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『クソ妄想垂れ流し』という漫画をご存知ですか、世界。

クソ妄想垂れ流し、という漫画を知っていますか?

読めば絶っっっ対に気分を害します
しかし絶対に何か感じるものがあるはずです。

……
狂気とか。




私はこの漫画が大好きなのです。
長ったらしい説明は不要。
以下に私の特に好きなエピソードをいくつか載せておきます。

この狂気に魅せられてしまえ。






エログロ要素がかなり強いので、それだけ注意してください。






以下 オススメエピソード




part1より:


•部屋

クソ妄想垂れ流し 部屋 1話

目覚めると男は真っ赤な部屋にいた。部屋は暗く6面赤い壁紙で覆われている。壁紙は固い所と柔らかい所とがあった。そしてほのかに温かかった。叫んでも、呼びかけても、誰もいない。いくら叫んでも出口も見つからない。「壁は柔らかいから強く押せば出られないだろうか」と考え、グ、と押してみるが、浅く沈み込むだけである。「糞が!」苛立って壁を強く殴ると、誰かの声が部屋に響いた。「ぎゃあ!」…………ここがどこなのか何故ここに入れられたか…分からないことが多いが、一つ分かったことがある。

この部屋は生きている。

あらすじ

 ……読みました?最初っから最悪に気分を害する話っすね~~!自分もエログロとかバッドエンドモノとかかなり嫌いなんですけど、奇跡的にこの作品はその絵柄のゆるさと発想のぶっ飛びが良い具合にエログロバッドエンドとマッチして、なんか好きなんですよね。この『部屋』の話なんかが分かりやすい例です。もう少し写実的な絵なら絶対に見れなかったです。



•惑星エルダマ

クソ妄想垂れ流し 惑星エルダマ 2話

『数分後に惑星エルダマに到着します』
 未開の惑星に地質調査に来た二人。途中、足だけの銅像を見つけたりしたが、それ以外特に何ともなく、調査は完了する。しかし帰ろうともとの道を辿ったところ、ここに来るのに使った宇宙船が無くなっていた!
 宇宙服内の酸素がなくなる前に船を見つけ出さないといけないのだが、それより先に調査員の片方が奇妙なものを見つけた。人型の……真っ黒な銅像である。生命体ではなさそうだ。そこで一人が調べるために近づいてみると、急に銅像が動き出し、掴まれてしまった!「大丈夫か!」呼びかけても反応しない。……彼は、銅像に触れられた瞬間、気持ち良すぎて射精してしまったのだ!

あらすじ

 あたまがおかしい。 “触られると気持ち良すぎて絶頂してしまう銅像” とかいうトンチキなものでここまで不安を煽る物語を描けるのはホントにすごいことじゃないですか?
 あとがきで明かされる、くそほどあほくさいインスピレーションもとも面白い。よくその種からこんな話思いつきましたねマジで。



•鉄槌

クソ妄想垂れ流し 鉄槌 3話

目を覚ますと男は薄暗い空間の中、地面に埋められていた。周りを見ても何もなく目の前に時計が置いてあるだけだった。「誰かいないか!」叫んでみても返事はない。何故自分が埋められているのか全く分からず、また体を抜こうとしても微動だにしない。「まあそのうち誰かが来て助けに来てくれるか」楽観的に考えていると、時計の針の音に紛れて変な音がすることに気づいた。
 音は気になったがやることが無いため、男は次第に眠たくなってしまった。
 次に目を覚ますと、三時間後であることが時計を見て分かった。そして、謎の変な音が大きくなっていることに気づいた。見上げると、能面をした人間が大きなハンマーを引きずって、こちらに近づいている。まあいいかあの人に助けてもらおう、と思い「おーいちょっと来て助けてくれ!」と呼びかける。しかし反応はない。能面はこちらの呼びかけに一切答えず、ゆっくりと近づき、目の前で立ち止まる。そして大きなハンマーを振り上げ、静止した

あらすじ

 シンプルに怖い。「もしこんなことになったら最悪だよな」みたいな妄想をしちゃうという人は多いかもしれませんが、そういった妄想を、鮮度を保ちながら脳から取り出せるのはほんとにすごい。最悪の読了感に溺れます。



•S県M村3泊4日旅行レポ

クソ妄想垂れ流し S県M村3泊4日旅行レポ 1話

作者・酔拳使いは、S県M村に3泊4日の旅行に行った。

あらすじ

 ふつうの旅行レポ。



•ワイヤレス妊娠

クソ妄想垂れ流し ワイヤレス妊信 1話

ある日、世界中の男性の精子がワイヤレスと化した!

あらすじ

 読まざるをえないおもしろい設定のまま突き抜ける、おもしろすぎちょっぴりホラーな寓話。一文でおもしろすぎると分かるため、あらすじはこの一文で済む。



•1.5m/s

クソ妄想垂れ流し 1.5m/s 2話

 どこにでもいるサラリーマン・山田は我慢の限界だった。毎日毎日、周囲のことも気にせずノロノロと歩く、歩きスマホのせいだ。
「あのゴミどものせいで毎朝駅が混雑してるじゃん。てめーの後ろが詰まってるのにアホ面下げて端末いじってんだぜ?死ねよ」
「まあそんな怒るなって」
今日も、会社で同僚に宥められていた。
……
 ある日、国民歩行速度調整法が可決された。国民が公道を歩く際の歩行速度が、毎秒1.5メートルに定められた。それを下回った場合、0.1メートルにつき千円の罰金が科される。おかげで歩きスマホする馬鹿から徴収された罰金で国は潤い、また歩きスマホが激減したことで山田はゴキゲンなのだった。

あらすじ

 はよ可決してくれ、国民歩行速度調整法。あと「エスカレーターで止まらないやつ爪剥がされ法」も可決してくれ~~~😭😭😭
 珍しく爽やかなオチだと思う(?)



•デュラさん

クソ妄想垂れ流し デュラさん 1話

 幼い頃に胴体だけ誘拐されてしまった、「デュラさん」。そんなデュラさんの幼馴染である主人公は、ある日、デュラさんの両親に「デュラと一緒に胴体を探してくれないか?」と頼まれる。仕事などを理由に断ったが、この話はいつの間にかメディアにも取り上げられるようになってしまう。それでも断り続けている内に、いつまでも旅に出ない主人公への誹謗中傷にまいってしまい主人公の親が自殺してしまった。
 そして主人公は旅に出た。出ざるをえなかった。以来10年間、こうして彼女の顔を抱えながら彼女の胴体を探す旅をしている。

あらすじ

 これはもう絶対にクソ妄想なんかではないと思いますけどね。マジに色々考えさせられる。あとがきで先生は「口の形をしたオナホをみて思いついた話」と言っていますが……読んだ全員が別のモチーフを思い浮かべると思います。……人の世話をするということです。ほんとに恐ろしいことだと思います。
 世界が今よりも6段階くらい更に狂えば、この話が道徳の教科書に載るかもなと思う。





part2より:


•亀有オフ会レポ

続・クソ妄想垂れ流し 亀有オフ会レポ 1話

作者・酔拳使いは、G線上の点P(comic/37729)を描いている折墓先生と亀有でオフ会をおこなった。

あらすじ

 寒気がする。



•机男

続・クソ妄想垂れ流し 机男 2話

「真夜中の2時…三年一組の前から3番目の席に座ると、机の中から“机男”が出てきて机の中に連れ込んでしまう…」
 学校に伝わる都市伝説を確かめに、悪友と一緒に深夜の学校にやって来た主人公。「よし!じゃあ座ってくれ!」と悪友に促されるままに、例の席に主人公が座る。……何も起こらない……。都市伝説は噓だったか、と二人が帰ろうとした瞬間だった、机の中から黒い影が伸びて主人公を捕まえて机の中に引きずり込んだ!
……
 目を覚ますと、黒い影がいた。そいつは自分こそが“机男”だと説明した。机男が言うには「机の中の定員は2人でそこから増減しない」「机の中から出ることは永遠にできない」「つまりお前は私とここで永遠を過ごす」とのことだった。それを聞いて泣く主人公を、机男は慰める。「泣くなよ…ここも結構いいとこだぜ。ほらあれを見ろ。アレがこの机の世界における唯一の娯楽だ」指を指した先には、この机を使っているJKの下腹部が見えた。

あらすじ

 あらすじ長くなっちゃった😭
 で、これ好きな話です。そんで一番怖い話かもな。何が怖かったんだろうとは思う。孤独が?永遠が?逆に有限が?変化が?荒廃が?夜が?……もし他に読んだ方が現れたら、是非とも感想を聞きたい。



•IQ84

続・クソ妄想垂れ流し IQ84 1話

3回目の世界大戦が終わった後、政府は国民の知能指数を84に統一する、IQ84政策を開始した。84…この値は十二進数で表されているが、十進数に直すと100である。そう、国民のIQは100に統一されたのだ。「賢すぎず馬鹿すぎない、同じ知能レベルなら争いは起こらない」と政府は考えたわけだ。
……
 今年も、「人間試験」の時期が近づいてきた。新政府が行う、年2回のIQ試験である。IQ82~86が適正値であり、82未満は知能が水準に達するまで施設で“教育”される。……そしてもう一つ、IQ86を超える場合もまた“教育”される……しかし、こちらの“教育”から帰ってきた人物は全員が廃人となっていた。人々はそれを「あぼーん」されたと呼んでいる。

あらすじ

 この話も面白い。知能が統一された世界は、多分、クソほどつまらないだろうな。ディストピア。
 それで、元ネタとなった『1984』なんですけど、自分はふわっとしか知らないんですよね。読んでみようかな。でもつまんなそうだしな~。しょーみつまんないでしょ。雰囲気暗そうだし。衒学的でいれるチャンスを増やそうと目論んでいる浅い大学生しか読んでなさそう。くたばれ!……やっぱ衒学的なやつも自分より賢いやつもムカつくな! これが「“知”こそが争いの根源である」ってことか!? やはり知能は統一すべきか!! うおおおお!! びっくりするほどユートピア!! びっくりするほどユートピア!!



•屋根裏

続・クソ妄想垂れ流し 屋根裏 1話

部屋の壁が薄すぎて屁の音が減衰無く隣へ届く。もしかしてこのアパートは今流行の違法建築かもしれない……そう考えた主人公は天井裏を調べることにした。もし防火壁が存在しないことが確認できたら違法建築であることが分かる。
 真っ暗な天井裏。……やはり防火壁は無い。防火壁が無いから他の部屋の天井裏に行けてしまう。これも手抜き工事のせいだろうか、ちらほら穴が空いており、他部屋を覗けたりもする。そうして探索していると、ふと、暗闇の中に誰かがいることに気づいた。恐ろしくなり、早く自分の部屋に戻ろうとする。出入口の蓋を再び開けて自分の部屋を確認する……すると、そこには自分が居た。

あらすじ

 話を作る際の細部が綺麗で、読みやすい。たとえば主人公が、部屋に埃が入らないように屋根裏への出入口をすぐに閉めるところや、最初に壁の薄さを強調するような説明をしてからのニャンちゅう声真似シーン。まあこんな批評めいた感想はどうでもいいとして、単純に話の内容が好きです!シュールな愉快さと恐怖の同居が気持ち良い~!



•勃鬼

続・クソ妄想垂れ流し 勃鬼 1話

 偶然、太陽表面で起こった爆発で電磁波的なものが発生、地球に飛ばされてしまいそのまま大気圏などを経て変調、そして地上を歩いていた山田の股関を直撃した。瞬間的に山田の股間にものすごい衝撃が走った。……が、特に何も起こる様子はない。
 まあいいか、気にすることはない。家に帰り、山田は日課の一人エッチを始めた。そして絶頂。……虚しくなってしまい、さっさと片付けて寝てしまおうと、床に散らばったはずの己の種子を拭こうとした瞬間である。……そこには化物がいた。
その日から、山田は射精するたびに化物を生み出すようになってしまったのだ。

あらすじ

 おもしれ~~~~!!!!
 人生で経験しうる快感を数値化しようと試みる人間は少なくないですよね。美味しい食事の何倍性行為が快感なのか、性行為の何倍違法薬物が快感なのか、男性の自涜と女性のソレではどれほど異なるのか、死の直前に分泌されるアドレナリンはハチャメチャに気持ちいいのか。でも確かに、死の疑似的な状況だからか、焦っているテスト中に聞く「残り5分です」のアナウンスはめちゃくちゃアドレナリンの分泌を促している気がするな。全然気持ちよくね~~けど。





part3より:


•ボールペン狂々

クソ妄想垂れ流し part3 ボールペン狂々 1話

村の駅に、ボールペンを握りしめ、怒り狂ったような形相をして、そこにずっと動かないで立っている男がいる。男はその眼光を主に歩きスマホしている者たちに向けていたが、かといって襲いかかるようなことはなかった。警察が注意しても動じない。いくら誰が何をしようと、ボールペンを握りしめて顰めっ面しながら突っ立ったままだ。実害はないということで人々はそのボールペン男を放置することにした。

あらすじ

 3話完結ということで、比較的短めのお話。いつもと話の語り方がちょっと違う気がする。絶妙に崩されたテンポが不安を煽る。不気味でコワ~~。
 物語の最後に実際に彼がそのボールペンで刺殺した人物は、彼がそのボールペンで刺殺したかった人物と一致していたのだろうか。



•逆自殺

クソ妄想垂れ流し part3 逆自殺 1話

 数年前、ある科学者が発明をした。そのおかげで国の借金、雇用、年金その他もろもろの問題がすべて解消し、我が国は世界トップレベルの豊かな国になった。国民のQOLも著しく向上。我が国の問題であった年数万人の“自殺者”はほぼ0に等しくなった。
 しかし近年 新たな問題が発生した。逆自殺である。逆自殺とは何か?文字通り“逆に”自殺をするのだ。「敢えて逆に」という意味での“逆”である。
 例えば、就職もでき、彼女も出来、貯金もたくさん、もう何も言うことがないほどに幸せ……こういう状況で、「敢えて逆に自殺する

あらすじ

 バーのママ、かわいくて好き。物語の最後に映った2コマ、彼女は何を考えていたのだろう。
 それで逆自殺についてだけど、「幸せの絶頂で人生のエンドロールをさっさと流してしまいたい」と考えることは確かにあるからな~。実際、私も死ぬときは『あずまんが大王』見て笑って最高に至福なときに意識外から眉間を一撃、がいいしなあ。幸せな内に死にたいという欲求は誰でも少なからずあるだろうし、それが「終わり良ければ総て良し」でありたい欲求の妥協であることもなんとなく分かる。まあ私はあと200年は生きたい!私も一緒に海へ連れてって!!!!



•酩酊シリーズpart5 幽霊でした

クソ妄想垂れ流し part3 酩酊シリーズ part5

 『酩酊シリーズ』とは、作者が酩酊状態で書いたネタを素面の作者がなんとかして書いた話です。
 今回紹介するのはシリーズの五回目。酒の入っているときに思いつく話など、因果も論理もあったものでなく、このシリーズは基本的にかなり理解不能。しかし第五回のこの話…も当然理解不能なのだが、なぜか奇跡的にかなりいい雰囲気の話に仕上がっている!コメント欄にも「作者いい酒飲んだ?」みたいなこと書かれてる。いい酒を飲むといい妄想ができんのか?



•御桜の言葉の満開の下

クソ妄想垂れ流し part3 御桜の言葉の満開の下 1話

 ある日、世界は狂ってしまい、人々はエロ漫画のような話し方をするようになった。朝テレビを付けるとお天気お姉さんが「全国的に晴れなのぉおお」と言っている。出社したら同僚も上司もそんなエロ漫画の喘ぎ声のような話し方をしている。「お前その口調どうした?」と聞くと、同僚はアヘ顔でこう言った。「おまえこしょどうしたあああああん!エロ漫画みたいなのぉおお!」

あらすじ

 普通の口調とエロ漫画的な口調が逆転した世界……よくこんなん思い付きますね。主人公はいわゆる「俺以外の全員の方が狂ってるんだああ」の立場に立たされるわけですが、ほんとに心細そう。自分以外の全員が狂ってるのなら、それはもはや自分の方が世界の常識に適合できない狂人でしかないですからね。たまに道で見かけるああいった人間が狂っていて我々の方が正しい、なんてこともまた証明はできないわけですからね。もうよくわからないのおおおお!!!!



•怪我

クソ妄想垂れ流し part3 怪我 1話

 道に迷った時、スマホで地図を見ながら歩いていたら転んでしまった。その途端、尖った何かが右手を貫き、大出血の大怪我をしてしまった。病院を教えてもらおうと近くにいた村人に事情を説明するが、紹介された場所は精神病院。その後に内科に行ってもてきとうに流されてしまい、帰宅した頃には、てきとうに処置されたらしい包帯から血が滲み出ていた。
 どうすることもできず次の日になり、仕方なくそのまま出社。目立つ包帯。同僚に例の怪我を確認してもらう流れになった。「その怪我とやらを見せてみろ」と同僚が言うので、包帯をほどくと、同僚は首をかしげた。「ケガしてないじゃん」……この怪我は自分にしか認識されていないらしい。周囲の皮膚が紫色に変色した見た目も、溢れる血と膿の臭いも。

あらすじ

 ラストのコマ怖すぎておちーこチビっちゃた😭
 きょーくんきょーくん、歩きスマホはやめましょう!(カウボーイビバップ エド並みの感想)。歩きスマホはやめよう!



•赤玉です

クソ妄想垂れ流し part4
赤玉です 2話

 数年前の事である。人間が赤玉になる事象が発生した。原因は不明だった。誰が、どのタイミングで、何が原因でなるのかも。「それ」は突然発症する。発症すると体の末端から消失していく。痛みはない。消失した切り口からは何も出ない。ウィトルウィウス的人体図をご存じだろうか。あの外側の円がだんだんと縮むように肉体は消失していく。だんだんと、消えていく。直径が6cm程になると縮小は止まり宙に浮くのである。そして赤玉になる前と同じ行動をする。自意識は無い。ただ生前の行動を繰り返すだけなのであった。「お待たせしました〜次は〜S県M村〜S県M村〜。4両編成で参ります」電車のドアが開く。そこから、無数の赤玉が降りた。

あらすじ(『赤玉です』2話より)


 間違いなく名作。これは間違いなくクソ妄想ではない。心の所在地を人間に問う、最も美しい祈りの所作だけが描かれている。







「突き詰めてしまえば意味など存在しないが誰かは特定の意味を感じている行為」のことを、私は、「祈り」だと思っています。