安芸高田市石丸市長を応援する人たち・ポピュリズムの時代(4)石丸市長が成し遂げた仕事はあるのか・私が石丸市長だったら

■コメントから
 なるほど市長への期待度の違いが評価の違いになるというのは、納得である。政治に対する期待度が低いことが、ちょっとしたことでも、高い評価につながるのだろう。ポピュリズムの本質に迫るヒントだと思う。
■やはり見るべき政策がない 
 すでに見たように、石丸市長の政策は、全国どこの自治体でも、一律、ルーチンとして、同じようにやっている金太郎飴的な「政策」で、気鋭の若手市長らしい政策は、全くと言っていいほどない(前の市長を超えるような政策がない)。
 地方自治の旗手のように言われるが、あまりに平凡すぎて、これでは旗手は務まらない。
■私が石丸市長だったら
 さて、今回は、さらに派生して、私が石丸市長だったらと仮定して,石丸市長になったつもりで、政策を提案してみたい。とても気鋭とはいえず、本当のおっさんである私でも、このくらいは思いつくという説明にもなる。

1.政治再建
 政治再建は、石丸市長の一丁目一番地であるが、その内容は、まったく分からず、スケジュールも到達点も分からない。

(1)議員立候補者の政策公開討論会制度
 
石丸市長の議会改革は、3年半に及ぶが、議員はダメだというばかりで、何の進展もない。具体的政策もない。
 私が石丸市長だったら、議員の資質や政策提案能力をアップするために、次のような政策を提案したい。
■議員立候補者の政策公開討論会制度
・JCなどが主催して、市長選挙などの公開討論会を行っているが、その議員バージョンである。議員候補者たちによる政策公開討論会である。
・この制度があるため、議員として立候補する際には、自ら実現したい政策、大事だと思える政策を出さねばならない。
・それを市民の前に提示・提案する。その結果、口当たりの良いことを言う「政策」は通用しない。公開討論会で、政策の真贋が試されることになる。
・これによって、議員の資質の向上と議員の政策提案能力を高めることができる。
 政治的自由があるから参加を強制はできないが、参加をしないと能力がないと思われるのでみんな参加するだろう。
■スケジュール
 1年目 まずは、制度化を考えるという観点から、プロジェクトチームを作って、課題の整理・検討を行う。公職選挙法などいくつもの課題があるだろう。
 2年目 市民、議員やJCなどの担い手なども含めて、合同の意見交換、検討の場をつくる。それぞれの思いや事情もあり、また制度化にあたっての課題等がある。実施方法等は簡単ではないので、みんなで知恵を絞りたい。
 3年目 制度設計の検討。1年目と2年目の成果を受けて、実現可能で有用な制度化を検討する。
 4年目 この制度を条例として提案する。全国初の試みとして注目され、まちのブランドがあがっていくだろう。

(2)市長の公約の評価制度・その評価が給料と連動する
■以前、市役所の幹部職員を対象に市長の人事評価をやっていた
 
以前、安芸高田市の幹部職員に市長の人事評価を求め、幹部職員から「高い評価を受けた」と自慢していた。
 数少ない幹部職員が、社長に✖を付けたらどうなるか。すぐに犯人探しが始まるだろう。
 市長は、市民によって選ばれているので、市民から評価を受ける制度である。
■市長の公約の進捗状況を毎年、評価する
 議会の評価ばかりしているのではなく、市長自らの公約も評価の対象としないとバランスが悪い。
 評価するのは市民であるのが一番よいが、専門家たちの場合もあるだろう。
■評価によって、自分の給料を決める
 大阪府寝屋川市では、無作為に抽出された3500人の市民が評価し、「評価しない」が「評価する」を上回った場合、その差に応じて給料を減額する制度をすでに導入している。安芸高田市は、後発なので、評価が悪いときは、給料0くらいの勢いが必要かもしれない。
■スケジュール
 これは市長が決めれば、簡単にできる。 

(3)裁判員制度を模した市民の政治参加制度
■裁判員制度を模した市民の政治参加制度
 
待っていても、市民の市政参加は進まない。いくらPRしても政治意識は高まらない。実践が何よりである。
 この制度は、裁判員制度のように、住民票などで、抽選で市民を選び、さまざまな市政に参加を促すものである。
 安芸高田市のような小さな町では、5年に1回は、抽選に当たるだろう。いやでも市政に関心を持つ。
■スケジュール
 これは2年もあればできるだろう。
 1年目は、論点整理と検討である。
 2年目は、実証実験をやって、その後、制度化になる。市長としての今は任期3年半の時期だから、豊かな実践を持つ取り組みとして、安芸高田市をマネする自治体も出てきているころだろう。

2.産業開発
 
私が石丸市長なら、若さや経験を活かして、次のような政策に挑戦したい。
(1)地域商社を立ち上げる
■地域商社

 私が石丸市長なら、銀行の経験を活かして、地域商社を立ち上げよう。
 地域商社では、地域の特産品や観光資源を活用した商品やサービスの域外への販売が主たる事業であるが、商社なので安芸高田市の住民が買いたい商品開発にも力を入れよう。
 
地方における主要ニーズ・主力産業は福祉なので、これも主力商品である。
 民間と公共のそれぞれの強みで相乗効果を発揮しよう。
■スケジュール
 立ち上げまでに3年はかかるだろう
 1年目は、課題の整理と関係者の連携である。特に地域金融機関との連携が重要になる。
 2年目は、制度化の検討である。
 3年目は、実証実験をしながら、制度の質を上げていこう。完成系はないので、以後、バージョンアップを繰返すことになる。

(2)福祉の現代産業化に挑戦する
■「家庭内扶助」としての福祉からの脱却を目指す
 高齢化率がいずれ40%になる。福祉の重要性は言うまでもないが、福祉に対する市民の意識やその活動の実態は、相変わらず「家庭内扶助」の延長線にとどまっている。
 それが福祉に働く人の勤務条件等を下げ、福祉の担い手の不足等の要因になり、いずれ介護難民などの問題が起こってくる。
 この政策は、市民意識のパラダイム転換を起こし、それを乗り越える福祉の現代産業化の提案である。難問であるが、「産業」とは何かから考えれば、道は開けてくる。
■国との連携・国のモデル事業として
 福祉の産業化と言うと、福祉の営利化と誤解されるが、そうではなく福祉本来の意義や機能を発展させる福祉の現代化である。福祉政策の展望が見えない国にとっては、この政策は渡りに船であろうから、連携は十分できる。国の財政的支援を受けながら、安芸高田市で、福祉のモデル事業をやったらいいだろう。
 石丸市長は、他者との連携は苦手かもしれないが、ここはがんばりどころだろう。
■スケジュール
 1年目は研究で、2年目に国の予算を受けてのモデル事業になる。
 安芸高田市から、日本の福祉政策の新たな世界を拓くという挑戦になり、これはとても愉快な事業になる。

3.都市開発
 開発の時代ではないし、民間の力が必要なこと、あるいは国の縛りがきついので、自治体ができることはかなり限られている。
(1)資源としての空き家活用事業
■資源としての空き家の活用

 地方なので空き家が増えているだろう。
 これまで空き家というと負の遺産であるが、これを「資源」と考えてその活用を考えていく。
 安芸高田市には、広い敷地、豊かな自然に囲まれた趣のある空き家もあるだろう。広島市に近いという地の利もある。今は、二つの住所を持つというのも珍しくない。
 普段は広島市内などのマンション住まいであるが、土日は郊外で暮らそうという、経済的の余裕のある中高年世代がターゲットである。
■スケジュール
 1年目は使える空き家の調査等になる。
 2年目には、予算等の裏付けをつけて、実証実験しながら、3年目の本格実施を目指したらいいのではないか。
 
4.あきたかた焼きについて
 コメントでは、市長の産業振興策としてあきたかた焼きがあるという意見があった。
■新たな伝統文化の復活かと思った
 あきたかた焼きと聞いて、最初は、秩父の火祭りや大磯の左義長(どんど焼き)のような伝統的な文化行事が、発掘されて復活するのかと思った。
 たしかに火は人の気持ちを揺さぶる。安芸高田市は歴史のある町なので、この火祭りと歴史物語とをセットになれば、大いなる観光資源になるのではないか。観光バスで人が集まるぞと思った。
 ところが、お好み焼きと知って、「がくっと」きた。
■市長がやること?
 新たな商品を開発するのはもちろん悪いことではない。それが、お好み焼きであってもいい。それが商業者からの内発力で、立ち上がってきたものならば、行政は大いに応援してほしい。
 ただ、多くのまちでは、これは担当者かせいぜい係長が中心となってやる仕事である。これが石丸市長の実績というのなら、ここでも「がっくと」くる。

5.知恵が出ないならば知恵を借りればいい 
 私でも、以上のような政策はすぐに浮かぶ。世の中には、私より、もっと知恵や知識を持っている人もたくさんいるだろう。
 知恵が出ないのなら、知恵を借りればいい。そうすれば、日本に冠たる政策先進都市安芸高田市になるのではないか。

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