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刺してくる、

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空から墨をぶちまけたような、真っ暗闇。真っ暗闇を浮いている、一人の少女。

自分は浮くことすら許されていない気がする、少女は毎日そう考えていた。


ギラリと光る北極星。 鋭く尖った指先。星の指先から、少女の心臓まで、一直線にのびゆくもの。一角獣の角のような、鋭い閃光。


真っ暗闇を浮いていると、見えなかったはずの光が刺してくる。仄かにひかる。 そうして先程から眺めていた一角獣の角のような閃光が、少女の心臓を刺せば、目の前に無数の光が散らばったように見えたのだ。

美しい星々なら、どれだけ良かったことか。

そこに広がる粒は星ではなかった。少女が出逢った人たちの声だったのだ。

かつて出逢った愛する人たち、一度しか話したことのないような人たち、住む世界が違う人たち、

みんなみんな、違う言葉をくれたはずだった。


それなのに今、少女の目の前に散らばる声たちは全て、少女を否定する言葉だった。あれだけ温かな声色で、いかに少女がどれだけダメな人かを教えてくれる。
元はと言えば少女の心から生まれた言葉だったのに。 大好きな人の光を借りてぎらつく星々が、途方もなく恐ろしい。

せめて、自分の声でぎらついて欲しかった。世界で一番嫌いな、自分の声で。


宙に浮くことも、地に足をつけることも許さないぞと、少女に語りかけるかのような星々に囲まれ。今夜はここで一夜を明かさねばならないことを少女は嘆いた。 

しかしここには誰も来ない、誰も呼ばない。
手持ちの行灯も、途中で踏み潰してしまった。
墨塗りの宇宙に話しかけるしかない、光を捨てた少女の話。


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