クラスのマドンナ達に狙われてるみたいです 42話
翌朝
遥香:ふわぁ…お兄ちゃんおはよぉ…ってあれ?
いつものように部屋から出る遥香達。
しかし普段はキッチンに居るはずの○○の姿は無かった。
さくら:お兄まだ起きてないのかな?
遥香:珍しいね。起こしてあげよっか。
と遥香達は○○の部屋をノックしドアを開けると
○○:…びっくりした…
ちょうど同じタイミングで出てきた○○。
遥香:お兄ちゃんが起きてなかったから呼びに来たんだけど大丈夫?
○○:あぁ…ちょっと疲れてるっぽくてな…けど平気だよ。
と返す○○だが昨日より息も上がり額から流れる大量の汗。
さくら:ほんとに大丈夫?
○○:大丈夫だって…けど朝ご飯作る時間ないし1日我慢できるか?
遥香:大丈夫だけど…
○○:それじゃ俺も準備したらすぐ行くから2人は先に出ててくれ…
○○はそう伝え部屋へ戻っていく。
遥香:お兄ちゃん大丈夫かな…
さくら:わかんない…けど私たちに出来ること無いもんね…
遥香:仕方ない…先に行こっか?
さくら:うん…
遥香:それじゃお兄ちゃん先に行くね?
○○:あぁ…また後でな…
○○は扉越しに遥香達を見送り
○○:はぁはぁ…やべぇ…視界が暗くなって…きた…
その言葉を最後に静かに倒れていく。
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階段を上がった先にある神社。
そして
"ひゅ〜…ドォン!!"
空に上がる大きな花火。
まるで夏祭りに見た時と似たような光景。
○○:すげぇ…綺麗だな。
遥香:お兄ちゃんと"最後"に来れてよかったよ。
○○:最後?
遥香:私達ね…
遥香がそこまで言うと
??:久しぶりだな。○○。
後ろから聞こえてくる父親の声。
○○:なっ…なんで父さんが居るんだよ…この前捕まってたじゃ…
○父:俺が捕まった?何を言ってるんだ?
さくら:そうだよ。お兄。
遥香:お父さんは私達を"迎え"に来てくれたんだよ。
○○:はっ?
○父:なんだ?お前何も聞かされてなかったのか?
○○:遥香…さくら…どういう事だ…?
さくら:私達ね、これからお父さんと一緒に居るって決めたの。
遥香:お父さんと居れば生活に困る事も無いし欲しい物だって手に入って、やりたい事だって出来るんだよ?
さくら:きっとお兄と居る時より楽しいんだろうなぁって思うんだ。
○○:嘘だ…
遥香:だからさお兄ちゃん。私達はもうこれからは"家族"じゃ無くなるの。わかった?
○○:辞めてくれ…
さくら:これからもお兄は大変だろうけど"1人"で頑張ってね。
○○:辞めろ…辞めてくれよ…
そして遥香達は○○を軽蔑したような目で見ると父親と共にその場を消えていった。
○○:はっ!?
そこまでいくと
○○:はぁ…はぁ…"夢"…か?
起き上がると目の前はいつもの部屋。
○○:くそっ…最悪な夢だ…
すると
??:あっ、起きた?
部屋のドアが開きとある人物が入ってくる。
○○:"山下さん"…?
その人物は山下だった。
山下:かっきーから賀喜くんの様子がおかしいって聞いてさ?
○○:あっ…あぁ…そういうこと…
山下:勝手に入っちゃってごめんね?
○○:いや…大丈夫だけど…学校は?
山下:休んじゃった。本当は梅が行くって言ってたんだけど実行委員が2人とも居なくなるわけには行かなかったしさ。
○○:そう…なんだ…
山下:それより大丈夫?なんかずっと魘されてたけど?
○○:…嫌な夢見ちゃってさ…
山下:どんな夢?
○○:遥香達が…父さんと一緒に居なくなる夢…
そう話す○○の目からは数滴の涙。
山下:そっか。怖かったね。
山下は涙に気付くと優しく抱きしめる。
山下:嫌な夢見ちゃったね…けど現実は2人とも賀喜くんを心配していつも通り優しいから大丈夫だよ。
○○:…うん…分かってる…分かってるんだけど…
山下:今日は私が一緒に居るから安心してもう少し寝てな?
山下はそう言い○○をゆっくり横にさせ手を握りベットの傍に座る。
○○:うん…ありがと…
そして再び眠りへ落ちていった○○。
山下:そんな嫌な夢見ちゃったら嫌でも怖くなっちゃうよね…
そんな○○の頭をどこか寂しそうに撫でた。
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時刻は正午。
○○:ん…んん…
○○がゆっくり目を覚ますと
山下:す〜…す〜…
手を握り座ったまま眠る山下。
起こさない方がいいよな…
と気を使いゆっくり起き上がると
山下:んぅ…賀喜くん…
○○:ごめん、起こしちゃった?
山下:ううん…大丈夫だよ…
それより体調はどう?
○○:まだボーッとするかも…
山下:熱計ってみて?
山下は体温計を渡し熱を測ると
山下:38度もあるじゃん…やっぱ結構キツイよね。
○○:うん…
山下:私お粥作ってくるから少し待ってて。
○○:いいよ。食欲無いし…
山下:けど何か食べないと治んないよ?
それにすぐ出来るから。
山下はそういいキッチンへ向かい手際よく調理を始める。
○○:はぁ…体調崩して皆に迷惑かけるとか情けないな…しかも…
嫌でも脳内によぎるさっきの悪夢。
すると
山下:おまたせ〜。
おぼんにお粥を乗せた山下が戻ってくる。
山下:自分で起き上がれる?
○○:大丈夫…
と○○はなんとか体を起こすと
山下:食べさせてあげるから口開けて?
○○:そんな…自分で食べられるんで…
山下:いいから…こういう時は甘えて…?
山下は薄ら頬を赤く染めてそう言う。
○○:なら…
○○も口を開け運ばれてくるのを待つ。
山下:どう?美味しい?
○○:うん…美味い…これなら何とか食べられそうだよ。
山下:なら良かった。
○○:色々やってもらってごめんね?
山下:大丈夫だよ。私が好きでやってるから。
○○:…そっか。
そして無事食べ終わり
山下:これ薬ね。
○○:ありがと。
山下から薬を受け取り水と共に飲み込み
○○:ごめん…もう少し寝てもいい…?
山下:もちろん。沢山休んでね。
と○○は3度目の眠りへつき
山下:…なんか今日の賀喜くんいつもより可愛いかも…
山下は○○の額の汗をタオルで拭いながら呟くと目に入ってくる○○の綺麗な顔。
山下:少しなら…いい…よね…?
山下は頬を赤らめながら目を瞑りゆっくりと○○の唇へ顔を近づけた時。
"ピロン"
タイミング悪く通知音がなってしまう。
山下:…私何やってんだろ…賀喜くんはただのお友達のはずなのに…
どこか寂しさも感じさせるような表情で呟き食器を持ちシンクへ運んで行った。
To Be Continued