獣医のミルボラ体験記
ミルボラことミルクボランティア
仔猫の大きさによってお世話の間隔は変わってきますが、、、私がお預かりした仔猫は警察署で預かってもらえる最終期限日に引き出して、そのまま当院に来た仔猫です。警察署での飼育状況や健康状態及び排泄状態は何も分からずでした。
来た当初の体重は350g前後の黒が2匹、650g前後の白黒が3匹です。
小さい方の黒2匹は預かった当初はミルクを20mLくらい飲みました。大きい方の白黒3匹はパウチとミルクを、そんなに食べるの!?とびっくりするくらい食べました。おかわり欲しいおかわり欲しいと凄いスピードで平らげました。ご飯がお皿に出てくるのを待つのももどかしいという感じでパウチの中に顔を突っ込みそうな勢いでした。(可愛い 元気で良かった)
この後、下痢しないかな?とちょっと心配になる勢いで完食しましたが、満腹になって安心したのかスヤスヤと寝てくれました。下痢もしなかったので少しドライフードも混ぜるようにしました。
小さい方の2匹は自力で排泄できるか不明だった為、トントンと肛門付近を軽く刺激して排泄介助をしていました。ですが、預かって数時間で自分で排便したので、そこから排泄介助はしませんでした。
ミルクやパウチは人肌に温めます。時期によっては飲ませてる間に冷めてくる可能性もあります。ですのでミルクを温めておく為のお湯も用意しておきます。
排泄介助はご飯の前です。まず排泄させないと食欲も出ないようです。柔らかいコットンをぬるま湯に軽く浸してトントンと優しく刺激します。排泄の量が増えてきたら柔らかいティッシュに変えます。
こんなに小さくてもダニが数匹寄生していました。幸いノミは居なかったようですが、ノミもダニも栄養を吸い取るので、小さい子達にとったら一大事です。
低血糖や低体温にならないように気をつけながら、ミルクは2時間~2時間半くらいであげるようにしましたが夜寝ていたら2時間半~3時間空けてあげました。ご飯は5時間~5時間半置きであげていました。2匹と3匹はそれぞれご飯の時間が同じですので排泄の時間もだいたい重なります。不慣れな為、早く早くと何度も急かされました(お腹空いてるのに待たせてごめんね)排泄後は踏まないように急いで抱き上げて別のケージに移します。とは言ってもずっと見ているわけにはいきませんので、、、臭いを察知したら急いで確認という感じでしたので、預かり中、(特に夜中)何回か踏んでしまったことがあります。(あちゃー 全身洗って体調崩したら困るので赤ちゃん用のウェットティッシュで拭いていました)
ミルクとご飯が重なるタイミングが1日4-5回ありましたので、この時は、、、誰か〜!!とお手伝いの人を呼びたくなるくらいてんてこ舞いでした。(でも可愛い)
ミルボラ2日目からは寝不足で頭の働きが鈍ってるのがわかります。それでも依頼があれば外猫は待ってくれないので、手術や相談、往診とこなしつつのお世話です。気を張り続けていました。この生活を数日続け、無事に預りさんにお返し致しました。
この経験を通して思ったこと。
獣医はミルボラを恒常的にするべきではないなと。
体調が優れない子を預かるのは当然なのですが、、、元気な子は預りボランティアさんにお任せしないといけないと痛感しました。
ミルクの子を育てているボランティアさん達に心から感謝。本当にありがとうございます。
5匹は無事に大きく育ち兄弟で引き取ってもらい里親さん宅で元気に遊んでいます。