降る涙

ただの知り合いだった
学校も違う
年も知らない
夜の公園であるいは廃ビルの駐車場で
誰もいない場所でそいつと会った
話したのは的外れな天気予報の話がほとんどだった
晴れ、曇り、雨の三択だから当たることもあるにはあった

数日に一度会った
いつもジャージだった
夏も冬も

ある時から会わなくなった
一週間会わないことくらいはよくあったから、どうせまた風邪でもひいたんだろうと気にしなかった
さすがに風邪が長引いたって一ヶ月会わないのはおかしいと思った
でも家も連絡先も知らない
だから毎日公園と廃ビルの駐車場を散歩した
一年続けても会わなかった

今ではもう顔も声も覚えてない
掴みどころがないくせに、涙だけ纏わりつく
霧みたいなやつだった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?