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第9話:夏期講習のおさそい

この話は、行き当たりばったりで小学校受験をする事になり、バタバタ受験をした結果無事私立小学校に合格するまでの受験反省ストーリーです。前回の話はこちらから:

さて、無事選抜クラスに移り、志望校クラスも始まり、週に2回お教室に通う日々になってから早1ヶ月が経とうとしていた。

選抜クラスに移るために一時期はペーパーをちょこっと頑張ったが、目標達成したのを良いことに我が家はまたペーパーを頑張らない方針に戻っていた。確かに小学校受験の雰囲気には慣れてほしい。けれど決して染まってほしくはなかった。今まで休みの度に開催されていた「春期講習」「ゴールデンウィーク特別講習」などのエキストラ授業があったのだが、これらはことごとくスキップしていた。小学校受験に生活を支配されるのを頑なに拒んでいたのだ。(拒んだところでどのみち頭の中は小学校受験一色だったのだが・・・)

しかし夏期講習だけは、参加しようと決めていた。幼稚園の夏休みである2ヶ月間は長すぎるし、幼稚園が無い期間なら私も授業に寄り添ってフォローできると思っていたのだ。また、国立のみを受験したい子達もここらへんでゴソッと入会してくるので、スタートを切り直すにはちょうど良いタイミングであった。

もう夏まで来ると、普段の授業でなんとなーーく子ども達の実力が見えてくる。「この子は優秀だな…」「この子はちょっと厳しいかもしれない」とおおよその立ち位置も見えてくる(注:あくまでお教室評価の話です)のだが、我が子はというと、、、

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どれも微妙。

ペーパー、運動、絵画制作、・・・我が子はことごとくどの項目でも低空飛行を続けていた。

確かに選抜クラスに移ってからは周りの子につられてシャキッとするようになってきたが、これはあくまでただただ「つられている」状態であり、主体性には欠けていた。むしろ受験レベルの高い子達の中にいる事によって、できない部分が今まで以上に浮き彫りになってきたくらいであった

そんな状況の中、個人面談、そして夏期講習のお知らせが舞い込んできた。

夏期講習のスケジュール決め

幼稚園の夏休みは長い。7月中旬から9月中旬の間、ほぼ2ヶ月間あるのだが・・・夏期講習のスケジュールを見てひっくり返りそうになった。

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お盆の数日間以外、朝から夕方までほぼ毎日講習があるではないか。

どういうことだ?幼稚園児のスケジュールとしてはおかしいぞ???

内容を詳しく見ると、授業は技能別や志望校別に分かれていた。それが5日間1セットになっており、アラカルトのように夏休み中に散りばめられているのだ。1つの授業は1時間程度であるが、当然技能は細かく別れているので、1つの授業で内容を全てカバーする事は出来ない。1日に3つも4つも講習を組み合わせてようやく網羅できるのだ。

正直言って、今まで「受験生」といっても小学校受験だからなあ〜、中学生の夏休みに比べたら鼻くそみたいなもんだろ?って思ってました。すみませんでした。

これは灰色だ。灰色の受験生だ・・・。

とはいえ、さすがに言われるがままに受講するのは今までつらぬいてきた「受験に支配されない」というスタンスが崩れてしまうし、この多感な時期の夏休みを受験のみに費やす、というのは人生の経験値的にもったいない。

・・・ということで我が家、まずしたことは・・・

旅行とキャンプの予定を決めた。

ここだけは絶対にエンジョイしてやる!!!という意地の旅行である。もはや何のプライドなのかもわからないが、「今年は受験一色で・・・」という発言をしたくなかったのだ。呆れた諦めの悪さである。

とはいえ、2ヶ月もあれば残りの期間もたんまりあるので、どういった授業を履修するべきか夫婦で話し合った。弱点を克服しつつ、周りに置いていかれない程度にレベルは保っておきたい・・・。あわよくばライトに履修したいが、ここで問題となってくるのが先生からの扱いである。

先生による選り好み問題

小学校受験のお教室というのはかなり特殊な世界である。

中学以上の受験と違い、点数での順位がない以上、生徒同士で明確な優劣はつきにくい。また、生徒の集中力もたかだか幼児程度なので、授業に集中した所で自らレベルアップできる量はたかが知れている。一方、先生に褒められれば自信がつき楽しくもなり、確実に実力となる。逆に特に反応のないものに関しては、本人がよほどの手応えを感じていない限りは特に実になる事もなく通り過ぎていく・・・。

お教室側もそれを理解してなのかは知らないが、先生によってはかなり露骨な選り好みが見られた。我が家が尊敬していたハキハキ先生にはそういった面が一切なかったが、志望校別担当であるモリモリ先生(仮)は露骨に選り好みをする先生であった

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いわばお教室にとってはたくさん授業を履修してくれる生徒こそ上客なのであり、また真剣度合いも比例して高いと判断されているような雰囲気があった。先生も人間であり、生徒全員別け隔てなく接する、というよりは有望な子により手間をかけたがる空気があった。最低限しか授業を履修しない子よりも、自分の授業は全部履修してくれる子の方が可愛いわけである。さらに言えば塾に実績をもたらしてくれる「有名私立に合格確実な子」はもっともっと可愛いのである。

そんな先生なんて願い下げにしたい所だが、時期は夏。もはや我々も先生を選べる立場にはない。我が家としては最低限の履修のみしたかったが、お教室に良い顔されないだろうなあ、子どもは空気として扱われるかもなあ・・・という不安があった。そこで、ちょうど個人面談が予定されていたので、洗いざらい話してハキハキ先生にアドバイスをもらおうと決めた。

ハキハキ先生との面談

ハキハキ先生はとてもプロフェッショナルな方であった。元々中学受験の塾から移ってきたようで、小学校受験特有の空気とは少し異なっていた。理路整然と話す事が得意で選り好みも一切行わなかった。この先生になら我らの正直な心境を話しても差別せず、むしろ的確なアドバイスをいただけるのではないかと思い、受験に対しての微妙な心境を吐露した。

・受験合格への確率を少しでも上げたくてお教室に通っている。
・ペーパーは頑張らない方針でいる。なぜならば幼児に長時間机に向かわせる事に抵抗があるから。また、やろうと思っても下の子がいて思うようにはできない。
・娘の長所である社交性はこのまま育てたいと思っているが、絵画も運動も微妙なレベルでいる事に危機感を抱いている。
・夏期講習のスケジュールを見て、そこまでたくさん履修できない&したくないと思っている。

以上を洗いざらい話した。

すると先生は何やら鞄からゴソッと紙の束を取り出した。机にそれを乗せると、それが娘の過去の模試をまとめた束である事がわかった。どれも書き込みが入っており、詳細に苦手分野・得意分野を分析してくれたものであったのだ。

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先生ッ・・・!(涙)

「娘さんは確かに社交性においては毎回ほぼ満点を取っています。手先の器用さも素晴らしいので、確かにお父様お母様が仰るように、これらの分野においてはこのまま伸ばし続けたた方が良いでしょう!」

でしょうでしょう!

「ただし、ペーパーの点数・・・。これは実は間違っている問題が偏っているんですよ。」

えっ、そうなのか。

「正直、ペーパーでみんなが間違えている問題は間違えちゃって良いんです。娘さんの志望校はペーパーが特別難しい所でもないですからね。ただし、問題なのはみんなは正解しているのに娘さんだけ間違えてしまっている所なんです。見て下さい、ほぼほぼ「知識」の問題なんですよ。」

マジか・・・知らなかった。

「知識系の問題は図形と違って、一度覚えれば点数が最も上がりやすい項目なんです。ペーパーは頑張らない方針とおっしゃいましたが、「知識」強化の授業だけはとりましょう。知識さえカバーできればペーパーの点数がぐっと上がるので、弱点が消えて合格がより確実なものとなります。」

もうこの時点で心を鷲掴みにされていた我ら。こんなにわかりやすく分析してくれるなんて・・・神なの!?そんな状態で勧められたらどんな授業でもとってしまいそうであった。

「あとは運動、決して苦手ではないのですが、やはり全身バネのような運動神経バツグンの子には敵いません。夏期講習の間は特別に運動専門のプロが来てくれるので、これはぜひとって下さい!そして志望校。志望校関連のものは本当は全てとっておいた良いですが、どうしても制限されたいというのであれば、コレとコレだけとってみてはいかがでしょうか。」

先生ーーーーーーー!!!!!

もう、我らが数週間かけて悶々としていた問題を、ものの15分程度でスッキリクリアにしてくれました。こんな素晴らしいアドバイスくれるならもっと早く相談すればよかった・・・!(いやしかし毎週話しかける隙がないほど忙しそうではあった)

モヤモヤっと気になっていた「履修しなければお教室から嫌な顔されるんじゃないか問題」も、心境を吐露した所で嫌な顔はされなかったし、少なくともハキハキ先生に関しては気にする必要ななさそうだ。(モリモリ先生は知らん)推奨された授業も、我らの考えていた量と同じくらいだったので、もう本当にそのまま履修する事にした。

つくづく、小学校受験において持つべきものは信頼できる先生である。我が家の受験において、このハキハキ先生に出会えた事が最大のラッキーポイントであった。

続く!

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お気づきでしょうか、実は「絵画」については何も触れられていないことを!w(いや何か言われたかもしれないが記憶には残っていない)

絵画に関しては今後、家で独自の特訓が始まりますが、この話は次回!

・・・にしても本当にこのハキハキ先生には最後までお世話になりました。特別目にかけてくれた、という訳ではないのですが誰にも差をつけない公平さが我らにはとても心地よかった!ハキハキ先生は話がとにかくわかりやすくて説得力がありました。最終的には夫も私もハキハキ先生のファンになり、合格した際にはハキハキ先生に改めてお礼を言いに行ったものです。

一方のモリモリ先生は文中の内容からも漏れ出ていると思いますが、かなりクセのある先生でした・・・。特定の生徒を可愛がる所もそうですが、授業内容自体も、後半になってくるにつれ「あれ、勢いだけかな?」と思うような所もあり、だんだん不信感が募っていきました。最終的には必要最低限の授業しか履修しない方向に落ち着ちつきました。

この先生の選り好み問題、この先生だけかと思いきや、どこのお教室にもあるみたいですね。「もっと指導してほしい!」という親の気持ちが暴走しているという説もなくはないですが、数年経った今思い返しても、やっぱアレは不公平だったなあ、と思います。願わくばそういった先生に当たらない事が望ましいですが、こればっかしは長期間受講してこそ始めてわかる事なので・・・先生との関係は良好にしておきたいものですね。

あ、ちなみにうちは味噌っかす扱いでしたw

でもそんな我家でも最終的に学校からのご縁はいただけたので、先生の好み=学校の好みではないという事だけはハッキリ言えます。なので、気に入られてなくてもドンマイです。気にしないで我が子の良い所を信じてあげられると良いですよね。

・・・にしても、夏休みのスケジュール、本当に全部詰め込もうと思ったら鬼スケなんですよ!!絶対にこんなスケジュールにはすまい、と思って旅行とキャンプの予定をいくつか詰め込みましたが、本当にただの意地でしたw

受験が終わって数年後にこのブログを書いているので、ブログを見た友人からは「まさかあの時期、こんな大変な思いをしてるなんて全然知らなかったよw普通に遊んだりキャンプしてたよねww」と言われてめっちゃ本望だった。幼児の夏休みは無事守られたのだった・・・!(?)

しかし実は小学校受験で1番の頑張りどころは授業の履修スケジュールではなく・・・このあと始まる、夏休み中の猛特訓なのであった・・・!!

続く!


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