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かつ煮

コンビニで、切手を買って
封筒にすぐ貼ってポストに投函して
ひと安心して、帰宅中に家の玄関の少し前で

ぼんやりと思い出したこと。

昔、家族で外にご飯を食べに行ったときに
姉や母は、ご飯とおかずのセットを注文してる中
親父だけは、「かつ煮定食の単品で」などの
注文をしていた、子供ながらに
なぜご飯を断るのだ!変な注文と思いつつ

少し待ち、店員さんがお盆に乗せた
おかずのみの、かつ煮を持ってきた
テーブルの上にそっと置いて
「熱いのでお気をつけてお召し上がりください」と一言添えて、席を離れた

親父は、待ってましたとばかり
ぐつぐつと煮えてあっつあつの、上に三つ葉が
添えてあり卵もとろとろのかつ煮に箸を伸ばして

一切れ食べては、あっつい口の中を
小さなグラスに入った、ビールをぐいっと飲み
瓶ビールをまたグラスに注いで
美味しそうにかつ煮を頬張っていた

自分のご飯を頼んで、既に食べていたが
親父の美味しそうな食べ方と
かつ煮の甘い香り食欲がそそれられて

美味しそうだなぁと見てると、親父が
ほらっ口を開けろと乱雑に言って
やった!喜んでる餅屋の口にあっつあつのかつ煮をアーンと食べさせてくれた。

食べた瞬間に、美味しいよりも先に
熱さが来て食べかけを小皿に移して
父の真似をする形になったが、小さなコップの
お冷で口の中を少し冷ましてから
フーフーと息を吹きかけて、食べかけのかつ煮を
食べたらとても美味しくてすぐ食べ切り

それを見てた姉もあたしにも頂戴と言って
親父は「しょうがねーな!みんな俺の注文の品
          食べたがりすぎだ」と言ってる言葉と
裏腹に、顔は笑っていた。

その後大人になって、ご飯を食べに行き
メインを頼みつつ、店員さんに
これは単品で頼めますか?と聞いて頼む事がある

時間が経ち、変なとこばかり親父に似てきている

だが、良いのか悪いのか、下戸で全く酒が
飲めないのは父とは似ても似つかないところだ。

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