チップとデールに憧れて

　シマリスを家で買うのは難しい。ハムスターの違って、野生本能の強いリスは運動量も必要だし、餌を蓄える習性も消えない。ウチにいたシマリスのルルちゃんは、毎日忙しなくケージの中を行ったり来たりしていた。またに部屋の中に放してあげると、凄い勢いで走り回り、カーテンを木の代わりにして駆け上がり、カーテンレールをしゃかしゃか走っていた。

　向日葵の種をあげると、次々にほっぺにつめて「もっとちょうだい」とまるで何も食べていないかのような顔をしてねだる。可愛い。たくさん種をゲットしたら、そそくさと押し入れや洗濯物カゴのある場所まで走り去り、おしりをフリフリさせながらもらったばかり向日葵の種を隠す。
隠した場所、覚えてますか？と尋ねたい。

　ある日、私はルルちゃんを部屋に放して遊んでいました。ちょっと目を離した隙に、姿が見えないと思ったら、父の部屋に忍びこみ、いびきをかいて寝ていた無防備な父の足の指を噛むというイタズラを仕掛けていたようです。父のブチ切れた雄叫びを聞いて、急いで駆けつけると、ルルちゃんを枕で仕留めようと本気で戦う父の姿がありました。それに当たったら、絶対死ぬでしょ！と子どもでも分かるぐらいの力を枕にこめ、モグラ叩きのように畳を叩いていました。幸い？というかルルちゃんは、枕なんてへのへのかっぱと、クールに走り去り、カーテンレールまで駆け上がると、ちょこんと座り、こっちを見て勝ち誇った顔をしていました。父の指からはちょっと血が出ていました。父が言うには、2回ほどカリカリされ、最後にガブっときたとのことでした。完璧なるルルちゃんのイタズラだったと思います。

ディズニーのチップとデールも、天敵のドナルドダックに色んなイタズラをしかけて、いつも勝利をおさめているように、ルルも人間様に対して大勝利をおさめたわけです。人間に対して、懐かないルルちゃんが愛しくて、大好きでした。

豆知識ですが、シマリスは春と秋に子どもを産みます。春の子は暖かい季節に生まれ、食べ物も豊富であることから性格は穏やかで、秋の子は寒さに耐えなければないこともあり性格がきついと言われています。ルルちゃんは、春生まれでしたが…うん、穏やかタイプではなかったな。笑