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大好きなパンちゃん

大好きなパンちゃんが2023年2月16日に天国へ旅立った。

パンちゃんは熊本県南阿蘇の保護動物の牧場、オープンセサミにいた34歳のおばあちゃん馬。

パンちゃんに初めて会ったのは、2021年7月。きれいなカフェオレ色の馬で、腰が曲がっていて足を少し引きずりながらゆっくりと歩く。

パンちゃんは小さなポニーとブタのトントンがいる馬場にいて、何か特別な雰囲気を纏っていた。

すごく穏やかで、自分のご飯をすぐに小さなポニーたちに食べられてしまう。怒るわけではないけれど、自分の芯はしっかりと持っている。

ブラッシングが大好きで、気持ちが良いと舌がトローンと出てきてとても可愛い。

モモさんからパンちゃんがここオープンセサミに来るまでの経緯を聞いた。

パンちゃんは肥育牧場という肉馬を育てる牧場に居たそう。子馬を産んだけれど優しいパンちゃんは他の馬に意地悪をされてご飯を食べることができず、お乳が出なくなり子馬は亡くなってしまった。悲しみに暮れたパンちゃんも後を追おうとご飯を食べるのをやめ、ガリガリに痩せてしまった。そんなところをモモさんに保護されてセサミにやってきた。

ポニーたちに励まされながら時間をかけてゆっくりと心の傷を癒していったパンちゃん。

そんな話を聞いてパンちゃんに触れると、本当に生きていてくれてありがとうと感じた。パンちゃんは亡くなった子馬のことを片時も忘れたことはなかったと思う。

高齢のパンちゃんは転んでしまうと立ち上がるのが難しい。だからモモさんは夜中もパンちゃんが倒れていないか見守っている。でも、ずっと立ちっぱなしのパンちゃんは疲れて時々横になってしまう。そうすると、ボランティアの人たちも駆けつけてみんなで協力して立ち上がる。ただし、パンちゃんが起きようとする意思がないと難しい。

今回もそのようにみんなで起きあがろうと頑張っていた。たくさんの人に囲まれて、愛されて、パンちゃんも寝ながら牧草を食べていたし、きっと立ち上がれると思っていた。
でも、今回は叶わなかった。
パンちゃんは、たくさんの愛を受け取って、もう十分に今世での命を満足したのだと思う。パンちゃんの強い意思。

34歳。
一体この年まで生きた馬は何頭いるだろう。寿命を全うできる馬は1%と言われているから、本当に大往生だったね。
波瀾万丈な馬生だったパンちゃん。

セサミを訪ねた時に、もうパンちゃんがいないと思うと、すごく寂しい。悲しかったけれど、パンちゃんが亡くなった子馬と再会して、楽しそうに駆け回っている暖かいイメージ見えている。多分パンちゃんの嬉しさのあまり、パンちゃんから溢れ出すエネルギーが送られてきたんだと思う。

パンちゃんはたくさんの人の心に、たくさんのものを残してくれたよ。本当にありがとう。

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