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鉄道事業法⑥:運賃・料金

条文はこちらから。

前回は線路の貸付・譲渡についての条文を勉強しました。

今回は鉄道の運賃・料金設定について(法第16条)について勉強します。

運賃と料金

あまり意識しないかもしれませんが、運賃と料金は別物です。国土交通省によると下記のように定義されています。

  • 運賃
    人又は物品の輸送に対する対価
    (例)普通旅客運賃(きっぷの値段)定期旅客運賃(定期券の値段)等

  • 料金
    運送以外の設備の利用や付加サービス、役務の提供に対する対価
    (例)特急料金 グリーン料金 入場料金 等

法・規則ではさらに下記のように分類されているようです。

  1. 運賃(法第16条1項)
     →上限の認可、設定の事前届出

  2. 国土交通省令で定める旅客の料金(法第16条1項)
    新幹線鉄道に係るものです(規則第32条1項)
     →上限の認可、設定の事前届出

  3. 特別車両料金その他の客車の特別な設備の利用についての料金その他の国土交通省令で定める旅客の料金(法第16条4項)
    新幹線鉄道以外のもので、特別車両料金・寝台料金・座席指定料金などです。(規則第34条)
     →設定の事前届出

運賃・料金上限の認可

鉄道運送事業者は、運賃・料金(前述の1と2)の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。実際の運賃・料金は、認可された上限の範囲内で決定され、事前届出することになっています。なお運賃・料金の変更も事前届出することになっています。
一方で前述の3「特別車両料金その他~」については上限規制がありません。

運賃・料金上限の算定

法第16条2項より、上限額は「能率的な経営の下における適切な原価に適正な利潤を加えたものを超えない」という基準で決定されます。「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」を「総括原価」といい、これを基準に価格を決める方式を「総括原価方式」といいます。

しかし総括原価方式では最初から利潤を見込んでいるため、企業の十分なコスト削減が行われない恐れがあります。

そこで導入されたのがヤードスティック方式です。ヤードスティック方式では総括原価の中の「営業費」と呼ばれるコストを算定します。超要約すると、事業環境の違いを加味した上で、一般的なコストを算出する方法です。算出には回帰分析を用います。詳細は国土交通省が公表しています。これにより各社の「基準コスト」が算出され、「実績コスト」との大小関係によって「適正コスト」を算定します。
鉄道:鉄道の運賃・料金について - 国土交通省 (mlit.go.jp)

その他の費用についても国土交通省の指示に基づいて算出し、「総括原価」が算出されます。これを超えないことを確認して「上限運賃」を設定します。

総括原価の内訳(IBLR.INFOより引用)

特別車両料金等の設定

前述した通り、新幹線鉄道以外のもので、特別車両料金・寝台料金・座席指定料金などは事前届出のみで、金額を自由に設定できます。これらの料金設定については、各社の旅客営業規則に記載があります。

(例)JR東日本 TRAIN SUITE 四季島
プランによりますが、55~150万円程度に設定されています。運賃は在来線と同様で数千円程度のはずですが、特別車両料金として設定があります。(JR東日本 旅客営業規則 第130条)

参考

その他関連事項 (mlit.go.jp)
鉄道運賃制度 (iblr.info)

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