デジタル難民/色盲のつぶやき
写真がフィルムからデジタルに移行する際、うまくその波に乗れなかった人をデジタル難民と呼んだ時期があった。
あえてフィルム撮影にこだわり続けた人もいたけど、ボクはデジタルの波に乗りたくても乗りきれなかった難民のほう。
ただ、理由は色覚に関して健常な人たちとは違った。
それまで、ネガフィルムで撮った写真はショップに持って行ってプリントを頼むのが普通で、プリントする際、専用のプリンターが自動で、あるいはオペレーターさんが多少手を加えて色を補正してくれていた。
仕事での撮影には、それ自体が完成品となるポジフィルムを使っていたけど、曇りの日や夕方だと、色(ホワイトバランス)の補正に使うフィルターを覚えておけばよかったし、室内での商品撮影(ブツ撮り)なんかも、ライティングさえ間違わなければ問題はなかった。
そもそも、その時代、商業写真はデザイナーや印刷業者さんが印刷物にする時に必要に応じて補正してくれるから、写真の色は「それなり」であればよかった。
それが、写真の納品がポジからデジタルデータになったとたん、撮影者自身の色に対する責任が一気に重くなった。
「ちょっと青みがかってない?」とか「少し赤がかぶってるような気がするんだけど」みたいな話が、撮影者に直接投げかけられる。
デジタルカメラなら、撮った写真の色がおかしかったらその場で撮り直せるし、納品データも撮影者自身で簡単に調整できる。
そんな便利な時代が、色盲のボクには逆風になった。
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