに潜り込み、駆け引きでギャップを作り、一瞬の隙をついてボールを奪い取る。 自チームからは頼りになり、相手チームからすると、これほど厄介な選手はいなかった。


さらに門谷舞は2020-2021シーズンが凄まじかった。

まず、長年務めていたキャプテンの座を堀川真奈に譲り、本職であるディフェンスの2枚目を三橋未来に譲る形で3枚目にコンバート、そしてサイドから強いシュート力を求められる45°を主戦場とした

彼女にとって云わば「全ての本職」を奪い取られる

そんな難しい配置転換を余儀なくされる。


並みの人間なら「冷遇」と受け取ってもおかしくない


それでも、コートに立つ彼女はいつも楽しそうで、毎試合MVPに選ばれてもおかしくない抜群のパフォーマンスと存在感で、チームを支えてきた。

正直なところ、今回ベストセブンに門谷舞を選出しなかったJHL選考委員の目は節穴だと思う。


2020-2021シーズン イズミメイプルレッズはプレーオフ3位でシーズンを終えた

思えば、彼女はずっと日本一になれなかった。 東京女子体育大学でキャプテンを務めるものの、大阪体育大学に苦杯を喫し、社会人になってからもそのメンバーの多くが入団した北國銀行の前に幾度となく屈してきた。


最後の最後くらい勝って欲しかった、勝たせてあげたかった。優勝をさせてあげたかった。




今シーズン 門谷舞はイズミメイプルレッズを退団することとなった。

現時点ではわからないが、アナウンス的には「引退」ではなく「退団」となっている、 この点は不可解な部分も多いが「退団」なのだから、ひょっとしたら他のチームに移籍とかもあるのかなとかそんな僅かな期待も抱いてしまう。

正直な感想を言えば「まだ全然やれるじゃん!来年こそ優勝しようよ!」とも思う。 でも門谷舞には門谷舞の人生がある。人生は選手である時間以外の方がずっと長い、特に女性にとっては結婚や出産だって大事な選択肢の一つだろう。何より今までおよそ女の子が、愛だの恋だので一番楽しい時期をずっとハンドボールに注ぎこんで来たのだ、彼女のこれからの人生がより華やかな物になる事を願わずにはいられない。

昔TVで、AKBの篠田麻里子が脱退するニュースを中継していた。 AKB劇場の前で号泣しながら座り込んだファンが「良い事!これは良い事!」と絶叫していた映像をふと思い出した。

あの時、自分にはファンのコメントの意味がサッパリわからなかったが今ならわかる気がする。 門谷舞が退団することは率直に寂しいし悲しい、でも彼女のことを思うとこれはきっと良い事なのだ。寂しいけれど、悲しいけれどそう思わなければ、彼女の今までは報われないし、そんな彼女に魅了されたファンは前に進めない。

「おめでとう! おつかれさま! これからも応援しています!」

そう伝えることが門谷舞にとって、きっと良い事なのだろう。


門谷舞さん 卒業おめでとう。

ファンとしてあなたの事が大好きでした。

これから、貴女の未来が益々光り輝くものとなりますように。


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