石丸元市長の都知事選挙結果を受けて

石丸アノンとは違う人たち

月曜日の朝

仕事をしようとパソコンをつけたら、石丸元市長が、蓮舫さんを越えて第2位の得票率というニュースが目に入った。今週は、仕上げなけらばいけない仕事があるのに、幸先がよくない。

私の石丸元市長歴は古い

気がついたら、10本以上の記事を書いてしまった。何度も書いているが、私の石丸元市長歴は、銀行を辞めて市長選挙に出たときからである。ブームになってにわかファンになった人とは歴史が違う。

当初のファンは石丸アノン

議会との対立が話題になり、ネットの寵児になった。ただ、初期の応援団は、石丸アノンというべき人たちだった。私の関心は、ポピュリズムであるが、危惧したのは、この人たちが核となって、アメリカであったような「国会議事堂への突入」のようなことが起こるのではないかということである。

日本の石丸アノンは嫌がらせ

ただ、日本では、石丸アノンは国会突入ではなく、反対派市会議員への嫌がらせとなった。
注文していない品物を届けさせたり、集団で嫌がらせのメールを送るという、いやがやせだった。日本のアノンは、陰に隠れての嫌がらせで、何かいかにも暗い。

石丸アノンは少数である

石丸アノンは、台風が来るのに千葉へ遊びに行ってよいという人たちである。
台風が来て、災害本部が立ち上がるというのに、石丸元市長は、誰にも言わずに、はるか九十九里浜まで、トライアスロンに遊びに行った。それは、おかしいではないかといったら、私は石丸アノンから、「組織というものを知らない」と怒られた。代表が不在でも動くのが組織というものだと言われた。
私はあらためて気がついた。石丸アノンは、組織や社会とは別のところで暮らしている人たちなのだと。だから、決して多数ではないし、議会突入のような行動はしないと。

石丸アノンだけでは、第2位の得票率にはならない

社員総出で危機対応しているのに、社長が一人ゴルフに遊びに行ってもよいという「社会常識」を持っている人は、ほんのわずかである。
その人たちだけの応援ならば、泡まつ候補である。そもそも投票にもいかないかもしれない。
しかし、今回は、「社長一人ゴルフに行くのはおかしい」という社会常識を持っている人が、石丸候補を応援したのである。

若者たちの敵意

この選挙で若者たちの敵意を感じた

この選挙では、若者たちの行動の底にある、若者たちの敵意を感じた。その根源は、自分たちの思いが、政治によってきちんと、すくい上げられていないという空虚感だと思う。

既成の政党は既得権保護でなりたっている

誤解している人がいるが、自民党も公明党も立憲民主党も共産党も、そこで積極的に応援する人は、イデオロギーに共感して行動している人はきわめて少ない。
多くは、それぞれが持つ既得権を保護してくれるから、応援し、投票するのである。かつて、自民党のなかで右翼思想で固まって政党を作ったが、1議席くらいしか取れず、結局、なくなってしまった。

普通にまじめに暮らす若者たちの思いをすくいあげていない

だから、既存の既得権から外れた多くの若者にとっては、既存の政党には、シンパシーは感じない。
私も現役時代、特に感じたが、たくさんの税金を払っている割に、それに見合うサービスを受けていないと感じたことがある。実際、自治体のマンパワーや税金の半分は、福祉に使われている。
福祉とは縁遠い若者ならば、「見合っていない」感は、なおさらだろう。

だからといって相互扶助の仕組みを否定しているわけではない

だからといって、相互扶助の仕組みを否定しているわけではない。
若者ならば、めったに病気にならないので、健康保険は払うばかりだろう。明らかに支出超過である。
しかし、人はいつ病気になるか分からない。
万が一の安心があってこそ、大いに仕事をし、遊ぶことができる。
だから、相互扶助の仕組みや税金を否定まではしないが、何か、物足りなさは残るのだろう。

今回の選挙はそうした不満を石丸候補につなげるという戦略で行われた

どこの政党も支持しないという無党派が最も多いが、今回の選挙は、この争奪戦になった。
蓮舫候補は、そこが自分のところにくると思ったが、こなかった。若者にとっては、蓮舫議員も既得権だからである。
おそらく、今回は、蓮舫候補に行くべき無党派層を石丸候補に集めるという戦略をとった陣営が勝ったということなのだろう。

そんな選挙戦術ではなくて

本来ならば、そんな選挙戦術ではなくて、若者や働き盛りが未来に希望を持てる政策をきちんと正面から打ち出してほしいと思うが、既得権者に縛られている既成政党は、それができないということだろう。
それが日本の構造的な弱点である。既得権者は先細るから、政治の脆弱化は、どんどん進む。

若者は本当に都知事になってもらいたかったのか

だから、石丸元市長への投票は、既成政党へのアンチがメインではないか。
災害対策本部が立ち上がるのに、千葉に遊びに行ってよいというのは、石丸アノンくらいである。普通に社会に暮らしている人たちは、それはダメだと普通に考える。
普通に社会で仕事をしていれば、一方的に要求したり、非難するだけでは、物事は進まないことはよく理解している。事前調整をしなければ仕事はとれない。
なによりも合意形成は面倒であるが、やらなければ、仕事にならないことを日々、感じ、実践している。

ずっと見てきて、石丸元市長どう贔屓目に見ても地方自治体のトップとしての資質が欠けている

これもすでにたくさん書いたので詳細は省略するが、石丸元市長の安芸高田市での4年間の実績は、ほとんどない。強いてあげれば、あきたかた焼きというお好み焼きを開発したくらいである。
企画力や政策形成能力がひどく乏しいと思う。おそらく銀行で、そうした仕事を与えられなかったのだと思う。市長のリーダーシップが大きな要素を占める地方都市で実績を上げられなかったのに、大東京で実績をあげらないだろう。

何よりも人に寄り添えない

最大の問題は、人に寄り添えないことである。町には、さまざまな人がいる。高齢者、障がい者、子ども、さまざまな事情やハンディを抱えている人がいる。
石丸元市長は、マスコミや有名人とは話をするが、こうした人とは話をしない。そもそも弱者の人たちと話ができないのか、あるいは選別しているのかよく分からないが、4年間見てきて、これが最大の課題だと思う。

もし石丸候補が都知事になったら

社会経験を積めば積むほど、安芸高田市のやり方では、あるいは石丸元市長の資質では、課題解決は一向に先に進まず、行政サービスの低迷し、まちの活性化が阻害されることは、よくわかるだろう。
石丸候補への投票者の多数は、あくまでも、若者たち・無党派層に目を向けた政策をやってほしい、それに目を向けない候補者はノー、自分たちの思いをくみ取れる政党であってほしいという現れの投票行動ではないか。石丸候補が、都知事になることを本当に望んでいる人もいるかもしれないが、数はぐっと少なくなるではないか。

次はどうなるか

今回はノーマークだった

だれもこんなに票をとるとは思わなかっただろう。だから、投票した人も、本当に都知事にしようと考えて、投票した人は、どのくらいいるのか。マスコミだって、こんなに得票を得るなんて考えてないから、きちんとした検証したうえでの報道してこなかった。

自分を見失うかもしれない

私の仮説は、「自分は政治家に向いていない。目指すはひろゆき的ユーチューバーである」というものである。しかし、今度の得票で、ご本人は、自分は「政治家に向いている。政治家をめざそう」と、自分を見失うかもしれない。
東京でここまで来たのだから、田舎の広島県なら簡単なものだと思うかもしれない。

本気で知事として選ぶとなったら

今度は、有権者が、本気で知事として選ぶことになる。マスコミも社会もさまざまな検証を行うだろう。
「安芸高田市における実績を引っ提げて」といううたい文句が、まったく皆無に近いことを知っているのは、今は、一部の人だけであるが、その時は、本当なのか、根掘り葉掘り掘り起こされるだろう。
そのとき、安芸高田市での4年間の「実績」を検証してきた人たちが、陽の目を見ることになるだろう。このnoteも、こんなのがあったんだと、小さな光を浴びるかもしれない。

*一部加筆



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