声の降る
人間は声から人を忘れていくものらしい
僕には忘れられない
知らないはずの声が
聞いたことのないはずの声が
頭にこだまして止まない
音のない世界に生まれたはずなのに、いつからか、一つの声が聞こえた
それは二つになって四つになって、どんどん増えていった
今ではもう数えきれないほどの声に日常を侵されている
静かなはずの現実はずっとうるさかった
止まない雨のように無限に降り注ぐ声に疲弊して寝て、また疲弊する
疲れるために休んでいるのか
休むために疲れているのか
なんのために休むのか分からない
全部をぐちゃぐちゃにされた
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