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私はBSSヒロインでした

(1554字)
小中一貫校に中学から編入した私に、クラスで一番チビでおちゃらけキャラのGが話しかけにきました。その後ろには同じくらい背の低く、女子のことが苦手そうな男の子Nくんが覗いていました。これがNくんとの出会いです。
絡み屋のGからは、よく話しかけられ、GとNくんは一緒に居ることが多く、内気なN くんとも仲良くなりました。
中学生活が本格的に始まり、体験入部期間になりました。私達3人は同じ部活に入部し、部活のある日は一緒に帰りました。週1しかない文化部でしたが、三年間の下校の記憶は3人で帰った会話ばかりです。クラスでGが私のことが好きだというからかいと、それを遠回しに認めるGの存在があることを知っていながらも、三人とも友だちのまま中学一年生がそれなりに楽しく終わりました。
中学ニ年生
クラス替えの結果GとNくんが一緒のクラス、私だけ別のクラスになりました。それでも関わりは一年生のときとあまり変わりませんでした。
私はクラスの人達と親睦を深めました。一緒に下校する女の子。給食班で一緒になる少し性格の悪い男子。その元カノ。ゴシップ好きな、トイレにいる女子。など、広く浅く。
給食班が一緒の少し性格の悪い男子のYは、話すことが増えました。背の低い人や、元カノの軽い悪口を言うことが多い人です。それでも付き合いが続き2年生の秋にLINE告白されました。
Yは学年でもイケメンで話題に上りやすく、元カノもいて、悪口を楽しく話す人です。直接告白じゃないのはもしかして誰かと一緒にいるのかも。
私は小学生の頃の初恋を拗らせていました。
保留にしてほしいと頼みました。
その後も、給食中は変わらず接してくれました。でも少し気まずそうな、気にしているような目線に気が付きました。好きだというのは本当のようです。
付き合うとはどういうことだろう。
Yはイケメンで友達が多く、私に優しくしてくれる。
付き合ってみてもいいかも。
1ヶ月後にLINEで告白をしました。
Yはカースト上位と言っても中学生です。付き合ったということはみんなに広まっていました。
それはGからNくんにも伝わりました。
Gと下校しました。Gが私のことを少し好きだったのは知っていますし、そのことすらGは分かっていました。でも、GはYとのことを茶化してくれました。Yと付き合ってから関わりが少なかったので、久しぶりのGとの会話でした。会話の中でNくんの話になりました。畑の横を歩きながら、Nくんが昔Yのことが嫌いだった話。信号待ちの時には、Nが「僕のほうが大切に思ってるのに亅と言っていたよと。Gが知っていて私が知らないNくんの話。
そのことで頭がいっぱいになりました。Gからそんなことを言われるなんて思いませんでした。
考えてみれば、男女でこんなに仲が良かったのはおかしなことなのかもしれません。
Yとは一ヶ月で別れました。
私が告白した頃にはYの私への恋心は覚め始めていたこともあります。
もうNくんとの関わりはなくなりました。
内気なNくんは私を避けるようになってしまいました。
Gからは、Yと元カノは一年続いたからもっと続くと思った、と言われたことしか覚えていません。
中学三年生の受験期に入り、部活もなくなりました。まだ卒業してはいないけど、もう一生話せないのだとは分かりきっていました。2年生の頃から会話してないNくんとのラインを開けばブロックされていました。
卒業式の日はNくんのことしか頭にありませんでした。
ブロックされていても何か送ればよかった。もしかしたら見てくれるタイミングがあったかもしれない。
もうNくんのアカウントはありません。
Nくんに対して恋心がないのは中学生の頃から分かりきっていましたが、Gから聞いた「僕のほうが大切に思っているのに」という言葉と同じ重さでNくんは大切な人です。

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