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神田川・秘密発見の旅 後編29 湯島聖堂の不思議に迫る

後編29 湯島聖堂の不思議に迫る

 ここが湯島聖堂。
 JRお茶の水駅から歩いて5分。聖橋を渡ってすぐ。

湯島聖堂の本廟

 説明書きの看板は同じものが聖橋を渡った先、入徳門に降りる階段脇、杏壇門に向かう西廡(セイブ・西回廊)側の脇と会館出入り口にあって、いずれも本郷通りや外堀通りに面したところに立てられている。

「徳川5代将軍綱吉は儒学の振興を図るため元禄3(1690)年湯島の地に聖堂を創建し・・・(幕府は)寛政9(1797)年幕府直轄学校として世に名高い昌平坂学問所(通称昌平黌)を開設しました。・・・明治4(1871)年、(新政府が)これを廃して文部省がおかれることになり、林羅山以来240年、学問所となってから75年の儒学の講筳はここにその歴史を閉じた次第です」とやや不満げに経過が書かれている。
 看板はこの場所に、明治19年に東京高等師範学校が、明治23年には東京女子師範学校が設置された場所で、日本の教育の発祥の地だと続けている。前者は東京教育大学(今の筑波大学)に発展し、後者は東京お茶の水女子大学に発展したとも触れている。その心意気を残すように、今も文化講座(論語素読、論語塾、漢詩講座、唐詩研究、中国語講座などなど)が定期的に開かれているし、漢文検定試験も行っている。

 例えば一般講座の「論語素読」は4月初めにスタートして翌年2月まで毎月1回開かれる講座で、講師には中央大学宇野茂彦名誉教授が当てられている。受講料は一般が7200円、賛助会員は3600円。午前10時半から12時までの時間になっている。

 講堂(大成殿)の公開は土・日・祝日のみで訪ねた日は水曜日だったから、講堂内は見ることができなかった。何度も消失し何度も再建されているが、現在のものは昭和10年に再建された建築で鉄筋コンクリート。

絵馬はこの場所以外にもぶら下げられていた

 ウイークデーで昼の時間帯だったからか、訪問客はいずれも一人、全部で3組だった。聖堂とあって講堂に礼拝する人はいなかったが、講堂と回廊の両脇には「大願成就」「合格祈願」の絵馬が数多くぶら下げられていた。日本人は凄い、の一語。孔子は大聖人で、神や仏に近い存在なのだろう。

 孔子の出自はハッキリしていて、2500年前の中国(魯)の人、仏陀は2700年ほど前のインドの人、天照大神の出身地は高天原(所在地不明)で出生年代は不詳。稲荷神の主神はウカノミタマと言われているが、年代・出身地・性別(男性か?)など不詳。
 ついでながら、数多の神々で、まれに出身・名前のハッキリしている神もあるが、年代が不明なケースは多い。大年神は須佐之男命と神大市此売(カムオオイチヒメ)の間に生まれたとされているが、生まれた場所や年代は不詳。ギリシャ・ローマの神々も日本と似ている部分があって面白いが、こういう神々は神田川とは直接関係していない。

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