ポワロさんとミス・マープルに触発されたい!!

1.まず、出会い

それは、2004~2005年のことだった。
NHKアニメ劇場で放送された『アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル』である。チャンネルが教育テレビであったため、年長の子どもも視聴者として想定されていたのだろうと思う。原作と比較すると、登場人物達の毒気が大幅に抜かれ、ポワロの潔癖さも少し和らいでいる。
なんと、「世界初のアニメ化」だそうだ。(※)

※引用・参考元URL
アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル|番組|NHKアーカイブス

放送当時の私は小学生で、恥ずかしながら世界史の知識に乏しかった。1930年代と聞いて思い浮かんだのは、身分制度・第二次世界大戦前という時代背景ぐらい。作品で使用されていたイギリスの貨幣単位「ポンド」の相場や、用語(例:タイピスト)はさっぱりだった。

だがしかし。
『名探偵ポワロとマープル』は、子ども心にもの凄く面白かった。
私に超ド級で刺さった。何故かワクワクした。
とにかく続きが気になって仕様がない。
それに、事件の動機や残忍さ、人物相関関係、ポワロとミス・マープルの頭脳明晰さは理解できた。当時の文化や空気はアニメので視聴で具現化されるし、最後は紀行が知識を補填してくれた。
つまり、予備知識不足でもミステリーとして充分楽しめたのだ。

週末の夜7時半になると、ソワソワルンルン心を躍らせてテレビにかじりついた。時間帯が夕飯と重なることも多かったが、1話30分で短めだからと親に頼んで、ながら見を許してもらった。

原作本を読むようになった今。思い返してみても、『名探偵ポワロとマープル』は原作の世界はそのままに、アニメオリジナルキクターの設定を巧妙に効かせていた。

2.アニメ版の主人公メイベル・ウエスト

メイベル・ウエストはアニメ版オリジナルキャラクターであり、主人公兼視点人物といえるだろう。二人の探偵に触発されて学び、経験を糧に頼もしく成長していくメイベルは本当に魅力的だった。

『名探偵ポワロとマープル』の序盤、メイベルはポワロに採用願いを一度断られている。危険を伴う仕事だから、という理由だった。
ポワロの言動は意味深だ。だからちょっとうがった憶測をしよう。
ポワロが指摘した危険性は犯人の復讐や暴力行為の懸念より、メイベルが自身の信じる画一的な視点に囚われる懸念が大きかったのではないのか。

メイベルはまだ16歳(未成年)であり、この頃は進路を巡って父親と大揉め中。意固地になっていたのか、駄々っ子のような、頑な言動が尖り目立っていた。

だが逆に言えば、メイベルのポリシー「自分のことは自分で決める」は、彼女がしっかりとした自分軸を持っている証拠である。自分の目で見て調べ、判断を下す。どうりで後に、陰惨な事件に心を痛めながらも、飲まれる(流される)ことなく真相・現実に向き合う気概が発揮されていたはずです。
メイベルの判断が現実的であるか否かはさておいて、真面目な勤務態度も特筆すべき長所だ。中途半端な正義感や好奇心だけで来た訳ではない、本気。

メイベルの成長は、まずは事実を1つずつ観察・調査するようポワロとミス・マープルに薫陶を受けた結果だろうか。私にもできるかな…。



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