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気がつけば、鉄子。

海外での移動は鉄道が好きだ。
郊外からマンハッタンに向かう電車でちょっとワクワクしながら窓の外を眺めているうちに、ハッと気づいた。
私、結構な割合で電車乗ってない!?
初の海外は16歳のハワイで、それは電車での移動はなかったものの、その次19歳のイギリスでは、電車移動はかなりの基本。ロンドンは地下鉄で、駅に着くたびに「Mind the gap(足元気をつけて)」のしゃがれ声の案内にワクワクした。ナイトコーチと呼ばれる夜行バスで乗り過ごして、明け方に知らない街に放り出され、言われるがままに電車に乗り、山間の街を移動したこともある。
どんな路線、どの駅だったか覚えていないけれど、始発を待って駅の売店でポテトチップスを買って乗り込み、最初の目的地だったヨークに着いた。
ロンドンまでの帰りの電車は、リヴァプール経由。大きな工場がたくさんあり、煙色の空。船のデッキが駅から見えて、あぁ、ビートルズはここで育ったんだと、しみじみ思ったことを覚えている。灰色に塗り込められた世界から、旅立っていく船のブルー。
イタリアはローマ、フィレンツェ、ベネッツィア。ミラノからのトリノやジェノバ。電車で繋がっているのに、乗り合わせる人の髪色が、南のダークブラウンから、北の金髪碧眼まで変わっていく。それを見ながら、あぁ、縦に長いからドイツに近いんだと、気がついた。
アルプスの裏、コモ湖の近くを通る、その美しさ。またあの電車に乗りたい。
電車のルールは国で様々で、それも楽しい。等級ごとに分かれていて、チケットを座席の前に挟んで、車掌が回ってきたときにチェックできるようにする。
イギリスは、席さえ空いていたら、好きなように座れるし、イタリアでは乗り合わせた男の子があれこれと世話をやいてくれて、何かとエスコート気質(女の子好きとも言える)なんだな、と思った。
ベルギーからパリに向かう電車で、ヨーロッパ中を8カ月間旅しているという女の子に会った。日本語でしゃべるの久しぶり、といっておしゃべりした後はひたすら刺繍をしていた。時間つぶしになるのだと。旅が日常になると、電車は単なる移動手段なのだな、そう思った。 #のり鉄 #ヨーロッパ列車の旅 #鉄道

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