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【18週4日】お別れの日

前日は思ったよりも眠れた
23時頃から6時まで。途中一度起きたくらいで。

緊張はしていたが、
朝ごはんもしっかり完食し、
お腹の子の胎動も感じつつ
産褥ショーツ、産褥ナプキン、病院着に
着替えて待機していた。
お腹の子が何かをわかってるのかはわからないけど、
お互いにとって長く苦しい時間に
ならないといいな、とだけ思っていた。

朝9時から、分娩台にあがった。
前日から入れていたラミー8本をとる処置をし、
子宮口は2.5cmくらい開いていていい感じです、と
言われ安堵する。

膣剤をいれ、点滴で促進剤を入れだす。
本当に、いよいよだ、と。これまでの迷いの日々が
もう進みだしたことへの少し安堵のような、
落ち着いた気持ちもあった。
よく動く子なのに、横になったら胎動もずっと
感じるだろうと思っていたら
まったく感じなくなっていた。
もう窮屈だったのかなぁ。
もうお腹の子の心臓は止まってしまったのだろうか、
時々心配に感じながら過ごしていた。

途中陣痛室で流れていた音楽が
とても良いクラシックで
劇的な曲だと感情が持ってかれて
涙があふれてしまいます、と一旦止めてもらった。
ピアニストの清塚信也さんの弾いてた
MISIAの曲、
なんて曲だったかなぁ。。会いたい?ていう
歌詞じゃなかったかしら、
この曲の時に産めたらいいなぁ、と
その時考えたりしていた。

半年前の2021年10月にも500gで30cmの
7か月の子を死産した。まったく同じ部屋だった。
その時のお産は、もともとお産が
進みにくい体質なのか、
病院の方が「大体の方は9時スタートしたら
午前中に生まれてきます」と
言われていたけど結局9時間近くかかり
17:30に生まれた。
そのことからも、今回も長丁場になるだろうな、とは
思っていたから、そのつもりで構えていた。

午前中、noteの前の記事を書いたりして、
今しか出せない言葉を形に残していた。
発熱もしだしたので布団を追加してもらい
仮眠もとっていたら正午12時になっていた。

そこまでは軽い鈍痛くらいで、
次の膣剤を入れることに。
12:30くらいから、痛みが増してくる。
だんだん痛みも強くなってきて辛くなってきた
14:00頃には近くで待機していた夫に
来てもらい立ち合ってもらい、
強い痛みを逃がすためにひたすら体を
さすってもらっていた。

15:00を過ぎるころ、痛みがピークに。
半年前の子の時は立ち合いなく一人だったけど、
大きな温かい手で一生懸命さすってくれるのは、
さすがお手当てで本当に痛みが半減した。
生きてる子をお腹から出す、というお産を
精神面で進められるか、と
そこが不安だったけど、痛みが押し寄せて
くるようになったらそれどころではなくなった。
無理を言ってコロナの状況ありつつ立ち合いを
許可してもらって、本当に良かった。

痛みがピークのころ、ずんと何かが
下りてくる感触がした。
大をもよおすような、何かが出そう、と
痛みもあり手すりにしがみついた。
このタイミングでお産の体勢に変えるため
夫には外に出てもらった。

先生も呼ばれ、助産師さんも道具も
すべてスタンバイされると
それまでずっと続いていた陣痛が
ピタッと止まってしまった。
「焦らなくてもいいですよ」と言われつつ
開脚した状態で10分15分経過して
しまっただろうか、ピタっと、まったく
痛みがこなくなってしまった。

赤ちゃんのタイミングで降りてくるのか・・
子宮口が逆戻りで縮んだたらどうしよう、とも
思いながら「焦らなくてよい」という言葉を信じて
じっとその時を待ってみた。

横向きの方が痛みがきやすいのか、
横向きになってみよう、と一旦開いていた足を戻し
横向きの姿勢に戻ってみた。
するとまた背中あたり、お尻の後ろ辺りを
降りてくる、もよおす感触が。
そのくらいだったか、お腹の中で一回
「胎動」みたいな、ぽこっと小さな動きを感じた。
その時にまたMISIAの曲が流れていた。

合図だったのかな、
「お母さん、今からいくよ」
「私との時間、忘れないでね」
「約束だよ、これからも、家族と楽しくね」
そう言われたような気持ちになった。

そこからは、ほとんど痛みがなく
開脚したらもうすぐ外まで出てきているのが
感触で分かった。痛みもなく2回ほど
いきんだら、出てきてくれた。

終わったんだ。
終わった。

ごめんね。ありがとう。
胎盤処理もしてもらいながら、
すべてが終わったんだ、と安心して
嗚咽をころしながら涙が止まらなかった。
200g、20cmの小さな女の子だった。

お名前は女の子だったら芽依めいちゃんに決めていた。
3月4月、検査に向かう車から桜が見えたり、
頭を悩まして歩いて病院に向かうときに
長い冬からやっと芽を伸ばして咲いた
チューリップが見えたり、芽吹く景色を感じることが
多かったから「芽」という字を使いたくて。
あとこれから家族のよりどころとなって、
みんなのことを見守っていてほしい、という願いから
「依」で芽依ちゃん。

芽依ちゃんがお腹にいるとわかってから94日。
命について考えてからは42日。
たくさん考えさせてくれてありがとう。
たくさん動いてくれて、胎動も感じさせてくれて
ありがとう。いっぱい動いてくれた感触
はいつまでも忘れないよ。
お母さんのおなかの中は気持ちよかったんだろうな。
お母さんだけへの特別なプレゼントだね。

生まれてきた芽依ちゃんは、
本当にとってもかわいかった。
穏やかなきれいな顔で、眠ってるみたい。
優しい顔で、見ていると心が
穏やかになるような表情の子。
ほっとした。苦しい顔だったらな、と
気にかけてたから。
お空でまた会おうね、それまで
半年前に生まれたお姉ちゃんと、
仲良くしててね。

さて、これから火葬場にもっていく
骨壺を選んであげなきゃ。
お顔を見てから決めたかったから、
まだ買っていない。
優しいお顔に似合う雰囲気のものを
選んであげよう。


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