できれば配置はそのままにしておいてください

視覚障害者にとって配置は特別重要というのは多くの関係者の方に賛同いただけることだと思います。
見て判断できない視機能のレベルの視覚障害者にとっては、見る代わりに配置を記憶して、さまざまな作業を行うからです。

しかし、いつもいつまでも同じ場所にあるわけではありません。

諸行無常。移り変わるのが世の常です。


かつて、駅の改札が入れ替わるとき、代替機が少しずれた位置に置いてあったようで、いつものようにICカードをかざして通り抜けようとした私は、機械がなくてスカッと空回りしたことにびっくりしました。
それは、自分では見てタッチする位置を判断していると思っていたのが違っていたということへの驚きでした。

これは一時的なことで、その後正式に機械が設置されたときは元の位置に戻ったようで違和感なく通行できるようになりましたが、たとえばお店の商品の配置はそうはいきません。
入れ替わりの激しい世の中ではどんどん商品が入れ替わるので、いつも同じ場所に同じものが置いてあるとは限りません。
また、リフォームされてそもそもコーナーが変わってしまうこともあります。

もっと小さいところでは、食事のときの食器の配置もあります。
食べていて、追加でおかずが出てきたり、空になった食器が片付けられたりすると、気を利かせて取りやすいように食器の位置を動かしてくれることがあります。
その親切心はとても嬉しいですが、思ったところに食器がないため、箸が宙を掠めることになります。
配置を変える前に声をかけるか、そのままにしておいてもらって大丈夫です。

たった1mmでも、指が触れなければそこに物が存在しないと同じような視覚障害者にとって配置はとても重要です。
机の位置が少し変るだけでぶつかるようになります。
ちょっとだからと物が置いてあるだけでも、たまたまそこを通ればこれまたぶつかります。
いつもここに置いてあるものが、少し違う場所にあるだけでも探すのにとても時間がかかります。
視覚障害者にとっての物の配置の重要性を広く知って頂けたら嬉しいです。

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