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【詩と心と声】シリーズ集

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女優・望木心の心の中を現代詩で綴っております。Twitter、Instagramで公開した内容をアップしてゆきます。新しい詩も掲載予定。心が寄り掛かりたい時、癒されたい時、優しく…
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#創作

踊りつづけて

アドレナリンに ふりまわされ 朝がきて 足の皮が剥がれて 血が流れでて 叫び続けながら踊ったよ こんなに気分の良いいことは ない なにせ アドレナリンの燃料が 蝶にも 鳥にも 風にも 誰にも言えないことだから とりあえず 君には 死んでも言わない なんでって 自分にさえ 隠し通していたいんだって 分かってよ

小さな子供

子供の頃 夕闇が嫌いだった 孤独で 疲れていて 何のために 毎日この時間を過ごすのか 分からなかった 時が経ち 私は夕闇の中で 炎を見つけた 火の粉が夜空へ跳ねる 静かにそれを見つめていた 無意識の内に 小さな子供がやってきた そっと胸に抱き寄せ 二人きりで炎を見つめる この子も知っている あの頃の物語を もう一度だけ語ろう

おなおし

穴のあいた洋服 サイズの合わなくなったパンツ お直しが必要だと分かっていて 目の前のラックに掛けてあるのに 気にしながら 手をつけず 夏 秋 冬  そして年が明けた 夏の初めに友達と疎遠になった 原因は分からない 気にしながら 見て見ぬ振りを続け ぽっかりとあいた 雲の隙間の青空に その人のことを思った 自分の愚かさと その人の哀しさに後悔する 穴を縫いつけた 再生させるために 私の体をあたため楽しませてくれた その洋服に丁寧に針を通す そしてクローゼットへ戻した

四季

春の嵐に 光が大気圏に跳ねて 眼の中に飛び込んでくる 夏の夜の穏やかさに 跳ね回りすぎた 身体を横たえ 秋の懐かしさに涙を落とし 染まった葉が濡れ 心を誘う 冬に何もかもの 答えが出たときに この世の美しさとは思えない 月の輝きが 全ての事象の意味を 語り出す さらさらさらと 聴こえない音が 全てを許してくれた

身体

私は頭痛を起こしていた 人の心を知ろうとした 神様からの罰なのだ でも生き急ぐのは 悪いことでしょうか いつ死ぬか分からない この心臓、内臓 私の全てがなくなる前に 知りたい人を知ろうと思うのは おこがましいでしょうか なぜこんなにも 知らないことだらけに したのですか? 答え合わせを誰か一緒に

理由

心の激しさに 置いていかれて ビー玉は強く弾いて 大きな感情が 割れ狂った 隠して  息ができない そのことも 目を伏せて ようやく全てを 手放せる時に 私自身の存在の頬に触れる 「彼を心の底から愛している」 ビー玉のような大きな涙

3人目の女

雨音が 子守唄を 理想の母親のように ぽんたぽたん 唄って すでに大きな大人になった いいおんなが 安堵して チョコレートをかじりながら ◯◯ ◯の ミュージックに寄りかかり ひきちぎれたニセモノのパールと ニセモノのゴールドとダイヤモンドを 楽しげに 拾っている 哀しみは ぶっち切って 大きな コメディドラマになって まるで 輪廻転生しているよう 少女になった 大人のいいおんなは 雨でさえも ダイヤモンドだと 思っている 彼女は安堵して 夢