双子じゃないのに同級生を産んだ話4

前回の交通関係つながりで、
もうひとつごめんなさいを言いたいことがあったので書いておこう。

その日は新宿まで長女を伴って出かけていた。
遊びではなく、仕事の書類を預かるためだ。

電車が混む時間を避けたかったのだが、通勤ラッシュギリまで仕事がズレ込んだ。
ヤベェなぁと思ったけれど、ここまで仕事が長引くとは思わなかったので長女のための荷物も手薄。
とにかく早く家に帰る選択をした。

ベビーカーの下にA3用紙の書類を入れ、長女と電車に乗る。程なくして電車が混み合ってきだした。

オイラが最初から座っていられたなら、書類と長女を膝に乗せてベビーカーを畳むこともできたが、
その当時は優先席車両は限られていた。

仮に優先席があったとしても、
ハタから見たらダイエットに失敗した太った女がベビーカーを持っているだけの話だ。
夕刻、仕事で疲れた人たちは、我も先に座席に座る。

駅に到着するたび、ガンガンと乗客が押し寄せ、ベビーカーの周りが埋め尽くされた。
オイラも懸命に身を細くしてスペースを作りつつベビーカーを守る。
長女が泣き出したらどうしようとあせってもいた。

明らかに周りの人達は迷惑顔をしている。

ついに、オイラの隣にいた少し年配の女性が
「ベビーカー畳んだら?」
と言ってきた。

……ここで悩んだ。

私は太ってるわけじゃなくて妊婦です!

と、宣言して信じてもらえるのか??

かろうじて納得してもらえたところで、それでも長女を抱っこしなさいよ?
って感じになるのでは。

どちらにしろ、かさばる書類を抱えつつ長女を抱えてベビーカーを畳む??
誰かが協力してくれれば、それもアリだろうがオイラ1人では無理過ぎる。
ほぼ身動きが取れないほど押されているのだ、
座ればできるがそんな状況ですらない。

貴女の言っていることはわかる。わかるんだけれども、無理ッス…

周りの人達は、よくぞ言ってくれたという顔をしてこちらの様子を伺う態度。

全世界がオイラの敵だらけになった気がした。

緊張状態が続いたせいで、足の付け根とお腹が張ってきている。
ダメだ…限界だ…

オイラはただ下を向き、絞り出す声で
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
と謝り続けた。

その女性も手助けしないと無理な現状に気がついたのか
「手伝うから」
と言ってくれたのだけれども、

もうひたすら謝り続けるしかなかった。
申し訳なくて辛くて長い時間だった……


たまに、電車の中でベビーカーを畳まないのは迷惑だという記事を見るたびに、その日を思い出す。

辛かったけれど、長女が電車を降りるまでは泣かないでいてくれたことが唯一の救いだった。

んが、よくよく考えれば、長女は動いていれば満足なヤツだ。
電車に揺られてるから、泣かなかっただけの話だ。

しかし、腹が減ったらベビーカーが動いていたってグズグズだ。

満身創痍にムチを打って、オイラはまた階段を急いで上がるのだった…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?