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june 17

〇ET(エレファントトランク)をステントグラフトにしたのがFET(フローズンエレファントトランク)という。

成人 の大動脈の正常径としては,一般に胸部で30 mm,腹部 で20 mm

は直径が正常径 の1.5倍(胸部で 45 mm,腹部で 30 mm)を超えて拡大し た(紡錘状に拡大した)場合に「瘤(aneurysm)」と称して いるが,それに満たない拡大を「瘤状拡張(aneurysmal dilatation)」と称することがある

血液の漏 出はないが痛みの位置が瘤の存在部位と一致する場合を 「切迫破裂(impending rupture)」



.AAA の場合,内腔側には強い動脈硬化性変化があり,瘤の発生 に動脈硬化が強く関連している12).しかし,AAAと閉塞 性動脈硬化症との関連は乏しいこと13),家族内発症がある こと14, 15),糖尿病が危険因子でないという報告や逆相関を 示す報告もあること16, 17),LDLコレステロールとの有意な 関連がみられないこと18)など,AAAの発症が動脈硬化の みでは説明できない点もあり,他の要因,とくに遺伝的要 因や高血圧の関与も考えられている

インターロイキンやインターフェロンγ などの炎症性サイト カインや,マトリックスメタロプロテイナーゼなどの細胞 外マトリックスの分解に関与する酵素の関与が強く示唆さ れている

出血による症状は,出血性ショックによる 意識障害,肺・気管支に穿破すれば喀血,食道に穿破す れば吐血,腸管に出血すれば下血,胸腔に出血すれば血 胸となり呼吸不全,肺動脈に破裂すれば急性心不全などの 症状が出現する. 圧迫症状:瘤による周囲組織への圧迫が症状として自覚 されることは多くない.反回神経麻痺による嗄声,肺への 圧排による血痰,食道の圧排による嚥下困難,消化管の圧 排による通過障害などがある.圧排が長期にわたると瘻孔 が形成され,破裂に近い出血が認められるとともに敗血症 となる場合もある

大動脈解離14ページまで



●パントールはアセチルコリンの生成を促します。アセチルコリンを増強することで副交感神経を刺激します。その結果、腸管の緊張増大や神経伝達の改善等により、腸管蠕動運動を促進させます。これらの理由より、腸管麻痺イレウスに効果があると考えられます。

アシドーシスになるとカテコラミンがきかない!?

A反応しづらくなる。また、血管拡張させる物質が優位になるからです。

アシドーシス→カテコラミンが分泌されているため点滴で流しても効果がでにくい。そのような場合はバソプレシンを使用し、末梢血管をしめる。

アシドーシスでは、水素イオンが増え、カルシウムイオンの放出阻害や結合阻害が起き、血管収縮作用が弱くなる。NOの産生が過剰となり、血管を拡張させる。

●アシドーシスになると
(1)ATP依存性3Na+/2K+交換ポンプの停止とATP依存性H+/K+ポンプによる細胞内から細胞外へのK+移動による高カリウム血症,
(2)心筋では活動電位の低下,β受容体減少に伴うカテコラミン不応性(文献1),Ca2+の感受性低下に伴う収縮力低下(文献2),
(3)解糖系酵素の活性低下による糖代謝阻害から高血糖,
(4)アデニル酸シクラーゼ阻害から細胞内情報伝達物質であるcyclic AMPの減少,
(5)神経系ではグリア細胞腫脹など細胞機能障害とCa2+チャネル透過性低下による興奮性シナプス伝達抑制(文献3),などが報告されています。

このように,アシドーシスは代謝,膜輸送,膜コンダクタンス,細胞内情報伝達などで細胞機能障害を引き起こします。臨床的には心機能低下に伴う低血圧など循環不全,致死的不整脈,中枢神経障害に伴う昏睡など意識障害などです。これらが原疾患による病態のさらなる悪化や,治療抵抗性をまねき死に至ると考えるのが妥当でしょう。


●バソプレシン



このように抗利尿作用だけでなく、止血作用や血管収縮作用を発揮します。

そのため、下垂体尿崩症・食道静脈瘤出血の緊急処置・敗血症ショックなどに使われます。

バソプレシンの昇圧作用機序

  • 血管平滑筋のV1受容体に作用し、血管を収縮させる

  • 血管平滑筋のNO産生を抑制し、血管拡張を防ぐ

  • ノルアドレナリンのα1作用を増強させる

➁そもそも、なぜ敗血症に輸液や昇圧薬が必要か?

敗血症になると、血管透過性が亢進します。つまり、血管の網目構造(グリコカリックスなど)が破綻して、血管から水のみならず、アルブミンなどが漏れ出ます。このため、血管内ボリュームが不足して、循環血液量減少性ショックになります。その為、急速輸液に加え、ある程度の輸液量が必要になります。いくつか臨床試験(N Engl J Med. 2014 Apr 10;370(15):1412-21.PMID: 24635772 など)がありますが、細胞外液とアルブミン投与で臨床的に有効性に差がないのは、アルブミンも漏出するという理論的背景からも納得できますね。
 また、敗血症になると、NOなどにより、末梢血管が拡張します。末梢血管拡張により、後負荷が低下し、血液分布異常性ショックになるため、昇圧薬(血管収縮薬)が必要となります。昇圧薬の代表例がNadです。ただし、進行すると末梢血管が収縮するフェーズとなりうるため、この場合は血液分布異常性ショックにならないことがあります。これは、意外と気づかれていません。
 ここまでは割と基本的な部分ですが、基本をおさえることが王道です。
 一部の敗血症性ショックでは、心原性ショックになるものがあります。敗血症性心筋症(septic cardiomyopathy)などと呼ばれています。カテコラミン心筋症が原因ではないかと言われており、たこつぼ型心筋症のようになることもあれば全周性に心機能が落ちることもあります。心原性ショックとなれば、強心薬(アドレナリン、ドブタミンなど)も検討する必要があります。

➂昇圧薬(血管収縮薬)の選択について

2016年の敗血症ガイドラインでは、SSCGも日本の敗血症ガイドラインでも、Nadが第一選択となっています。この根拠は、2010年のNadとドパミンを使用した大規模RCTで、死亡率に差を認めなかったがドパミンが有意に不整脈などの有害事象を多く認めたという研究があるからです(N Engl J Med. 2010;362(9):779-89. PMID: 20200382)。これも含めたシステマティックレビューでも、Nadが28日死亡率を有意に改善するという結果でした(PLoS One. 2015;10(8):e0129305 PMID: 26237037)。このため、現在のガイドラインでは敗血症性ショックの第一選択薬がNadとなっており、今後のガイドラインも恐らく変わらないでしょう。
 しかし、「Nadで循環が保てない時はどうしたらいいの?」「敗血症性ショックならどんな時もNadがいいの?」などの疑問が湧いてきます。
Nadで循環保てない場合は、<心機能低下がある場合><心機能低下がない場合>に分けて考えていく必要があります。まず薬理作用からです。なんでもそうですが、理論を知ることはエビデンスを知ることと同様に重要です。


<薬理作用について>

まず,カテコラミンの薬理作用を簡単におさらいしたいと思います。主にα1受容体とβ1受容体への作用の強度に違いがあります。誰もが知っていると思いますが,α1受容体を刺激すると血管収縮,β1受容体を刺激すると心拍出量を増加させます。


α1作用の強さではノルアドレナリンアドレナリンドパミンドブタミン,β作用では逆になって、ドブタミンドパミンアドレナリンノルアドレナリンです。つまり,心臓に余計な作用が不要で血圧を上げたい場合はノルアドレナリンを使用するということが分かります。余談ですが,受容体に作用する薬は,受容体を全て埋め尽くしてしまえば,それ以上に作用を発揮することができませんので,薬理作用は頭打ちになります。後述しますが,ショックの時には生体を守ろうと大量のカテコラミンが分泌されていますが,それでも立ち直れない状態で病院に運ばれてきます。その時にカテコラミンを点滴で投与開始すると思いますが,すでに生体から分泌されたカテコラミンが受容体を占有しているため,アシドーシスが強い時はカテコラミンの効果が悪いと感じるのは,そのような要因があります(他にも様々な報告があります)。


次に,バソプレシンの薬理作用です。バソプレシンはバソプレシン受容体(V受容体)に作用することで効果を示します。V受容体は場所によって分かれており、V1受容体は腸管や血管に、V2受容体は尿の通り道である集合管に存在し、非常に強力な血管収縮作用を発揮します。この作用はα1受容体を介した経路とは異なりますので,カテコラミンとの併用が非常に効果的であることが薬理作用からも分かります。ただ,腸管にも作用してしまいますので,腸管に何らかの病変、特に虚血性病変がある、リスクが高い場合は使用しづらいです。

<心機能低下がある場合>

➁の最後にも触れましたが、敗血症性心筋症による心機能低下がある場合は、Nadに加えて、1.アドレナリン2.ドブタミンの検討が必要です。
どちらがいいかは現時点で断定できません。個人的には1.アドレナリンの方が手ごたえを感じています。なお、日本版敗血症ガイドライン2016では「どっちがいいか結論が出ていないよ」というスタンスです。ドブタミンが古くから(EGDT(N Engl J Med2001;345:1368-1377. PMID: 11794169)の時代以前から)使用されていますが、末梢血管拡張作用があることとβ作用が強いため、後負荷を読み切らないと使用しにくい印象があります。後負荷に関して、敗血症初期はwarm shockで減少するが、進行するとcold shockで後負荷が増加する可能性があります。しかし、その時期を読み切るのはなかなか厳しく、Nadを使用して血管収縮させているところでドブタミンの末梢血管拡張作用があると、どちらに転ぶか難しいです。可能であれば血行動態モニタリング(EV1000など)を行いながら検討するのが望ましいと思います。アドレナリンはα作用と心機能に関わるβ1作用を共に合わせもつため、末梢血管拡張および心機能低下によるショックにも理論的には有効だと考えます。


ドパミンはあまり使用しません。上記にもあるように、エビデンスとしても分が悪いです。ドパミンは投与量により薬理作用が異なり,中用量(5~10γ)ではβ作用が優位であり,高用量(10γ~)ではα作用が優位になり,血圧の低下が著しく投与量を増加させると心拍出量の増加作用が低下します。さらに高用量になると催不整脈作用が認められるなどの理由から、使用しない方がいいと考えられます。しかし、上記は敗血症性心筋症の時であって、元々心機能低下があるような患者に敗血症が合併した場合は、適正な投与量においてドパミンの出番もあるのではないかと考えています。


そして薬でどうにもならない時は、心機能低下例はV-A ECMOの出番があるかもしれません。一言で私の考えを述べると、多臓器不全を伴っていないもしくは少ないが、循環不全が強いような敗血症性ショックの場合には適応になる可能性があると思っています。逆に、すでにある程度時間が経過し、多臓器不全になっている敗血症性ショックを伴う場合は、不可逆的な多臓器不全の結果をみている可能性が高いので、適応になる可能性は低いと思います。

<心機能低下がない場合>

Nadに加えバゾプレシンを使用します。カテコラミン受容体を介さない血管収縮薬であり、Nadへの反応が悪い場合に有効です。カテコラミンに対する反応性を改善させるともいわれています。当院ではNadに不応性である場合はバゾプレシンを割とすぐに使用します。タイミングとしてはステロイドを検討するタイミングと同じくらい(来院2,3時間程度)です。Nad高用量であれば、バソプレシンとステロイドのどちらかは割とすぐ投与します。


「敗血症性ショックならどんな時もNadがいいの?」という質問にも繋がりますが、pHがあまりにも低いとき(pH 7.0とか)はNadなどのカテコラミンは効きにくくなります。このため、Nadの代わりにバゾプレシンを最初から使用してもいいかもしれない、と思っています。

さらに重症例では、副腎皮質ホルモンでステロイドの一種であるコルチゾールの分泌が不良となります(重症関連コルチコステロイド障害)。コルチゾール類が不足すると、カテコラミンへの反応性が低下することや、炎症性サイトカインの分泌過多に陥る可能性があります。

そのような場合は、ソルコーテフといったステロイドを使用して不足分を補うことで、循環状態の維持や副腎不全にならないようにすることが重要となります。

ただし、高用量のステロイドを使用することで副作用が強く出現する可能性があるため、現在では低用量のステロイドを補助的に使用し、状態改善とともに徐々に終了させていくことが重要です。

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