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会社法 16 - 株式 4 - 株式名簿

株式名簿

株主とその持株数に関する事項を記載または記録するため、株式会社に作成が義務付けられている帳簿。
株主名簿は、主に会社が株主の管理の便宜を図る目的で設けられ、会社は、株主名簿に記載された者を株主として扱われなければならない。

株主名簿の作成

株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる株主名簿記載事項を記載し、または記録しなければならない(121条1項)。

i   株主の氏名又は名称及び住所
ii  前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数
iii  第一号の株主が株式を取得した日
iv 株式会社が株券発行会社である場合には、株券の番号

株主名簿記載事項を記載した書面の交付

株主名簿に記載し、または記録された株主は、株式会社に対し、その株主についての株主名簿に記載され、もしくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付または株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる(122条1項)。

基準日

株式会社は、一定の日(基準日)を定めて、基準日株主をその権利を行使することができる者と定めることができる(124条1項)。基準日株主とは、基準日において株主名簿に記載され、または記録されている株主。
例えば、基準日を年度末の3月31日として、その年度の株主総会(6月開催が多い)で権利を行使できる株主を確定する。
株式の譲渡等により、株主は、日々変動しているため、基準日を設け、その日の株主をその権利を行使することができる者とすることによって、会社側は免責等を受けることができる。

基準日以前に株式を取得した者

株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載し、または記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない(130条1項)。
判例(最判昭30.10.20)は、株式の譲渡があったにかかわらず、株主名簿の名義書換が会社の都合で遅れていても、会社が譲渡を認め、譲受人を株主として取り扱うことは認められるとしている。

株主名簿の効力

株式の移転の対抗要件

株券不発行会社
株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載・記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない(130条1項)。

株券発行会社
対会社
株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載・記録しなければ、株式会社に対抗することができない(130条2項)。
対第三者
株式の譲渡を第三者に対抗するためには、株券の占有をしている必要がある。株券は有価証券であるので、その占有が第三者対抗要件となる。
株式の譲受人は、株主名簿の名義の書換えをしなくても、第三者に対しては、株券を持っていれば、それで対抗できる。

免責的効力

会社は、株主名簿に株主として記載または記録された者を株主として取り扱えば、その者が真の権利者でなかった場合も、それにつき悪意でなく重過失がない限り免責される。

名義書換未了株主の権利行使

名義書換未了株主は、基準日以前から株式を取得していた者で、株主名簿の名義書換をしていない者。会社は、株主名簿に株主として記載または記録がなければ、真の権利者であっても、その者の株主権の行使を認める必要はない。しかし、会社が、自己の危険において、名義書換未了株主を株主と認め、その者の株主権の行使を認めることは許される(最判昭30.10.20)。

また、株式譲受人から株式会社に対し、株式名義の書換えの請求をした場合に、会社の過失により書換が行なわれなかったときは、会社は、株式名義の書換のないことを理由として、株式の譲渡を否認することができない。株主からの名義書き換えの請求に対して、会社が、不当に拒絶した場合、株主は、自分が株主であることを主張することができる(最判昭41.7.28)。

株主名簿の備置き

株式会社は、株主名簿をその本店に備え置かなければならない(125条1項)。株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所に備え置かなければならない。(125条1項)

株主に対する通知等

株式会社が株主に対してする通知または催告は、株主名簿に記載し(または記録した)当該株主の住所にあてて発すれば足りる。
当該株主が別に通知又は催告を受ける場所または連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所または連絡先にあてて発すれば足りる。(会社法126条1項)。

通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす(同条2項)。


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