こだわりについて②

 前回に続いてこだわりについて私の経験を書いていきたい。
今回は食事に対してのこだわりだ。時間のある人は付き合ってほしい.。

 施設では一日に3回の食事とおやつを1回提供している。食べることを楽しみにしている人は多く、食事時間になると皆ひとりでに食堂へ集まってきている。正月やバレンタイン等のイベントの日はメニューが少し豪華になった食事を出すこともあり、季節感も食事に取り入れ楽しみをもってもらえるよう工夫を凝らしている。
 健常者でも食事に対しては、味の好みや苦手な食感や見た目が顕著に出やすい。3大欲求の1つのだからか、食事は各々の個性が表面化しやすいなぁと思う。障害を持った人だとよりはっきりとした行動に出やすい。
食事場面で色々な行動を見てきた。

・出されたものは全部食べなければならない
 子供の頃に「残さず食べなさい」と言われて育った方が大半だろう。私も母からの期待に沿えるようあまり好きではないが、ゴーヤを残さず食べた記憶がある。施設にはゴリゴリの自閉症さん達も多く、自閉症さんの特性でルールを曲げれない。幼少期に「出されたものは全部食べる」教育をされている為、食事は何が何でもお腹に入れなければならない。
 外食では飲み物に氷が入っていることが大半だが、氷まで全部食べなければいけない為、震えながらガリガリかみ砕いている。急激に口の中の温度が下がった為、夏なのに鼻から冷気が出ていたのは思わず笑ってしまった。

・特定の物しか食べない
 誰しも食の好みはあるだろうがお腹が空いて、好きじゃない物しかない場合、多少我慢して食べると思います。私が関わったことがある人でビーフシチューとトンカツしか食べない人がいた。
 入所した際にアセスメントには保護者からこれしか食べないと聞いていたが、住む場所が違えば行動が変わることはよくある。保護者と話をして食事はしばらく施設で出しているものと同じ物を出して様子をみていた。
4日間は水分しか飲まず、栄養補助のエンシュアも飲まなかった。その為、他の人は献立メニューを提供しているが、この人だけ特別に冷凍食品のシチューとトンカツを提供し続けている。食事の欲求よりもこだわりが優先される根性には脱帽だ。

・食事に全く興味がない
 大体の利用者さんは甘いものやお寿司やステーキ等の豪華なメニューが大好きだ。たまーに食事に一切興味が無い人がいる。こちらが介助しないとスプーンすら持とうとしない。保護者からの情報では5日間食事を食べずに平気な顔をしていたとのこと。5日目で保護者が耐えかねて、無理やり口にケーキをねじ込んだそうだ。食べたら好きな動画をみせることを伝え何とか食べてもらった。施設でもご飯を食べたら好きな動画をみせる約束をして何とか食事はできている。
不思議と年に一回の健康診断では異常なしの結果が出ている。

他にも食欲と性欲が混同している人や1回の食事に2時間かかる人等いろんな食事方法をきいた。これらの人はまたの機会に紹介したい。

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