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クラスのマドンナ達に狙われてるみたいです 45話

帰り道にある小さな公園のベンチに静かに座り俯く1人の少女。



○○:あれ?"久保さん"?




久保:…賀喜くん。



○○:こんな時間にどうしたの?



久保:…ううん。なんでもないよ。



○○:そっか。



○○はそう言うと近くの自販機で2本のカフェオレを買うと



○○:はい、これ。



久保に差し出す。



久保:えっ?



○○:何か色々考えてるのは顔見たらわかるよ。



久保:…



○○:俺なんかが力になれるか分かんないけど話してみてよ?



久保:そんな大した事じゃないし…



○○:俺ら友達でしょ?
だったら話に大きいも小さいも無いと思うんだよね。



久保:賀喜くん…



久保は缶のプルタブを開け1口カフェオレを喉に流し込むと



久保:私"夢"があるんだ。



少しずつ話し始める。



○○:夢?



久保:私…"歌手"になりたいの。




○○:へぇ、すごい夢じゃん。



久保:けどね…今日お母さん達に話したの。
そしたら…
"夢を見るのはいいけど現実も見なさい"
って…



○○:…



久保:もちろん自分でもわかってるよ…
私は自分から率先して何か出来るタイプじゃないし、山達が居るから今の私が居る。
そんな私が歌手として大勢の前で1人で歌えるかなんてお母さん達からすれば無理だって思うよ…



○○:そっか…



久保:でも諦めたくなくて…そしたら喧嘩になっちゃって気づいたらこの公園に居たんだ…



久保は薄ら涙目になりながら話す。



久保:ってこんな事急に言っちゃってごめんね…



○○:俺はすごいと思うよ。



久保:えっ…?



○○:正直俺さ…夢なんて無くて毎日どうやって生活するか、遥香達を楽させてやるかしか考えらんなくて夢なんて大それたものないんだよね。



久保:…



○○:けど久保さんは違うじゃん?
自分でなりたいもの、やりたい事が明確に決まっててすごいと思うよ。



久保:でも結局は…



○○:夢ってさ、叶えるのが"難しい"から夢って言うんだと思う。



久保:…



○○:簡単に叶うならそれは"目標"だと思うんだ。



久保:夢じゃ無くて目標…



○○:あんまり俺も説明するの苦手だからあれだけど、夢って叶うか分からない。だから叶えたいって頑張るんだと思う。



久保:…



○○:しかも久保さんの歌手になりたいって夢は誰でもなれるものじゃないからこそ難しい。けど叶えられたらかっこいいし、更に色んな人に勇気を与えられると思うんだ。
そんな久保さんを俺は見てみたいな。



久保:私が勇気を与える…



○○:って俺が偉そうな事言える立場じゃないんだけどね。



○○は笑っておどける。



すると



久母:史緒里!こんなとこに居たのね!



久保:お母さん…



久保を探しに来た母親。



久母:急に出ていってどれだけ心配したと思ってるの!



久保:ごめんなさい…



久母:それと隣の子は?



○○:久保さんのクラスメイトの賀喜○○と言います。



久母:それでどうして賀喜さんが一緒に?



○○:帰り道に偶然見かけたので少しお話してたんです。



久母:そう。まぁいいわ。史緒里帰るわよ。



久保:うん…



と公演を出ていこうとする久保達。



その時



○○:あの!



久母:何かしら?



○○:久保さんの夢の事聞きました。



久母:そう。それがどうかした?



○○:俺が偉そうな事言える立場じゃないのは分かってます。
でと…1度でいいので久保さんがどれだけ本気なのか考えてあげてもらえませんか…?



久母:突然何を言い出すのかと思ったら…



○○:文化祭の日…久保さんがステージで歌うんです…だから聴いてあげて欲しいんです…!



久保:えっ?賀喜くん?



○○からの突然の提案に?が浮かぶ久保。



○○:それでも難しいと思うなら俺はこれ以上何も言いません。



久母:…わかったわ。その約束忘れないでね。



○○:はい。



久保:お母さんすぐ追いつくから先に帰ってて。



久母:ほんとに帰ってくるの?



久保:うん。すぐ帰るから。



久母:わかったわ。



と久保の母は先に公園を出ていくと



久保:賀喜くん急に何言ってるの!?



○○ごめん…気づいたら…



久保:流石に急すぎるよ…



○○:だよね…



久保:でも…ありがとう。



○○:えっ?



久保:おかげで勇気が出たよ。
明日先生に頼んで時間貰うよ。



○○:ほんとに言ってる?



久保:うん。多分これが最大のチャンスだし後悔はしたくないから。



○○:そっか。



久保:だからさ…もしも…もしもだよ…



○○:ん?



久保:もし私が将来歌手になれたら…その時は最初のファンになってね?




久保はどこか照れくさそうに告げる。



○○:もちろんだよ。たとえ何年、何十年先になっても俺がファン1号として応援し続けるよ。



久保:ありがと。やっぱり賀喜くんはすごいね。



○○:別に俺は…



久保:絶対にお母さん達にも納得してもらうから。



○○:…応援してる。



久保:それじゃ私帰るね。



○○:あぁうん。気をつけて。



久保:賀喜くんもね。



そして○○は久保を見送り



○○:…夢…か。



小さく呟いた。



〜〜



〜〜



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〜〜



それから数日経ち文化祭当日。



梅澤:なんか緊張してきた…



山下:梅!メイド服めっちゃ似合ってるよ!



梅澤:これ丈短くない…?大丈夫…?



山下:大丈夫!



梅澤:賀喜くんはどうかな…?




教室にはメイド服を着た女子生徒や執事の格好をした男子生徒達。



○○:いいと思うよ…すごい似合ってるし…



梅澤:なら良かった…



流石に可愛すぎんだろ…



○○は冷静を保とうとするが



久保:賀喜くん顔赤いよ?



○○:いや…そんなことないけど…



山下:もしかして私達見て照れてる?



○○:…まぁ…いつもより可愛く見えるし…



梅澤:可愛い…///



すると



飛鳥:みんな来てるね?そろそろ始まるから頑張ってね。



と飛鳥先生が告げに来ると



"よっしゃ!どのクラスよりも売り上げ上げるぞ!"



"おぉ!"



文化祭が始まった。



To Be Continued

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