委員長に恋は難しい 14話
池部:噂のあいつも出てきたか。
池部の視線の先には
○○:…
軽くストレッチをする○○の姿。
池部:こっちはかなりのリードがある。多少は遊んでも問題ないか。
そして1組ボールで試合が再開される。
○○:貸せ。
男子1:ちっ…
男子1は舌打ちしながらも○○へパスを出し
○○:まずは前半で1桁まで点差を縮めかねぇとな。
しかしマークに入ってくるのは池部。
だがこの時池部は感じていた。
池部:(こいつの雰囲気なんだ…?)
経験者、更にはエースと呼ばれるからこそ分かる。
池部:(只者じゃねぇな…?)
他とは全く違う威圧感。
そして○○は床にボールを突き始めたその時
池部:(…こいつはやばい!)
何かを察する。
その変化に気づいたのは
遥香:お兄ちゃんが本気出してる…
遥香もだった。
男子1:何してんだよ!早く攻めろよ!
○○:黙れ。
池部:来いよ…?
○○:あぁ。言われなくてもな。
と○○はドリブルを始める。
○○:なるほど。確かに他の雑魚とは違うか。
けどこれならどうだ?
○○はスリーポイントシュートを放つ。
相手1:やっぱあいつも諦めてんのか?
池部:違う!こいつの狙いはリバウンド…
しかし
"パスッ"
綺麗にネットを揺らす。
池部:はっ?
○○:2点ずつ返してりゃ時間が足んねぇよ。
お前らこの後も全部俺に渡せよ。
そして次は8組からのボールで再開される。
相手1:池部頼むぞ!
池部:あぁ。
とパスを受ける池部。
しかし
○○:点取るなら俺を抜けよ?
相手陣地からプレッシャーをかける○○。
池部:ちっ…
相手2:池部!こっちだ!
右サイドでフリーになった相手2が要求しに来る。
池部:ここはリズムを変えるか。
と池部からパスが出された瞬間
○○:遅せぇし迷いすぎ。
一瞬でカットし、再びスリーポイントシュートを放ちネットを揺らす。
池部:ちっ…
○○:これで8点差か。
10対18と一気に点差を詰める。
男子1:8点差…!まだ何とかなる…!
男子2:賀喜!この後も頼むぞ!
○○:当たり前だ。黙って俺に全部集めろ。
その頃
医務員:なるほどねぇ。結構痛いでしょ?
梅澤:いっ…
保健室でアイシングされ苦痛の表情を浮かべる梅澤。
医務員:けどこの感じだと骨に異常は無さそうだし安静にするのが1番かもね。
梅澤:もうこの後試合は出られないんですか…?
医務員:1人で歩く事すら厳しいんだよ?それに自分が1番分かってるでしょ。
山下:梅…皆も待ってる。戻ろ。
梅澤:うん…
医務員:もし痛みが引かなきゃちゃんと病院行くのよ?
梅澤:はい…ありがとうございました…
梅澤は一礼し美月に肩を持たれ保健室を出ていく。
山下:ねぇ梅?
梅澤:なに…?
山下:どうして○○の事ずっと気にかけてくれてるの?
梅澤:…優しい人がはぶかれるなんて嫌だもん。
賀喜君は誰よりも優しくて強い。それでいていい人なのに…見た目が怖いからって嫌われちゃうのは私も辛い…
山下:じゃあさ、そこに"恋愛感情"はあるの?
梅澤:わかんない…でも賀喜君と話してる時は他の子達とは違う安心感みたいなのは感じる。
山下:ふぅん。じゃあ好きなんじゃん。
梅澤:…そういう山はどうなのよ?
山下:私も○○の事は好きだよ。
幼なじみとしても"異性"としても。
梅澤:告白はしないの…?
山下:昔に何回かしたけど全部断られちゃってさ。
その時も気まづく感じてたんだけど気を使ってくれたのか○○は普段と全く変わらずに居てくれたの。
だから今も仲良くできてるし、話せる事が幸せだなぁって感じてるよ。
梅澤:そっか…
山下:まっ!そんな暗くならないでさ、梅が好きな○○の為にも明るく戻ろ?
梅澤:…そうだね。
そして2人は体育館へ戻る。
山下:えっ!?すごくない!?
驚いた美月の視線の先は
"28対28"
得点板にはその数字が書かれていた。
試合も前半を終え後半も終盤。
梅澤:追いついてる…
女子2:梅澤さん!大丈夫だった?
梅澤:うん…安静にしてれば大丈夫だって…
女子2:良かった…
梅澤:それよりどうして追いついてるの?あんなに点差があったのに…
女子2:賀喜君だよ。ここまで全得点を取って、ディフェンスも頑張ってた。
○○:時間はあと2分ってとこか。
池部:こいつに真っ向から挑んでも勝てない…なら…!
池部がドリブルを始め
○○:また同じ作戦か。つまんねぇな。
ディフェンスの体形へ入るが
池部:ふっ!
相手1:頼むぞ!
一瞬のワンツーからの
相手2:行かせるか!
○○の前に体を入れ動きを封じる相手2。
○○:ちっ…だりぃ…
そしてそのまま池部がレイアップを決め8組が勝ち越す。
池部:全員!死ぬ気で守るぞ!
"あぁ!"
池部を中心に再びやる気の入る8組。
しかし
○○:黙れ雑魚共。
ゆったりとしたドリブル。
からの
池部:くそっ!
一瞬で加速し池部との距離を縮め
○○:雑魚は下がってろ。
○○は一気に右側からかわしにかかる。
池部:じゃあもう少し工夫しろよ?
当然その動きについてくる池部。
しかし
○○:退け。
背面からボールを回し左手でドリブルを始め、傾いた重心を左へ変え一気に抜き去り再びダンクを決め同点に追いつく。
山下:すごっ!
梅澤:向こうは全然着いていけて無かった…
その後も両チームとも譲らない展開が続き、残り10秒と言うところ。
山下:ここ守り切らなきゃ…
点は36対36の同点。
池部:悪いが勝たせてもらうぞ。
終盤から同じ攻めの池部。
相手1:頼むぞ!
男子1:誰でもいい!少しでもボールに触れ!
池部:もう手遅れだよ。
シュートモーションへ入り
池部:俺達の勝ちだ。
梅澤:そんな…
男子2:くそっ…!
無情にもシュートが放たれる。
その時だった。
○○:決めてから勝ち宣言しろよ。
上から池部のシュートを叩き落とす。
池部:なんだと!?
山下:○○!
そしてラインを割りそうなギリギリで残すとそのままドリブルで突破していく。
しかし池部も黙ってはいなかった。
池部:絶対に決めさせてたまるか!
一瞬で戻り○○との距離を無くし動きを封じようとするが
○○:なら最後の勝負だな。
気にする素振りも見せずゴールへ飛び上がる。
池部:絶対に止める!
池部も同じタイミングでブロックに入る。
梅澤:賀喜君!
山下:○○!決めちゃえ!
遥香:お兄ちゃん!
池部:負ける訳にはいかねぇんだよ!
最後の力を振り絞り押し返すが
○○:そんなんじゃ勝てねぇよ。
○○のダンクが決まる。
池部:…くそが!
そしてボールが落ちてくると同時に試合終了のホイッスルが鳴らされ
"38対36"
○○達1組の優勝が決まった。
To Be Continued