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鉄道事業法②:鉄道事業許可申請

条文はこちらから。

今回は鉄道事業許可申請に関する条文をまとめました。
※自主学習ノートなので、内容の正確さは?です。

鉄道事業許可申請とは

鉄道事業を経営するためには、国土交通大臣の許可が必要で、その許可をもらうための申請を鉄道事業許可申請と言います。下記のような特徴があります(法第3条)。

・許可は事業者ごとではなく「路線及び鉄道事業の種別」ごとに行われる
・第一種、第二種は旅客か貨物かどっちかだけの許可もとれる
 (例)JR貨物は貨物だけ
・一時的な需要のための鉄道事業許可を、期間を限定して取得できる。
 (例)横浜博線(1989年横浜博覧会)
→イベント用路線などに対して期間限定で行われる許可。旧地方鉄道法時 代にはイベント限定でも通常と同じ免許が必要になっていたが、鉄道事業法ではこれを区別し、イベント限定であれば許可手続きを簡略化できるようになった。 Q1-2 期間限定営業とは (www.ne.jp)

許可申請に必要な項目

・鉄道事業許可のために国土交通大臣に提出する必要があるものをざっくりまとめました(下表)。
・申請に必要な内容は、鉄道事業許可申請書(各地方運輸局に問い合わせるともらえるらしい)と添付書類から構成されます。

表1 法第4条まとめ

以下で詳細にみていきます。

予定路線について

・法第4条2号に基づき、事業許可申請時には予定路線の情報を申請しなければなりません。
・申請書に記入する始終点、経由地の他、添付書類(後述)として線路予測図を提出する必要があります。これらの情報によって予定路線の状況を表現します。
(例)東京メトロ有楽町線延伸
豊洲~住吉にかけて、東陽町を経由しながら江東区を北上する予定路線が記載されています。
報道発表資料:東京地下鉄株式会社「有楽町・南北線の延伸」に係る鉄道事業許可について<br>~有楽町線・南北線の延伸により、国際競争力の強化の拠点である臨海副都心やリニア中央新幹線の始発駅となる品川駅とのアクセス利便性が向上します~ - 国土交通省 (mlit.go.jp)

表2 計画路線概要に関する資料

【用語】
・鉄道線路の中心線
左右レールから等距離の地点を結んだ線です。
・逓加距離
ちょっとよく分からない単語ですが、おそらく起点からのキロ程のことと思われます。
・地物
地上にある自然・人工すべてのもの。
・施工基面
路盤の表面。一般的には線路中心における高さを基準とする。

事業基本計画

・事業基本計画とは、事業の基本になる事項が記載されたものです。鉄道事業の種別に応じて提出が必要な項目が変わるようです。

表3 事業基本計画詳細

【用語】
・単線
 両方向の列車を1つの線路のみで運行する区間。
・複線
 方向別に線路を分けて運行する区間。
・通過トン数
 ある期間において地点を通過する全車両の総重量。
 線路構造を決定するために重要な情報。
・けん引重量
 機関車でけん引する車両の総重量。
・供給輸送力
 特定の期間にどれだけの人、貨物を運搬できるかを示す量。

鉄道の種類について

・事業基本計画内で記載する鉄道の種類は、規則第4条に記載されています。
・その他ってなんなんでしょう。知っている人いませんか?

表4 鉄道の種類

添付書類について

・鉄道事業の基本的な事項以外に、経営するにあたって必要な情報を添付資料で提出する必要があります。本当に鉄道経営する力があるかどうかを見極めるための資料だと思われます。
・個人で事業許可を受けた人はいるんでしょうか?

表5 添付資料詳細

【用語】
・事業収支見積書
 事業全体での純資産の増減を表したもの。
・資金収支見積書
 支払資金の増減を表したもの。
・定款
 会社の基本的なルールを示したもの。
・寄附行為
 財団法人の根本原則を示したもの。 
・登記事項証明書
 権利や義務を社会に向けて公示+保護するために、その内容をある帳簿に記載する制度を登記という。その内容を示したもの。
・謄本
 原本の内容を全て書き写したもの。

欠格事由

・この世には鉄道事業許可を受けられない人がいます。どのような人かを示すのが欠格事由です。

表6 欠格事由

【用語】
・破産からの復権
自己破産するといろいろな権利が制限されるそうです。その制限が解除されることを復権といいます。
・心身の故障(法第6条4号・規則第6条の3)
「精神の機能の障害により鉄道事業を適確に遂行するに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。」とありますが、あいまいな定義のようです。これまでに該当者はいたのでしょうか?

事業基本計画の変更

・変更は国土交通大臣の認可が必要です(事業基本計画等変更認可申請書)。
・軽微な場合には後から届出すればOKです(事業基本計画等変更届出書)。感覚的に軽微じゃなさそうなものも、意外と軽微なもの扱い。

表7 軽微な変更

許可基準

・計画がしっかりしていて、申請者に事業遂行できる能力があると認められた場合に、国土交通大臣は事業許可を出します。
・「特定の目的を有する旅客の運送」については規則第6条の2に記載があります。遊園地内や観光用などの鉄道は「特定目的鉄道事業者」とされ、許可基準が緩和されます。通常の鉄道と異なり、事業の採算性・継続性を考える必要がないからです。
例:門司港レトロ観光線(北九州銀行レトロライン)
国土交通省 メールマガジン 平成21年7月15日 - 国土交通省 (mlit.go.jp)


今回はここまで。

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