「ありたい」を買った話
あきやあさみさん提唱の「自問自答ファッション」。これを読んで下さってる方はもうご存知かと思いますが、制服を作る過程で1番最初にすること、と言えば。
そう、靴を選ぶことですね。
私は秋冬については既にお気に入りのローファーを手に入れているのですが。
春夏にはやや重く感じるかもしれないと感じたのと自問自答ファッション教室受講を踏まえてもう一つ、とびきりお気に入りの靴を見つけたいなと思っておりました。
教室受講(2/8)以前からずっとちょこちょこと探していた、その試行錯誤の記録を残していこうと思います。
春夏靴を探そうと思った時、色んな条件が出てきました。
小さな子がいる身なので、
①フラット〜ローヒールであること
②着脱が手間でないこと
③整備された公園や遊び場であれば寄れる程度の強度を感じるもの
この辺りの条件は実用性として挙げられました。
かつ、ローファーでは担いづらい(と私が感じている)要素として
①軽やかさ、身軽さ、しなやかさ
②かわいさ
この辺りを取り入れたい。
コンセプトにも入れた、「かわいくて」！
ローファーも十分にかわいいのですが、思うにローファーを買うことで私が得たかったものは「安心感、信頼」「質実剛健さ」「「好き」なトラッドテイストに合う」ことだったのだと思います。自分の基礎固めをしたかったんですね。
この役割は果たせているので、今はより「こうなりたい、ありたい」に近いものを求めているのだと思います。
ということで、靴のジャンルをうんうん考えた結果、シューズの中でも「バレエシューズ」もしくは「メリージェーン」少し幅を広げて「ローヒールパンプス」までの範囲で試着をしてみることにしました。
1・レペット
バレエシューズといえば！とかなり序盤に定番の型を試着。
履いた瞬間、あらっ。確かにかわいい、かわいいんだけれど、結構な痛み。
大きさを調整できたり、やりようはあるのかもしれないけれど私が履いたら「無理やり」履くことになるのではと感じてしまった…
靴はかわいい！成仏！
と、言いながらその後諦めきれずメリージェーンも試着。ストラップの根本がゴムになってて着脱は思ったよりしやすそうだった。甲が浅くて足の指から綺麗に見える。
んだけど！やっぱり足に合わず、成仏。
かわいかったね…
2・ペリーコ
すっと伸びたノーズが美しい！ミッドタウン日比谷や新宿伊勢丹で何型か試着。綺麗で素敵、ただ私には大人っぽいかもしれない。いや、大の大人なんですけどね！
3・ファビオルスコーニ
種類が多い、ひとまずベージュ系のバレエシューズ、フラットパンプスを試着。良い、確かに良い。多分足にも合っている。(幅狭)
ただ「オンリーワン、ナンバーワンか？」と問われると１つに決めきれなかった。
4・ダニエラ＆ジェマ
バレエシューズを試着。歩きやすい、シンプルだけど少しひねりがあって使いやすそう。とても良かったのだけどなぜだか決めきれず。魂の不一致…？
5・ピッピシック
先の尖ったビジューパンプスとアローズ別注のスタッズのついたバレエシューズを試着。
結構本命度が高かった、どちらもとても良かった。
ビジューパンプスは当たり前だけど綺麗めに見えるなという印象。もう少しカジュアル感があってもいいのかも。
バレエシューズの方もとてもかわいかったけれど、甲が割と深いのでローファーと印象が被ってしまうかもしれないと感じた。
6・ツルバイマリコオイカワ
パールのついたパンプスと、甲に大きなリボンのついたパンプスを試着。
どちらも文句なしにかわいい！
見た目よりもかなり歩きやすかった。ただ色味・素材感がばっちり好みに一致するものが無く保留。色味が変われば印象も変わる？
あとコンセプトの「モデルさん」からすると少しかわいすぎるのではという懸念あり。
7・チェンバー
「かわいい」よりも、より地に足のついた感じのシューズかな？と感じた。
8・プリティバレリーナ
かわいい！おめかし感がある。でも、「私らしいか」と言われると、ちょっと違うかも。
9・クロエ
Laurenというサイドがなみなみになったバレエシューズを試着。いや〜〜ーーかわいかった！！！すんごくかわいかった！
伊勢丹限定というベージュカラーが特に！
ただ店員さんからの注意点としてデニムなど履いているとエナメルに色移りの可能性がある、と仰られたり、傷がつきやすいので…と、とても繊細な作りな様子。今はそこまでケアしてあげられないかもしれない。いつかまた会おうね…！
10・マノロブラニク
メリージェーン、リストニーを試着。
美しい、綺麗、やりすぎない華やかさ！とっても美しかった！
もう少し綺麗めなシチュエーションでは1番に候補になると思った。
特にリストニー、、何の変哲もないパンプスに見えてすごく美しい。いつかまた会おうシリーズ。
ゼェハァ、、、ここまででも自分比で結構な試着数です。
まだまだ行くぞ！
11・クリスチャンルブタン
強気なオンナに見えた！
12・セルジオロッシ
仕事のデキるオンナに見えた！
13・ジミーチュウ
「ムーンプリズムパワー！」と唱えたくなるお靴たちだった！
14・グッチ
ホースビットのローヒールパンプスを試着。重厚かつ包容力があった！思った以上に履きやすい！ただ私が履くと人間の存在が負けた！グッチの靴しか目に入らなくなる、これは初めての体験、、！まだ勝負を挑むには早かった。無念！
15・シャネル
憧れのバレリーナを試着。定番のベージュと黒のツートンのもの希望だったのだけど、在庫なしとのことでツイードのものを試着。
とってもかわいい！まさに「自立する女」のための靴だと思った！
馴染んでいくのだろうけど、見た目より結構固い。あと私が履くとどうにも、どこかのセレブに試し履きさせてもらっちゃいました感が出てしまった！修行が足りない！
16・ジルサンダー
輪っかのついたバレエシューズ。1番の候補だった！やっぱりすごくオシャレ。
ただサイズ感が…35がミニマムのサイズだそうなのだけど、やや大きい。中敷き等でもごまかせないかもしれない。ウッ。
17・フェラガモ
バレエシューズを何型か試着。
さすが名品、とっっても素敵なのに私が履くと借りてきた感・授業参観のようになってしまった…無念…
オールブラックのモカシンがとってもかわいくてキュンとしたのだけど、手持ちローファーとやや用途が似てるので断念。
ゼェゼェ…
ここまで記憶に残る限りの17ブランドを駆け抜けてきました。
ここで改めて私の「なりたい姿」を考えます。
「似合う」、これは何となく分かります。
多分、可愛らしさに振ればいい。
外からどう見られているか・見られがちか。
30代、社会人生活も10年を超えそれなりに様々な人と交流してきたので不器用ながら何となくは分かります。
自分がどうあるべきか、どう振る舞うと軋轢を産まないか、どうすると物事がスムーズに進みやすいのか。
私は16パーソナリティ診断ではISFJ(擁護者)というタイプだそうで、控えめ・内向的・利他的なTHE・日本人タイプのようです。
https://www.16personalities.com/ja/isfj型の性格
最近新聞形式の性格診断が出ていましたが、結構当たっていてしんどかったのでTwitterにはあげられませんでした。ここでこっそり。
別に自分を優しいとも思いやりがあるとも全く思っていないのですが、確かに人の反応やその場の空気感を感じ取ろうとしすぎる傾向があるようです。
「相手が求めている自分」を「自分がそうあるべき姿」だと思ってしまう。
もしかしたら、最初にコンセプトを決めた時もそうだったのかもしれない。
「かわいいものが多分似合うし好きだし、きっとこれが私に求められているものなのでは？」「これが正解なのでは？」と。
確かにハマるものが多くて大好きで。
ただ、色々と環境が変わり案外自分の悪くない部分を再発見するにつれ、「ありたい姿」は少し＋αがあるのかもしれないと思い始めました。
私は、案外ストイックな自分が嫌いではない。
ぶつかっていける自分が嫌いではない。
案外即行動できる自分が嫌いではない。
これは仕事柄身についた特性かもしれません。仕事が向いているとかデキるとはとても思えないけれど、得られたこういう部分は、自分にとって案外悪くないんです。
「ありたい姿」はこういう虎視眈々としたストイックな部分が実はあるのかもしれない。
そう言えばコンセプトの職業に設定したモデルさん、と言えばやっぱりストイックなイメージがあります。
私は食事とか自分の美容健康に関しては正直全然気を配れていないけど、(グルメ大好き深夜徘徊しがち)精神面ではやはり憧れます。
周囲への気配りができるのは美徳だと思うけれど、本当はそれだけになってしまう所から抜け出したい。
強さや攻め入る勇気のある自分を掘り起こしたい。
そう思いながら、私はこの靴を選びました。
メゾンマルジェラ タビバレリーナ
出会った時の第一印象、「か！かわいい！」
タビは元々色んなメディアやら雑誌やらで触れていて、「オシャレと自認せし者が身につける難易度の高い靴」と警戒していました。
「いやいや、こんなオシャレアイテム私には履きこなせないわ」と思って。
でもこの3cmヒールのこの子は、ちょっと違いました。
おしゃまな猫の足のようなかわいらしさ。
ヒールでありながら安定感があり。
タビバレエでは結び目だったリボンが割と主張する大きさでリボンの首輪のようで。
黒い革は艶かしくツヤツヤとしていてクロネコちゃんのよう。
そして履いた時、とってもぴったりフィットしたんです。
「足の形に合ってらっしゃるんですね〜」と店員さんが仰る。そう、フィットしたんです。
同じタビでもブーツは痛くなってしまったけど、これは大丈夫でした。
よく「マルジェラを身につけるとスッと後ろにひいて圧を消してくれる」みたいな事を仰る方が多いような気がするのですが、まさにそんな感じで個性的なはずなのにスッ、と後ろに下がって主張せず、ただしっかりと存在感は示してくれる、そんな安心感がありました。
やや脱線しますーーーーーーー
私は日頃から「何考えてるかよくわからんもの」に惹かれがちなのですが、まさにこのお靴はその性格を有してるというか。(完全に私見です)
例えばシルバニアでも誰でもいい訳ではなくて、このペルシャネコちゃんを手にしたのは表情が伺い知れないのに、素材がかわいいあまりにテッペンを取ってしまっているというか…(のろけ？)
この子がドレスを着たりコスプレしていたりするのを見ても、かわいいけどやっぱり私はこの素の状態が1番好きなんです。
なんならシルバニアの世界にいるよりも、適当な所にポツンと立ってもらう方が好き。
作り込まれたかわいさも素敵だけど、どちらかというとかわいさを意識せずぼーっと存在してるだけでなんか気になる・なんかかわいいものが好きです。
こちらのリアクションを期待されていない感じが心地良いのかもしれません。
ずっとフラットでいてくれる安心感というか、あちらにはあちらの世界があって、各々マイペースでやろうぜというような。依存しない関係性というのでしょうか。
脱線おわりーーーーー
とは言えオシャレ上級者のためのタビ、そしてマルジェラ。(私見です)
「え、コイツかわいいのが好きとか言って超保守的でコンサバなくせにマルジェラ買うの？」
「こんな普通の人間にタビ履いて欲しくないわ」
あああああ、聞こえてきます、自分の中の架空の敵の声がガンガンと。。
「いい子ちゃんで生きてきたんだからその枠内で、適当に予想できる範囲のもの買っとけよ」
もはや誰？
「自虐しまくり癖」が爆発します。誰なの？
でも、でも。
私はこの買い物で何をしたかったのか？
「なりたい・ありたい姿に近いもの」それを勇気づけてくれるものが欲しかったんじゃないの？
ストイックさもありながら感じさせず、かわいくて、ちょっぴりヒールがあって背筋が伸びて。
個性的なように見えて案外何にでも合わせられる懐の深さもあって。
芯の強さと猫のようなしなやかさ、そしてかわいさを兼ね備えたこのお靴。
私はこれを買うことで、普通からちょっとだけ抜け出したいんだ。
実はJJGのアヅマさんと試着旅に行かせてもらった時、何度目かの試着にも立ち会ってもらっていました。
その時には「私とタビのタイマン勝負なんです」とガチな目をしていて、自分でも真剣さにちょっと引きました。
ただ、その後カフェでお話しながら
「とは言えタビ買ったとて、私多分公開できないです。
タビって高尚な感じがしてて、私ごときのオシャレ偏差値で、しかもかわいい推ししといてそこ行くとか烏滸がましい気がしちゃう」
とか何とか言っていました。自虐癖ここでも出た。
自分の中ではこのパンプスは間違いなく可愛さの権化で、もはやマルジェラさんには本音では親近感すら湧いているのですが自分が元々持っていたイメージに勝手に恐怖を感じていたのです。
でももう、いいんだ。
だってかわいいし素敵だから！！！
私の足にぴったりなこの子をちゃんと大事にするんだから！
誰に許可を得るでもない、私が自分で買うものなんだから誰にも文句を言われる筋合いはない！言うとしたら自分自身だけだ！
そうして4月末、タビを購入するに至ったのでした。
正直店員さんとのやり取りが〜、とか、素敵なブースに案内されて〜、とかもありません。
伊勢丹ポイントアップウィークだったので混雑していたし、試着は色んな店舗やセレクトショップでしていたので過去に特定の店員さんについていてもらった訳でもなく。
(※店員さんの対応が塩な訳ではなくどこでも懇切丁寧だったのですが、個人を認識してもらうまで至ってはいなかったという意味です)
結構個体差があるのは分かっていたのであるだけ在庫を出していただいて履き比べてみましたがそのくらいで。
映えないただの白い袋を抱えて電車に揺られて粛々と帰りました。
ただ粛々と。
そして約1ヶ月の時を経て何度か着用して徐々に「うちの子」になりつつあるタビちゃんを、「そろそろnoteに登場させてもいいのかも…」と筆を取るに至ったのでした。
実は公開するまで約1週間記事を寝かせました。ビビって。
でもそうやって隠し続けても何にも進まないなとも思ったので、エイヤっといってしまいました。
これからまたどこに連れて行こう？
子供たちといる時は、どうしても場所を選んでしまうとは思うけど。
私の「ありたい」「かわいい」権化として鎮座し、活躍してもらおうと思います。
終わり。
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