見出し画像

ニューヨークむかしばなし#2

そもそも、私がNYに転勤することになったのは何故なのか。

それは、最初に白羽の矢が当たった優秀な同僚が、近く結婚するから、と断ったためであった。
切り替えの早い上司はくるりと向きを変え、私に、行ってみない?と言い、勢いに押された私はうっかり、はぁ、いいですけど、と返答。

が、当時のNYは景気も治安もよろしくなかった。転勤計画を知った両親はパニックに。私は2人を安心させるに足る材料集めに奔走し、レポートを作成。家族会議で提出し、なんとか許可を得たのであった。

私にとって未踏の地であるアメリカ合衆国、その中でも凶悪事件が度々報じられるNY。
…不安…心配…
……不安……心配……
………不安………心配………

重なる不安と心配が身体に出たのは、コンドミニアム従業員組合のストライキが終わり、ようやく入居した週末のことであった。

ん?!なんだか身体が痒い…

おーーーッ、痒い、痒い!

と痒さに身を捩り、ボリボリと掻きむしる週末。
私はベッドのマットレスを疑った。
ドラッグストアに行き、殺虫剤を購入。焚いている間、部屋を出て、警戒感1,000%で外をぶらついた。

なんとなく煙たい部屋。一夜明けた月曜の朝、見た事のないピンク色の地図が私の首からどんどん広がっていくではないか。しかも、痒い!

涙ながらに出社すると、例のデカいアメリカ人が、うわーーー!寄るな!!、と後ずさりしながら爆笑…

オマエが同じ目にあったら、同じ反応してやるからな!!と、密かに心に決めた涙目の私であった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?