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自転車で通学しているせいで、いつも風向きを気にして走る癖がついてしまった。自転車を漕ぐ…
「先輩は、大学行くつもりなんですか?」 清水は自転車を押して歩く俺の隣を歩きながら聞い…
白狐の噂を持ち込んだのは、桐田だった。 「ビャッコの話。聞いたことないん?」 最初俺は…
放課後のホームルームで、教師がもうすぐ始まる冬休みについての話をしている。 年末年始…
終業式の日は、12月をさらに冷やす雨だった。 午前中で下校になった俺は、昇降口で清水…
親のたてる物音は、どうしてこんなにも煩わしく感じられるのだろう。 反抗期は既に終わっ…
街灯に白い息。 俺は自転車を漕ぎながら、彼女は本当に来るだろうかと思った。彼女の真面目さはどちらにはたらいても不思議ではなかった。「約束はちゃんと守らなきゃダメです」といって、律儀に待ち合わせに時間通り来る可能性が半分。「すみません。やっぱり夜遅くに外出は危ないので、やめませんか? 私から言っておいて、本当にすみません」こんなメールが来る可能性が半分。どちらも同じ理由でありえることだった。 学校の横を通りすぎる。分厚いダウンジャケットや首に巻いたマフラーが挙動を妨げる感
鳥居の前で二人して立ち止まった。 本殿に続く石の階段は長く続いていて、その上を高く伸…