第4回『儀式モンスター』って何?
皆さん初めましての方は初めまして、そうでない方は前回までの記事を読んでいただきありがとうございます。その辺の決闘者の衣玖(いく)と申します。
今回記事にするのは『儀式モンスター』についてです。青の枠のカードで融合モンスター同様初期から存在していますが、最新の種族である「サイバース族」の半分未満しか存在しません。
その使いにくさからしばらく使われることは少なく、強力なサポートカードが出ることで度々活躍する程度のものでした。
現代のマスターデュエルで盛大にヘイトを買っている儀式モンスターについて、少しでも知ってもらえたら幸いです。
実のところ儀式モンスターはそれほど難しい存在ではありません。
カードの効果でのみ特殊召喚できる『特殊召喚モンスター』の一種みたいなもんです。わかりやすいですね。そう、儀式モンスターの特殊召喚には必ずチェーンブロックを組む必要があるのです。例外が1体だけいるので最後に紹介します。
儀式モンスターは基本的に儀式魔法によって降臨します。
儀式召喚
儀式召喚とは儀式モンスターを特殊召喚する正規の手段です。《融合》によって融合モンスターを特殊召喚するのと同じです。
ただしデッキ構築の時点で儀式モンスターをメインデッキに投入しなければならない点が融合モンスターと大きく異なります。原作『遊☆戯☆王』ではモンスターが進化した姿として扱われたため、儀式モンスターのカード自体は存在しません。それがOCG化されるに際してメインデッキへ投入されることとなったのですね。
そんな儀式モンスターですが、儀式召喚の手順は以下の通りとなっています。
1.儀式魔法を発動する
2.儀式召喚に必要なレベル分のモンスターをリリースする
3.儀式モンスターを儀式召喚する
なんだ普通じゃん、と思った人は間違ってません。
流れ自体は融合召喚と何一つ変わりませんので。
上記の流れについて順番に説明しましょう。
1.儀式魔法を発動する
扱いは儀式魔法である以外は通常魔法と同じです。
自分のターンのメインフェイズにのみ発動でき、発動後は墓地へ送られます。
ただし儀式魔法という分類であるため、《マンジュ・ゴッド》や《虹光の宣告者》の恩恵を受けられます。
儀式魔法を発動すること自体は簡単ですが、カードの効果による特殊召喚と同様に発動条件を満たしていない状態で発動することはできません。
例えば手札に《ゼラ》と《ゼラの儀式》だけが存在し他の領域にカードが無い場合は発動できません。
《ゼラ》を降臨させるための生け贄(=リリース)ができないからですね。
2.儀式召喚に必要なレベル分のモンスターをリリースする
儀式召喚するためのカードには主に2種類のカードがあります。
・儀式召喚するモンスターのレベル以上になるようにリリースするカード
・儀式召喚するモンスターのレベルと同じになるようにリリースするカード
当初は前者しか存在しませんでしたが、後者が徐々に数を増やし始め、現在は両方が混在する状態となっています。
基本的には前者の方が融通が利くため優秀です。というか出てくるモンスターが全体的にちょっと優秀な点以外はほとんど後者の上位互換みたいなもんです。
儀式召喚も、融合召喚と同様に儀式魔法の発動によりチェーンブロックを作ります。そのため儀式召喚のためにリリースされるモンスターは効果解決時に選ぶことになります。
儀式魔法の発動にチェーンして除去カードを使用されることでリリースしたいモンスターがいなくなった場合は他のモンスターをリリースしなければなりません。
それだけではレベルが足りない、という場合は何もリリースせずに終わります。
またリリースするモンスターについても暗黙の了解というか、そんな感じのルールが存在します。
それは必要なレベルを満たした場合、余分なレベル分のリリースをすることができないというものです。
☆5のモンスターをアドバンス召喚する際に、モンスターを2体リリースすることはありませんよね?それと同じことです。
例えば手札には《青眼の白龍》《ミノタウルス》《ゼラ》《ゼラの儀式》があり、フィールドに《ケンタウロス》が存在している時に手札の《ゼラの儀式》を発動したとします。
相手はそれにチェーンして《サンダー・ブレイク》を発動し、《ケンタウロス》が破壊されてしまいました。
すると効果解決時には《青眼の白龍》をリリースして《ゼラ》を儀式召喚するしかないのです。
また、この時既に《ゼラ》の儀式召喚に必要なレベル8という条件を満たしているため、《ミノタウルス》をリリースすることはできないのです。
手札に《青眼の白龍》がないパターンだと、そもそも必要なレベル分のリリースが行えません。その時には何もリリースせず、儀式召喚もされないまま《ゼラの儀式》は墓地へ送られます。
儀式召喚するモンスターと同じレベルになるようにリリースする儀式魔法の場合、レベルが超過するパターンでも不発となります。
余計な消費が発生しづらいという点は利点と言えるでしょう。
3.儀式モンスターを儀式召喚する
この過程を経てついに儀式モンスターが降臨します。
こちらも融合召喚と同様であるため、「墓地へ送られた時に〜〜できる」や「リリースされた時に〜〜できる」といった効果は発動するタイミングを逃します。
そのようなカードとのコンボを考えて採用する場合は気をつけましょう。
実に簡単ですね。
儀式召喚するカードや儀式召喚されるモンスターによってある程度の差はあれど、この原則は変わりません。ついに変わった奴が出ました。
ついでに儀式召喚における例外と呼べる存在を紹介していきましょう。
リリースしない儀式魔法
儀式に際して生け贄を捧げようとしない不届き者であるカードです。
儀式モンスターを手札に握る必要はありますが、その儀式召喚に必要なリリースは行わず、代わりにデッキの通常モンスターを墓地へ送ります。
【儀式召喚】にとっては画期的な存在であり、各儀式モンスターに対応した専用の儀式魔法を使わず、リリースを手札やフィールドに用意する必要もないこのカードは儀式モンスターにとっての革命のひとつでした。
特に《終焉の王デミス》を儀式召喚してフィールドを空にしつつ、墓地の昆虫族2体を除外することで特殊召喚できる《デビル・ドーザー》を特殊召喚し、それを強化するなりして8000のライフポイントを一気に削る【デミスドーザー】は儀式モンスターにとって初めての環境デッキと呼べるほどの強さを誇りました。
それぞれの攻撃力が2400と2800であるため、残りの2800を用意できればゲームエンドできたため、《デビル・ドーザー》を利用して
・《破壊輪》でお互いに2800のダメージ
・《巨大化》で攻撃力を5600にする
・《偉大魔獣 ガーゼット》を出し攻撃力を5600にする
・《突然変異》で《サイバー・ツイン・ドラゴン》を出す
などの方法でライフポイントを削り切りました。
【高等儀式術】は《デビル・ドーザー》の特殊召喚に必要な昆虫族の通常モンスターを墓地へ送りつつ《終焉の王デミス》を儀式召喚できる非常に強力なコンボパーツだったのです。
昆虫族の通常モンスターには攻撃力の高いレベル4の《甲虫装甲騎士》や《ネオバグ》が存在し、レベル8の《鉄鋼装甲虫》の攻撃力が2800であることから蘇生させることでも1ターンキルを狙えたため、ギミックがとても噛み合っていました。
あまりにも強かったので制限カードになりました。
(※現在は無制限です)
リリースの代わりに除外できるカード
デッキから儀式の素材を利用するよりはパッとしませんが、1体で事実上2体分の素材となれる「儀式魔人」はまあまあ強い存在でした。めっちゃやばい奴でした。
どちらかといえばリリースの代わりに除外できる効果よりも、儀式召喚の素材とされた場合に儀式モンスターへ付与される効果の方が魅力的でした。
以前の記事で、エクシーズ素材になった時に効果を付与するモンスターの効果を受けた効果モンスター以外のエクシーズモンスターは効果モンスターになる、と書きました。
しかし「儀式魔人」の効果は儀式モンスターに付与する効果であって、儀式モンスターを効果モンスターにする効果ではありません。
類例であれば、効果を付与されただけのモンスタートークンが近いものになるでしょうか。
そのため「儀式魔人」によって付与された効果は、そのモンスターをフィールドから離すか裏側表示にしなければ消えることはありません。
特に相手の特殊召喚を封じる《儀式魔人リリーサー》は多くのサポートカードに対応し、レベル3の墓地から儀式召喚できる《クラウソラスの影霊衣》の素材として度々利用されたことで禁止カードになりました。
リリースするレベルを踏み倒すカード
ついに必要なレベルすら要求しなくなりました。
「リチュア」は複数のレベルに跨り儀式モンスターが存在し、どのレベルを軸にするかで他のカードの採用数が変動しますが、このように必要なレベル分のリリースを踏み倒せるカードはどの構築においても採用できる便利なカードです。
水属性であれば「リチュア」である必要すら無いため《要塞クジラ》や《クラブ・タートル》といった古い水属性儀式モンスターのサポートとしても利用できます。
しかしやること自体は普通の儀式召喚であるため、儀式召喚に際して発生するディスアドバンテージをどのように補うかは決闘者の腕次第です。
儀式召喚を行う儀式魔法ではないカード
儀式召喚を行えるのは儀式魔法だけではありません。
融合召喚が《融合》以外のカードでも行えるのだから儀式召喚が儀式魔法以外でできてもおかしくないですね。
特に「メガリス」というテーマには儀式魔法が存在しません。儀式モンスター自身の効果によって別の儀式モンスターを降臨させる動きが想定されています。
マスターデュエルのソロモードで体験することができるため、興味のある方は触ってみてもいいでしょう。
ただし儀式召喚できる効果を持つカードは儀式魔法ではありません。
《マンジュ・ゴッド》や《虹光の宣告者》によって手札に加えることができないため、そのことは意識しておきましょう。
手札以外から儀式召喚するカード
とうとう手札からの儀式召喚をやめました。
現在は墓地から儀式召喚できるカードとデッキから儀式召喚できるカード、除外から儀式召喚できるカードの3種類が存在し、手札・デッキ・墓地・除外全てから儀式召喚できるカードは今のところ存在しません。放置しておけばそのうち出そうですが。
以前の記事で蘇生制限を満たしていない儀式モンスターは墓地から特殊召喚できないと書いたと思います。
しかしそれは儀式召喚以外の特殊召喚の場合であり、「墓地から儀式召喚する」というテキストの場合は何の問題も無く儀式召喚することができます。
こちらにも少し書きましたが、墓地からの儀式召喚それ自体が正規の特殊召喚方法となるからですね。
いずれにせよ手札からしか儀式召喚できない、という概念を覆した存在と言えます。
手札で効果を発動する儀式モンスター
《黄金の天道虫》や《幽鬼うさぎ》といった手札で発動するモンスターは古くから多く存在します。手札から捨てたり墓地へ送ったりして発動するモンスターの場合そのモンスターを蘇生させるなどして再利用を図ることもあります。
「特殊召喚モンスター」の一種である『儀式モンスター』ではそれをすることで再利用が難しくなるという問題点がありましたが、今では墓地から儀式召喚をしたり墓地コストとして利用したりと、様々な活用方法があるのでそのダメージも少なく済んでますね。
除外されている儀式モンスターを儀式召喚できるカードが登場したら、さらに気兼ねなくコスト等に使いやすくなるので誕生が待たれますね。
ペンデュラム召喚できる儀式モンスター
カード効果による特殊召喚である以上、儀式モンスターを特殊召喚するためには必ずチェーンブロックを組む必要がありました。
しかしこの《オッドアイズ・ペンデュラムグラフ・ドラゴン》は、史上初のペンデュラム召喚できる儀式モンスターです。ペンデュラム召喚する際はチェーンブロックを組む必要がありません。つまりチェーンブロックを組まずに特殊召喚できる儀式モンスターなのです。
だから何?と言われるとそれまでですが、儀式召喚するためのカードを用意せずに正規召喚できる儀式モンスターの存在は革新的です。
ただでさえ複数のカードを揃える必要がある儀式とペンデュラムは噛み合いが悪かったので、それの架け橋となり得る存在ではないでしょうか。
最後に
3枚のカードを使ってその辺の上級モンスターくらいの攻撃力を出すだけだった時代とはお別れをしました。
儀式はその弱さを救済するためにKONAMIによって様々な強化を受け、環境に顔を出す度に規制をかけられるという悲劇を何度も繰り返してきました。しかしその規制も解けつつあり、プレイヤーの腕次第で非常に強力なカードへ化けることもあります。
現在マスターデュエルで跋扈している【ドライトロン】は制圧力こそ高いものの、その回し方や妨害を受けた時の立て直し方を理解していなければフルパワーを発揮することができません。これもプレイヤーの腕によるものと言っても過言ではないでしょう。
皆さんも気に入った『儀式モンスター』を中心にデッキを組んでみてはいかがでしょうか?
それぞれを活かす構築を考えるのは難しいですが、それを活躍させられるように試行錯誤することも遊戯王の楽しみのひとつでしょう。
環境よりは一歩身を引いたデッキが多くなると思うので、友人同士で『儀式モンスター』を主軸にしたデッキを使うと打ち合わせてデュエルするのもいいでしょう。
次回は『リバースモンスター』について書きます。
それでは、良いデュエルライフを!
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