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パターンの勉強と並行して必要な知識

大変ご無沙汰の投稿になりました。
Studio di  Felice主宰の坂元です。
季節はすっかり春!といっても時折寒さがぶり返す日もありますが、関東では既に桜も咲き始めたとか。
タイトル上の写真は毎年楽しませてくれる「さくらんぼ🍒」の花です。

前回投稿から随分と間が開きましたが、お陰様で私のレッスンをお申し込みくださる方も増え始め、また、レッスンタイミングが合わない方の独習のお手伝いが出来ればと日々テキスト作りをしています。
その中で、皆さんから寄せられるお悩みやご相談で多いのが

「パターンのバランスの目安や正解がわからない」

でした。

そこで、今回は私が何を基にバランスや目安を出しているのかを皆さんにお伝えできればと思います。
以前、投稿しました「パターンの勉強方法・私の場合」と被るところがありますが、宜しければご覧ください。

★お知らせ★
私のnoteでは常に一番多いアクセスを頂いています。
バストダーツをアームホールに逃した際の身頃バランスやそれに伴うアームホールの描き方。そして、そこから発展させた身頃続きの各種袖のアプローチは時代をこえて関心が高い様子を感じています。
Studio di Feliceではレッスン用に作成しましたテキスト販売を不定期に行っています。
直近のお申込み受付は2024年2月6日(火)〜20(火)となっています。
タイトル「バストダーツをアームホールに逃す操作方法〜身頃続きの袖へのプロローグ〜」に加えて続編の「身頃続きの袖へのアプローチ」の同時販売となります。
各種製図方式、ドレイピングから求められた「原型」からでも応用可能となります様に、パターンのもつ「傾向と法則」そしてそれらが導き出された「プロセス」の全てを書き記してあります。
「傾向と法則」を用いることは、パタンメイキングの時間短縮・高い再現性となります。
身近に相談できる人がいない、一人でパターンを悩んでいる方は是非お申し込みをご検討下さい。
お申し込みはStudio di Feliceホームページ専用フォームからとなりますので、ご希望の方は上記受付期間中に是非お申し込み下さい。


1.まずパターンとは?

皆さんは「パターンとは?」と訊かれて、なんと答えますか?
「洋服を作るための設計図」または「製図」?
いろんなお返事が帰ってくると思いますが、私は
「洋服の展開図」とお答えしています。
ニュアンスとして大きな違いは有りませんが、アプローチとしてパターンから出来上がりをイメージするのか、出来上がりからパターンをイメージするのかと言う逆のアプローチのように感じています。
きっと、パターンから出来上がりをイメージされるとしても、頭の中では無意識に出来上がりを先に想像していると思います。

私が「洋服の展開図」そして、出来上がりからパターンをイメージする理由は

「出来上がりがイメージ出来ないとパターンにできない」

というのが一番なんです。
以前にも書き記したかもしれませんが、厳密に言うと頭の中で 前、後、そして横から出来上がりがイメージとしてはっきりと見える。
特に横からの出来上がりイメージ。
さらに、それが360度。頭の中で3D映像のようにあらゆる角度から見えないとパターンにできない、、、
いや、手を動かさないようにしているからです。


なぜ、手を動かさないのかと言うと、なんとなくでも途中までパターンは引けるのですが、イメージが固まっていない部分では必ず手が止まってしまうのです。そこで、はっきりとイメージ出来てから手を動かすようにしてから、一気にパターンを引き進められるようになりました。
皆さんは如何ですか?

2.パターンを引く前に

私は先の「イメージがはっきり見えるまで手を動かさない」を乗り終える一つの訓練として、徹底的にイメージをあらゆる角度からパーツ毎でも良いのでスケッチとして「可視化」しました。
そして、そのスケッチを基にラフで
「このパーツ、このシルエットなら展開図はこうなる!」をまたスケッチとして描く訓練をしました。
この工程で得られるのは「ゆとり加減」や例えば身頃であれば前後、側面のバランスやパーツの面の方向等をより把握出来ます。
慣れると、これは頭の中である程度完結できるようになると思います。
そこで私はパタンナーさんには上手かどうかは重要ではなく、先ずイメージを可視化する為にスケッチすることをお勧めしています。

「作りたい袖のイメージスケッチ」


3.洋服は人が着る

このようにして、イメージをスケッチとして可視化の訓練をし、パターンを引き進め、トワル組み立てへと工程を移すのですが、、、
習った製図の手順に自分のイメージを調和させているはずなのに。
人が着ると合わない。

必ずしも各種製図方式が人や市販のボディに合うのかと言うと、そうとは限りません。
勿論、人でもボディでもピッタリ合う場合もあります。
なぜか?
各種製図方式は基本的に「正体姿勢」を基準とし、各所バランスはそれぞれの製図方式のアプローチを基にされ、バストダーツ分量はバスト寸法から「割り出し」によって求められます。
ここでパタンメイキングの際に注意するポイントが二つ出ています。

まず一つ目
バスト寸法はバストトップ位置において、あくまで「外周寸法」です。
下着の「ブラジャー」ではバスト寸法に加えてトップとアンダー差による「カップ」で一人ひとりに合うサイズを選びます。
この「カップ」はバストダーツ分量に値し、バストダーツ量はレディスウェアにおいて大きな影響を及ぼす部位でもあります。
ですから、バスト寸法だけでバストダーツ量を決定するには注意が必要になります。

そして、二つ目
ボディを基準にパタンメイキングを進める際、各種ボディの姿勢は「正体」を基にされていると考えられますが、メーカーによっても姿勢や前後天巾バランス、首のつき方等に違いがあり、意図的なデフォルメ部分が含まれる場合があり、人の身体との違いに注意が必要になります。

どれも9号


この二つの注意点をクリアするには、当たり前のことですが、「人が着る」と言うことを「前提」として考える事になります。
パタンメイキングの場合、各種製図方式から先ず「原型」を作成することになると思いますが、この「原型」はあくまでスタートラインの「デフォルト(基本)設定」ですので、必ず人が着る「再現したいフォルム」にパターンの各所バランスや分量調整が必要な場合があるというとになり、変えてもいい数値、変えなければいけないバランスが出てきます。
また、ボディは求める姿勢に近いフォルムを選ぶ事になります。

4.何を目安にパターン調整

では、具体的に何を目安にするのかですが、勿論人の「身体」そのものになります。
またボディ選びにおいても人の「身体」、それも「骨格」がイメージ出来る物が良いと感じています。
※ドレイピングの場合、フォルムが作り易い事が基準とする事もあると思います。

私のパーソナルレッスンやテキストでもお伝えしている所になりますので、あまり詳しくはここでお伝え出来ないのですが、例えば各種製図方式、また各種ボディから作られた上身頃原型の前後天巾バランスは様々です。
この前後天巾バランスには「意図」が含まれていると思います。
組み合わせとしては寸法差の違いはあれど
 1.前後同寸
 2.前<後
 3.前>後
の3通りしかありません。
あなたはどのバランスですか?その意図と何故そうしていますか?
また、前後アームホールの一番くれた「要」はどのような目安をお持ちですか?
※解剖学的には腕の付け根は後ろが前よりも下がったバランスですが、製図では後「要」が前の「要」よりも高いバランスにあります。

前後天巾バランスや「要」位置はどのようにして決めていますか?



Studio di  Feliceでは具体的にこれらバランスの使い分けを人の身体を基にお伝えしています。
そして、パターンの運動量等の展開をする位置、目安も人の身体が教えてくれます。
その大きなヒントとして、骨格バランスと各所「関節」位置、可動方向になります。
そして、そこにデザイナーやパタンナーのセンスとしての「審美性」というエッセンスが加わり、個々に求められる「機能性」を加える事になります。

ですから、審美性と機能性を含み再現しようとする人の骨格バランスがパターンバランスの目安となり、求めるシルエットが再現できるバランスが正解という事になると考えています。

5.パターンの勉強に加えて必要と考えられる知識

私自身、パターンの勉強において、様々な展開方法やテクニック、ドレイピングでは地の目を正確に読み取ったり、カッティングテクニックであったりと技術面に目が行きがちでしたが、表面的な人の身体の観察から骨格、そして各関節位置、可動方向を自身の身体を鏡に映しだし、時に合わせ鏡で後ろ姿を観察したり、上からカメラで撮って観察して考えるようになってから「運動量」の入る位置、可動方向など、それまで見聞きしていて思い込んでいた部分との違いが明確になった時に、それまで仕入れた情報が本当に「音を立てて崩れ落ちた」ほどの衝撃を受けました。
パターンの勉強と並行して、今となっては、ひょっとしたらパターンの勉強の前に人の身体構造を知る「解剖学」の知識が必要なのではと感じています。

それは特に「パンツアイテム」の研究の時に痛感いたしました。
独学だった「解剖学」をフィットネスのパーソナルトレーナーの資格を取る為に通っていたトレーナー養成所の授業での「解剖学」がとても役に立ちました。

骨格・筋肉・筋肉の走行の観察

そして、この自分の身体の観察から得た情報はレッスンで皆さんにお伝えする時にも、皆さん自身の身体で確認・実感して頂いています。
実感された皆さんはやはり驚かれます。

トップス、ボトムスに関わりなく、Studio di  Feliceでは皆さん自身の身体でそのポイントを実感して頂き、パターンで迷ったら自身の身体でヒントを見つける。
技術的な手順や数値の前に人の身体からの考え方をお伝えすることに多くの時間を費やしています。
そして、テクニックと呼ばれる範疇は、実はお基礎やパターンのもつ「傾向と法則」の「按分のさじ加減」や感性の表現による物ではないかと感じています。

最後に

パターンには様々な考えアプローチが有りますが、人の身体を知るということは必要不可欠であり、避けて通れない知識の一つだと感じています。
身体構造を知ると、肩先に何故「ゆとり」が必要なのか?なども自身の考えでわかる様になってきます。
書店には様々な「解剖学」に関する本が並んでいますが、もちろんガッツリ医学的な物ではなく、どちらかというと「トレーニング関係」のコーナーに置いてある「骨格・筋肉の仕組み」などに関する書籍が読みやすく、使いやすいと思います。

今回の投稿も最後までお読みいただきありがとうございました。
この投稿皆さんがパターンを勉強していく上でヒントの一つになり、お役に立ちましたら嬉しいです。

そして身近にパターンの相談ができる人がいない、パターンの原理を知りたい、改めて原型などの基礎を見直したい等のお悩みをお持ちの方は一度Studio di  Feliceへご相談下さい。
きっと今までと違うアプローチでご自身がお持ちのノウハウを使いこなすヒントが見つかると思います。

Studio di  Feliceはあなたの伴走者として同じ目標に向かって二人三脚でレッスンを進めてまいります。
ホームページはこちらから
https://studio-di-felice.com


写真はじっと花開く時期を待つ、まださくらんぼの蕾が花開く前の寒い時期に頃撮った物です。
そして、偶然にも空に「彩雲」が映り込んでいました。
まるで必ず種は芽を出し、蕾が膨らみ花が咲く!
皆さんお一人おひとりの未来を照らす様に!



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