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2024年春闘での賃上げ 大企業と中小企業の格差は広がるばかり

中小企業の2024年賃上げ見通しが発表されたが、2024年中小企業の4%以上の賃上げを予定している企業は僅か11.8%のみ

実質賃上げなし企業は全体の75.7%   4社に3社が実質賃上げなし
5%以上賃上げする大企業との格差は広がるばかり

先週から大企業での労使交渉の結果が発表され、2/21日経新聞等で以下のような5%以上賃上げの羨ましい景気の良い内容が発表されています。

  •  ホンダ、賃上げ要求に満額回答、1989年以降最大の5.6%

  •  マツダ 満額回答 早期回答 6.8%相当の年収引き上げ

  •  イオンリテール、満額回答 早期妥結 正社員6.39% ,パート7.02% 時給

  •   松屋フーズHD 初回交渉で満額回答妥結 10.9%

  •  ヤマハ発動機 満額回答早期回答は初 約5.1%

その一方で中小企業の2024年賃上げ見通しを、2/14日本商工会議所が「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」の調査結果(*注)を発表した。8ページの調査結果を当社で解析・集計した結果は以下の通りであり、

  • 2024年中小企業の4%以上の賃上げを予定している企業は僅か11.8%のみ

  • 名目賃上率を下回る実質賃上げなし企業は全体の75.7%。4社に3社が実質賃上げなし

賃上げ出来ない企業の共通点とは

当社の2/14投稿でも述べた通り、政労使会議等で対応策として【価格転嫁】を上げていますが、【価格転嫁】以前に問題があり、以下の5点が中小企業の長年賃上げが出来なかった主要因であるということを認識すべきです。

  1.  中小企業強化法の中に【事業分野別指針】があるが・・その存在すら知らない

  2. 「原価計算」すら確立していない『数字・DXに弱い企業』である。

  3.   労働生産性も意識した経営が出来ていない

  4.  単価アップどころか強み等をアピールできなく単価を下げ受注する。

  5.  経営陣を含めた「意識」に問題。人財育成・リスキリングを本気にしていない。

【事業分野別指針】があるが・その存在すら知らないのが実態。

中小企業等強化法の中に「事業分野別指針」として、下記図のような「組織の活性化」、「多能工化」、原価割れ受注をしない為の「実際原価の把握」及び工数を削減し最適化する為の「工程設計」の重要性等を含めた7つの指針があります。小規模事業者(~20名)でも、2つ以上を強化する事が推奨されています。 

しかしながら、実態は・・・・この「事業分野別指針」の存在すら知らない中小中堅企業の経営者が大多数です。生産性向上については、上記のイ)~二)の設備投資なしにすくなくとも「原価の把握」等の経営体質強化、組織の活性化等経営者がすべきことが多くあります。

「事業分野別指針」の普及による中小企業の経営力強化が重要

当社のような「事業分野別経営力向上推進機関」は、幅広い分野で労働生産性・収益性向上を支援指導が出来る機関である事及び中小企業者等の経営者層及び従業員に対して、セミナーなどを通して、全ての「事業分野別指針」を教える事ができる支援機関として主務大臣によって認定される機関です。その為に一般社団法人日本能率協会殿及び当社等を含め全国で14機関しかありませんが、役務である「事業分野別指針」の普及啓発により、中小企業の経営力強化が重要となります。

 経営者の意識が変われば・・・リスキリングを推進する政策が必要

当社はこれまでもJAL再建稲盛式と同様な経営手法で企業に入り込み「事業分野別指針」に準じる下記の体系化した指導プログラム「幹部研修」を展開してきました。その結果として20社以上で前年度より営業利益8千万円増との営業利益3%以上増等の高収益企業への変革の多くの実績・成功事例があります。

  1.  徹底した意識改革で組織の活性化(企業改革・意識改革のプロとして全社的生産性を追求する組織を構築し活性化)

  2.  製造に関する事項(製品毎の「実際原価」「工程設計」を把握し生産性向上の為の「見える化」導入)

  3.   営業に関する事項(ポートフォリオ解析等で顧客毎商品群毎の「収益の見える化」を導入し強みを活かした差別化により製品群ごとの収益性を高める)

上記は設備投資なしで、JAL再建稲盛式と同様に「意識改革」と「収益の見える化」により大幅に労働生産性に向上できます。高収益企業への変革として「ソフト面」で学び習得し導入・浸透・定着できるものです。その意味でこれまでも提言している「今こそ中小企業での本気のリスキリング」が重要です。

VUILDが提案する「中小企業の本気の賃上げの為の施策」


政府官邸から「賃上げのための9つの方策」が発表されていますが、VUILDとして「中小企業の本気の賃上げの為の施策」として政府・行政にこれまで通りに提言していく予定です。今回は詳細の提言は割愛しますが、概要は以下のとおりです。

  1. 中小企業の実態(30年間賃上げなしの主要因等)を把握でき有効的な施策を構築できる行政への「行政改革」

  2.  実質賃上げ出来ない経営者・経営陣への意識改革を含む中小企業経営者向け施策の構築 ー 事業分野別指針の遂行の義務化等

  3.  1兆円リスキリング支援策に中小企業視点でのリスキリング補助金制度の新設ー現リスキリング補助事業は転職者向け非正規対策のみ

  4.  事業者からのストレス・不満が多い現補助金・助成金制度の実態調査と対策- 非生産的審査等で支給まで半年以上かかる等多くの課題

  5.  生産性向上に関する所轄を厚労省から経産省へ移管 

  6. その他多数

今後も中小企業に精通した支援機関として「中小企業の本気の賃上げ実現」の為の活動を展開していきます。皆様方からのコメント及び貴重な情報をお待ちしております。

*注)2/14日本商工会議所が「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」の調査結果 https://www.jcci.or.jp/research/2024/0214110000.html

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