クラスのマドンナ達に狙われてるみたいです 47話
遥香:文化祭ってすごい楽しいですね!
山下:でしょ〜?
久保:中学校の頃はどうだったの?
遥香:ここまで大々的にやってなかったから面白みは無かったかも?
梅澤:まぁ確かに高校だから出来ることもあるもんね。
遥香:あっ!お兄ちゃん!私お腹空いた!
○○:ならそろそろ昼ご飯食べるか。
さくら:私たこ焼き食べたい。
遥香:じゃあ私は焼きそば!
2人はそう言いながら○○の手を取り出店へ向かう。
久保:ごめん、私先生に呼ばれてるからちょっと行ってくるね。
山下:ほ〜い。
と残された2人。
山下:賀喜くんってさほんといいお兄ちゃんだよね。
梅澤:うん。けど急にそんな事言い出してどうしたの?
山下:…梅ってさ…賀喜くんの事"好き"でしょ?
梅澤:えっ?
山下:別に誤魔化さないでいいよ。
私と同じ目してるからわかるよ。
梅澤:…好きだよ。
山下:いつから?
梅澤:分かんない。賀喜くん達の事情を知っていく内に私が支えたいって思ってた。
けどそれが気づけば傍に居たいって…隣に居たいって思うようになってたんだよね。
山下:へぇ。
梅澤:そういう山は?
山下:私も同じ感じかな。
誰よりも妹思いの優しい所も好きだし、無理し過ぎちゃうから私が支えなきゃって思うし、何よりも私が傍で賀喜くんの事を笑顔にしたい。
山下は力強く梅澤の目を見つめ話す。
山下:私は今日、賀喜くんに告白しようと思ってる。
梅澤:えっ?
山下:けど抜けがけはしたくない。だから梅に話したの。
もちろん梅が告白してもしなくても構わないよ。それでも私は後悔したくないから想いを伝える。
梅澤:…
山下:ちなみに恨みっこは無しね?
もし賀喜くんが梅を選ぶなら私は2人の事を応援するから。
山下はそう告げその場を去っていった。
梅澤:…山は覚悟を決めたんだ。なら私も…
去っていく山下の後ろ姿を見つめ握りこぶしを作り覚悟を決めた表情を浮かべる。
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久保:ふぅ…大丈夫…自分を落ち着かせて…
体育館のステージ裏で緊張した様子の久保。
すると
飛鳥:なに?緊張してんの?
飛鳥先生が久保の元へやってくる。
久保:飛鳥先生…
飛鳥:そんな気にしすぎなくてもただの文化祭なんだから楽しむ事を第1にしな?
久保:はい…でもそれだけじゃないんです…
飛鳥:ん?どういうこと?
久保:私歌手になるって夢があるんです…
飛鳥:へぇ、すごいじゃん。
久保:けど誰でもなれるわけじゃないし…私なんかが口にしていいのか…
飛鳥:夢を口にするのに権利なんて全員あるんだからそんな気にしすぎ無くていいんじゃない?
久保:ですよね…
飛鳥:まっ緊張し過ぎたっていい事ないし程よくね。程よく。
飛鳥先生はそう言うと久保の背中をポンポンと叩き
飛鳥:それに失敗したって周りにいる人らは何も変わんないでしょ?
いくら笑われたって、バカにされたって変わらずに褒めてくれるだろうし。
だから程よく楽しんできな。
久保:飛鳥先生…ありがとうございます…!頑張ってきます…!
飛鳥:ふっ、いい顔したじゃん。
そして
"次は2年1組、久保史緒里さんによる歌唱です。"
とアナウンスが流れ
久保:よしっ。やってやるぞ。
覚悟を決め久保はステージの中央へ歩いていく。
久保:それでは聞いてください。
その言葉を合図に照明が久保に当たりイントロが流れ始め
体育館に響く久保の透き通った歌声。
それを聞いた人達は
"すげぇ上手いな…"
"それだけじゃなくて胸に刺さるよな。"
"気づいたら聞き入っちゃうね。"
"高校生とは思えないぐらい上手だね。"
ただただ聞き入っていた。
それから曲も進み
最後のサビへ入り
そして歌い切り
久保:ありがとうございました。
深々と頭を下げると
"ぱちぱちぱちぱちぱち"
体育館に溢れんばかりの拍手。
そして久保は体育館裏へ下がっていく。
久保:ふぅ…緊張した…
やりきったように座り込む久保。
すると
○○:久保さんお疲れ様。
久保:賀喜くん…
○○:最初からずっと聞かせてもらってたよ。
久保:どうだった…?
○○:すごいよ。もうなんか気づいたら聞き入っちゃってたし、隣に居た人なんて泣いてたよ。
久保:そっか…
○○:それに今ので確信した。
久保さんは絶対に有名になれるよ。
久保:賀喜くんのおかげだよ…ほんとにありがとね…
○○:ううん。最後に久保さんが勇気を出したからだよ。
それと久保さんのお母さんもさっき居たから話してきな?
久保:うん。
久保は立ち上がると観覧席に居る母親の元へ向かう。
久保:お母さん…
久母:史緒里。
久保:私…本気なの。本気で歌手になりたいの。
だから…
久母:あなたの本気がよくわかったわ。
久保の母は優しく微笑むと
久母:史緒里の夢を応援させて?
久保:お母さん…
久母:けど簡単な道じゃないわよ?
本気で目指すからには覚悟しなさいよ?
久保:うん…!
久派:それじゃ私は帰るからこの後もお友達とゆっくり楽しんでね。
そう言い残し久保の母は校舎を出ていった。
その頃
○○:まさか久保さんがあんなに歌上手いなんて知らなかったな。
あのレベルならそう遠くないうちになれるだろうな。
中庭にあるベンチに1人座っていると
梅澤:賀喜くん居た。
○○:ん?って梅澤さんか。どうしたの?
梅澤:少し賀喜くんに話したい事があって。
○○:俺に話したいこと?
梅澤:私、賀喜くんの事が好き。
To Be Continued