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《モリンフェン》よりも悲惨な通常モンスター

 皆さん初めましての方は初めまして、そうでない方は前回までの記事を読んでいただきありがとうございます。その辺の決闘者の衣玖(いく)と申します。

 今回は小ネタということで、目を向けられることすらほとんど無い通常モンスターをピックアップしていく記事です。
 ただしデッキの紹介ではないので、興味を持った人はデッキを組んでみてください。

《モリンフェン》って何?

 そもそもこのカードがなぜネタ扱いされているのかというと、そのステータスにあります。

 第1期の遊戯王では攻守の合計値が2800以下ならばレベル4以下、2900以上ならレベル5以上という振り分けがされていました(例外あり)。
 合計値2850のこのカードを含む数枚のカードはこのカードを除く全てがレベル4に割り振られましたが、このカードだけがレベル5になりました。なぜ?

 さらに第2期では生け贄の概念が登場し、レベル5以上のモンスターには生け贄が必要となりました。

 生け贄召喚されて強力だったのは攻撃力2500の《デーモンの召喚》や攻撃力2400ながら罠カードを封殺できる《人造人間-サイコ・ショッカー》などであり、効果も持たず攻撃力も下級モンスターに劣る《モリンフェン》の居場所はありません。

 そもそも第1期の時点で《ホーリー・ドール》や《グレート・ホワイト》などの攻撃力1600超えのレベル4モンスターはいくらか存在しており、後発とはいえ《ランプの魔精・ラ・ジーン》は種族・属性が同じで攻撃力も勝るという上位互換的な存在もいました。
 そんな状態で生け贄を要求された《モリンフェン》をあえて使う理由はほとんど無いでしょう。

 加えて《キラー・トマト》のような攻撃力1400のリクルーターは攻撃力1500以下のモンスターをリクルートする効果であり、攻撃力1550の《モリンフェン》はリクルートの対象から外れていました。

 《デーモンの召喚》などの攻撃力2000超えの上級モンスターや《メカ・ハンター》や《ゴブリン突撃部隊》などの高い打点の下級モンスターを屠るために採用された《奈落の落とし穴》も攻撃力1500以上のモンスターが処理対象だったことからこれにも引っかかり、出すのが手間・出しても弱い・上位互換がいるの三拍子が揃った弱モンスターとして現代まで認知されるようになります。

 あとはその独特なイラストも人気の秘訣であり、ステータスの低さと目を引くイラストからインターネットの一部層からは熱狂的な支持を得ているモンスターとなっています。

《モリンフェン》の強み

 わざわざ《モリンフェン》をアドバンス召喚する理由は現代でもほとんどありませんが、カードプールの増加に伴って以前よりは比較的運用しやすくなったと言えます。
 ただし闇属性・悪魔族・レベル5・通常モンスターといった内容で縛ってみても、《マキャノン》《ダーク・キメラ》《闇魔界の覇王》には攻守共に劣っているため、ステータス面では彼らとの差別化が必須となるでしょう。

 上記のモンスターは全て攻撃力1600を超過しているため、《カオスエンドマスター》のリクルート範囲から外れています。
 その効果でリクルートできるモンスターの中では最も攻撃力が高く、採用する理由に足るのではないでしょうか。
 なお同条件では《メタル・ガーディアン》もリクルート対象ですが、あちらは攻撃力1150と低くアタッカーとしては向きません。ただし《モリンフェン》がアタッカー向きとは言ってない。

 さらに攻守の合計が2850という点を活かして、《魂の造形家》でサーチするのも良いでしょう。
 このステータスでピンとくる人は多くないかもしれませんが、「妖精伝姫」はいずれも攻撃力1850/守備力1000というステータスであり、奇しくも《モリンフェン》とはステータスの合計値が一致しています。
 また《爆竜剣士イグニスターP》も攻撃力2850/守備力0というステータスであることから《魂の造形家》で《モリンフェン》に変換することができます。
 これでサーチした《モリンフェン》をアドバンス召喚やP召喚でフィールドに出せば無駄も少なく済むでしょう。
 EXデッキをほとんど利用しない【壊獣カグヤ】では《帝王の烈旋》で相手モンスターをリリースしながら《モリンフェン》を叩きつけることで奇を衒うこともできます。

 使いたいカードを活かすにはそのカードの効果やステータスなどから恩恵を受けられるカードを探し、それらをこねくり回しながらデッキを組むといいでしょう。

《モリンフェン》より悲惨な通常モンスター

 さて、本題です。

 先ほどは《モリンフェン》について語りましたが、言いたいことは先ほどの項の最後に太字で書いた部分です。

 ここから先は以下のような点のいくつかを併せ持つ通常モンスター達です。

・受けられるサポートが極端に少ない
・事実上の上位互換が存在する
・独自の強みがほとんど無い
・絶望的に知名度が低くそもそも使われない

 人によっては反論し、そのカードのデッキ組んでるよ!ってパターンもあるかと思いますが、その人はコメント欄にそのデッキの記事のURLを載せてください。読みに行きます。

《ダーク・キメラ》

 真っ先に名前が挙がるのはこいつでしょう。

 原作にも登場したモンスターですが、《闇》のフィールドパワーソースで強化されたとかそんな感じの理由でステータスが原作より落とされています。
 初期のステータスが中途半端な連中はだいたいそんな感じの理由でステータスが中途半端です。

 さて、こいつは攻撃力1610ということで、《カオスエンドマスター》に対応しません。
 あちらは攻撃力1600以下のモンスターをリクルートできるため、範囲からわずかに10だけ外れています。

 さらに攻守の合計は3070ということで、《魂の造形家》でも同名以外のサーチができません。

 加えてユニークなステータスから《スモール・ワールド》でサーチしようと思っても、種族と属性がメジャーすぎるせいでこのカードを採用する意義に乏しく、仮に採用するとしても似たようなステータスならば《マキャノン》で十分事足りるでしょう。

 恐らく誰もが認める、最も不遇な通常モンスターだと思われます。

《レオ・ウィザード》

 《モリンフェン》など目じゃないくらい悲惨なモンスターです。

 地属性・魔法使い族・レベル5の魔法使い族の中では2番目に攻撃力が高い(1位は《岩石の精霊》の攻撃力1650)ですが、最も低い《山の精霊》とは50しか差がなく、あちらの守備力が1800もあるためほとんど差別化できていません。
 《カオスエンドマスター》や《巨大ネズミ》によるリクルートに対応する利点があるとはいえ、基本的には《山の精霊》で事足りるでしょう。

 というかこのステータスでレベル5は印刷ミスを疑うレベルです。
 攻守合計が2850になったことでレベル5にされた《モリンフェン》よりも劣るステータスのため理解できません。

 近年では地属性サポートも増えてきたため無理やり使うことはできますが、攻撃力1350という点に強みを求めなければ《山の精霊》よりも優先する意義がほとんど無いでしょう。

《機械の兵隊》

 1期特有の低ステータスの上級モンスターです。

 一応攻撃力1500以下の闇属性・機械族・レベル5の通常モンスターは以下のものが存在します。

《ゲート・キーパー》
《メガソニック・アイ》
《キラー・マシーン》
《シェイプ・スナッチ》

 下2枚は攻撃力がこのカードよりも低いですが、1500未満ということで《奈落の落とし穴》に引っかかることがありません。
 特に《シェイプ・スナッチ》は守備力が1700であることから、見方によってはこのカードの上位互換ともとれます。

 問題は上2枚の存在で、どちらも攻撃力1500/守備力1800というステータスです。
 このカードは融合素材などに指定されているわけではなく、守備力1700である点がメリットになる場面はほぼありません。

 遊戯王でも珍しい完全下位互換となるカードです。

 このカードの唯一性がほぼ機能しておらず知名度も低いためかなり悲惨なカードではないでしょうか。

《クレセント・ドラゴン》

 初登場以降絶版となっているモンスターです。

 基本的にドラゴン族の通常モンスターは「聖刻」モンスターの効果によりリクルートできるためどんなカードでもあまり産廃扱いされないのですが、このカードに関してはライバルが2枚も存在する上にいずれもこのカードよりも優れているため立つ瀬がありません。

 ライバルその1である《真紅眼の黒竜》は守備力では優るものの、豊富なサポートカードを擁するため差別化は容易となっています。

 ライバルその2である《エビルナイト・ドラゴン》は攻撃力2350/守備力2400と攻守どちらもこのカードに勝っており、他の差別化ポイントがほとんど無いことから事実上の完全上位互換となっています。

 また再録されていないことからそれなりに希少度が高く、入手するのも面倒という問題もあります。

 闇属性・ドラゴン族・レベル7の通常モンスターとして上記2枚をフル投入してもなお足りない場合の選択肢として挙がりますが、そんな場面はほぼ無いでしょう。

《ガルヴァス》

 何の変哲もない普通の上級モンスターです。

 まず地属性・獣族・レベル6の通常モンスターという点で利用価値がほぼありません。
 仮に採用するとしても、《深き森の長老》というライバルが立ちはだかります。

 《深き森の長老》との相違点は攻撃力と守備力のみであり、あちらの方が攻撃力は200低く守備力は200高いです。
 つまり攻撃力のみで言えば勝っているものの、守備力の面では劣っています。

 問題はその数値の差であり、攻守の合計はどちらも3700となります。
 これはすなわち獣族・獣戦士族の切り札たる《野性解放》を使用しても《深き森の長老》とステータスが変わらないということです。
 しかも2枚目以降の《野性解放》を使用すれば《深き森の長老》の方がステータスは高くなり、同じ運用をするのであれば爆発力に優れる《深き森の長老》に軍配が上がるでしょう。
 ただし根本的な問題として《ファイヤー・ウイング・ペガサス》ならば属性の違いのみでこれらを大きく超えるステータスを獲得できます。

《ソリテュード》

 ある意味希少ながらも扱いに困るカードです。

 希少というのは元々の攻撃力についてであり、元々の攻撃力が1050のモンスターはこのカードを含めても3枚しか存在しません。
 しかもいずれも融合素材に指定されていない通常モンスターであり、扱いに乏しい存在です。

 このカードと同じ地属性・獣戦士族・レベル3の通常モンスターは《マウンテン・ウォリアー》とこのカードしか存在しませんが、攻撃力1000以下のモンスターを指定するカードが増えた現在では攻撃力600のあちらの方が有用でしょう。
 守備力が同じであることから守備力で差別化することすらできません。

 もしも地属性・獣戦士族・レベル3のモンスターを指定するXモンスターが現れた時には、《マウンテン・ウォリアー》共々《レスキュー・ラビット》からリクルートするために声がかかるかもしれません。

《バーサーカー》

 これといった特徴が無いが故に悲惨なモンスターです。

 大前提として闇属性・悪魔族・レベル4の通常モンスターは大量に存在するため、その差別化ポイントは攻撃力で決まります。

 このカードと同じ攻撃力1500のモンスターは他に2体いますが、その2体が曲者です。

《仮面呪術師カースド・ギュラ》
《メルキド四面獣》

 前者は守備力がこのカードよりも200低く、後者は逆に200高いですが、そんなことはどうでもいいです。
 問題は両者共に《仮面魔獣デス・ガーディウス》のコストとして指定されている点にあります。

 双方を差し置いてこのカードを採用する利点がまるでありません。
 仮に守備力1000以下である点を活かそうにも《仮面呪術師カースド・ギュラ》が存在するため活躍の機会が無いのです。

 特殊なサポートカードも存在しないため、テキスト通りに暴走させることは絶望的でしょう。

最後に

 今回挙げたのはあくまでも一例です。

 例えば画像にもいる《ウィップテイル・ガーゴイル》は攻撃力1650の下級モンスターであることから《キラー・ポテト》はおろか《カオスエンドマスター》にすら対応しないせいで《バーサーカー》並に使い道に乏しいカードです。

 広い遊戯王のカードプールでも特徴が無くステータスも中途半端な通常モンスターを救う手段は限られており、近年増えてきた効果を持たないモンスターのサポートカードを活用しようとしても尖ったステータスの持ち主でなければ見向きもされないでしょう。

 そんなカードでも愛して使い、あらゆる観点から活躍させんと専用デッキを組む人も一定数いると思います。
 それもまた遊戯王の楽しみ方のひとつでしょう。

 皆さんも通常モンスターに限らず、好きなカードを中心にデッキを組んでみてはいかがでしょうか。
 サポートカードをフル活用して好きなカードを活躍させるデッキで戦うと、いつもとはまた違う楽しさがあると思います。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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