マドンナとの同居生活は大変です 40話
………
沈黙が流れる車内。
○○:…
○○は黙って震える賀喜の手を握る。
○○:怖い思いさせてごめん。
もっと早く助けてやれれば良かったのにな…
賀喜:そんなこと無い…すごく怖かったけど…美月さんと○○君が来てくれて本当に安心したよ…
美月:正直○○が居なかったらどうなってたかわかんなかったよ。
賀喜:…○○君…
○○:なんだよ?
賀喜:さっきさ…"大事な奴"って言ってたじゃん…?あれってどういう意味…?
○○:そのままの意味だよ。
けどもう少し待って欲しい。
賀喜:待つ…?
○○:…これ以上は聞くな。
そして再び静寂が訪れる。
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それから○○の家に着き。
美月:かっきーは今日もうちに泊めるから。
○○も疲れてるだろうしゆっくり休んで、ちゃんと自分の意思でこれからのこと決めなよ?
○○:…分かってる。
○○はそういい去っていく美月の車を見つめる。
○○:逃げるな。さっきので覚悟は決めたはずだ。
○○は、
"明日の放課後お話したいことがあります。"
史緒里にそう送る。
すると
"ちょうど良かった。私も○○君に言わなきゃいけない事があったから。"
秒で返ってくる返信。
"放課後、私のお家で待ってるね。"
○○:分かりました。
そこで会話を終わらせ、
○○:ちゃんとケジメをつけないとな。
じゃないとあいつも…史緒里さんも傷つけることになる。
覚悟を決めた表情で家の中へ消えていく。
その頃
美月:かっきー。
賀喜:はい…?
美月:きっとかっきーも分かってると思う。
さっきの○○の言葉の意味は。
賀喜:…あの言葉は本当は私に向けられちゃダメなんです。
○○君には史緒里ちゃんって彼女が居るから…だから…
美月:かっきーの気持ちも当然分かるよ。
けどね、これだけは言える。
賀喜:…
美月:○○はやっと自分の本当の気持ちに気づけたんだって。
賀喜:本当の気持ち…
美月:理由はきっと色々あると思う。
それでも○○はあの時からようやく少しは前を向けるのかもしれない。
そして私はそんな○○の隣にかっきーが居てあげて欲しいって心の底から願ってる。
賀喜:美月さん…
美月:これ以上言っちゃうとあれだし私はここら辺で終わらせとくね。
とにかくかっきーも素直になること。
で、明日は○○のお家に帰って2人で久しぶりにゆっくりお話しな?
賀喜:はい…
そう話す美月。
けれど
賀喜:…
賀喜の表情が晴れることは無かった。
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翌日の放課後。
"ピンポーン"
と鳴るインターホン。
久母:はい?
○○:山下です。今史緒里さんいますか?
久母:山下君ね。今お部屋にいると思うから上がって?
と玄関のドアが開き家の中へ案内される。
○○:お邪魔します。
久母:お部屋の場所は分かる?
○○:はい。大丈夫です。
○○はそう返し、階段を上がり史緒里の部屋へ向かう。
"コンコン"
○○:史緒里さん入りますね。
ノックをしドアノブを捻り入っていく。
久保:…○○君お疲れ様。
ベットに背を預け縮こまり座る史緒里。
○○:昨日は本当にすみませんでした。
正直気が動転しててどうすればいいのか何も分からなくて…
久保:謝らないでよ。あの様子じゃ只事じゃ無かったんだなって想像出来てたし。
○○:…史緒里さんのお話ってなんですか?
久保:…回りくどく言うのはダメだと思うからすぐに言うね。
史緒里は1つ間を空ける。
久保:私達別れよっか…
○○:史緒里さん…
久保:○○君に出会って、○○君を知って、○○君を好きになって付き合えた時は本当に幸せだったよ。
この世界中で誰よりも。
○○:…
久保:色んなとこにデートも行ったし…色んなものを一緒に食べられたし…やりたい事も…○○君が私を求めてくれたことも本当に幸せで嬉しかったよ。
でもね…気づいちゃったの。今○○君が見てるのは私じゃない誰かだって。
○○:…
久保:目の前には私が居るのに…○○君の目に映るのは私じゃない…それが何よりも辛くて…でもどうしようもできなくて…
○○:史緒里さん…
久保:だからお互いにとってもこれ以上付き合ってても辛くなるだけだから…
だから今日で私達終わりにしよ…
溢れる涙。
いくら拭おうと止まることは無い。
○○:…本当にすみませんでした。
俺も…史緒里さんと居る時は楽しかったです。これからも一緒に居るんだろうなって考えた事もありました…でもごめんなさい…
久保:…最後に1つだけわがまま言わせて…?
○○:はい…
久保:最後に…最後に抱きしめて…
幸せだった事を感じさせて…
○○:わかりました。
○○は優しく、それでも力強く史緒里を抱きしめる。
久保:もう大丈夫だよ…
と離れる2人。
久保:それじゃこれがもう最後だね…
○○:…今までありがとうございました。
久保:…こちらこそありがとう。
そして史緒里の部屋を出て玄関へ降りる○○。
久保:○○君…
○○:はい…?
久保:バイバイ。
そう告げる史緒里はただ悲しみに襲われながらも、○○が好きだった笑顔を浮かべていた。
○○:…本当にすみませんでした。
○○は最後に謝り背を向け去っていく。
久保:もっと…もっと○○君としたい事も…見たい物もあったのに…1人になっちゃったな。
静寂になった玄関には史緒里の悲しい呟きだけが流れる。
それからしばらくし
○○:ただいま。
○○も家に着くが
○○:あいつ居ないのか?
美月からは今日帰ると連絡があったが、家には人の気配は一切無い。
○○:まだ帰ってきてないだけか。
○○はそのままリビングへ向かうと
○○:なんだこれ?
机の上には、
"○○君へ。
短い間だったけどありがとう。
初めてお家に行った時の○○君の驚いた顔今でも覚えてるよ。
きっと○○君じゃなきゃこんな毎日楽しくて、充実した日が送れてたか分かんないな。
それぐらい幸せで嬉しくて満たしてくれる○○君が好きだよ。
けどそれも今日で終わりにしよ。
○○君は史緒里ちゃんと2人で幸せにならなきゃダメだよ?
史緒里ちゃんはほんとにいい人だし、2人はお似合いだと思うからさ。
長くし過ぎても○○君は鬱陶しいって感じちゃうと思うからここら辺で終わりにしとくね。
最後にもう1回だけ。
好きだったよ。
賀喜遥香"
その手紙だけが残されていた。
To Be Continued
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