花葬

去年書いた詩です
見返してたら花や雨がよく出てきます

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   花葬

 花の葬々し
 式はない
 華が騒々しい
 歌は奏々しいしい
 済んだ火葬は仮葬だけど

 この白布を今すぐ剥ぎ取ってしまいたい
 あの火に
 あの灯に燃やし尽くされる前に
 雨が降ればいいのに
 大雨が降ってしまえばいいのに
 雲はあるのに

 君の視線はあの子が独り占め
 これは恋なんかじゃないよ
 これは嫉妬なんかじゃないよ
 どうして一々感情に名前をつけるのかな
 ただぼんやりと味わってたっていいじゃない
 意味なんてないまま泣いたっていいでしょ?
 残った雨粒を光が通れば虹が架かる

 花は子孫を残して散っていく
 大人にされて散っていく
 いかに美しい花々も散り乱れ、零れ落ちる
 落ちた花々は踏み荒らされて
 枯れてゆく
 死んでゆく

 非難を受けた徒花が
 死すればまた非難を受ける
 非難は燃え広がって灰を作る
 でも、枯れ木に花を咲かせるのは灰
 ほら、徒花だって悪くはないでしょ

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